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四十二升目。
三人の視線が明子に集まる。
「ボク幸太のこと好きかもしれない・・・・・・。
ボクも今までこんな同性の人好きになるなんてことなかった。
でも幸太は、そのなんていうか・・・・・・。嫌だよね、
男に好かれるなんて気持ち悪いよね!!」
いっきに叫び気持ちを言葉にして吐き出す。そして嗚咽。
しばらく沈黙があってから、
「幸太。すぐに答えられる事じゃないけど、何か言っておやり。
あんなに小さくなって震えて泣いてるじゃないか」
最初に口を開いたのは栄子。
滝口は様子を見守っている、というより動けずにいた。
様子を見ているしかできなかった。
幸太も同じ有様で、ただただ泣き続ける明子を見ているだけ。
「幸太!」
ぴしゃり、とした声がとおる。
栄子の一声。その声でやっと動き出す幸太。
頭をかきながら、
「ええっと、明子。えっとだな。
その、なんだ。言葉が出てこない。悪い」
「そうだよね。急にこんなの、困るよね。
ボクもよく自分の気持ちわからない。ごめんね、幸太。
よくわからないから言いたいこと言っちゃった」
強がり、笑おうとするもうまくゆかず崩れた泣き笑いになる




