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サイバーパンク相撲バトル ネオ両国シティー場所  作者: 秋松カブトムシ
第4幕 雷電、敵地に潜入せよ!
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雷電よ、魚群となれ

「突入っ!!」


 その掛け声と共に、同心チーフに率いられた足軽ガードマン達が突入してきた。先程の破戒僧とは打って変わり、規律の取れた動きを見せている。


「目標、見当たりません!」


 足軽ガードマンの一人が同心チーフに報告している。おいどんは壁の通気ダクトに身を潜め、カバーの隙間から連中の様子を窺った。


「天然力士を探せ!」


「ちゃんこの匂いが残っている まだ近くにいるはずだ」


「姿が見当たらないぞ。まさか……光学迷彩力士か!? 総員警戒せよ!」


 明後日の方向を探し始めた敵に、思わず笑みがこぼれる。今のうちにダクトを通って脱出すれば、万事解決。


 の、はずだった。


「……!?」


 通気ダクトを登り、壁から天井へと進んだところで身動きが取れなくなってしまう。どうやらおいどんは、ダクトに詰まってしまったらしい。


 体をよじるが、動かない。進めないし、下がれない。これはマズイことになった。


 焦りからか、ダクトに密着しているせいか、体が熱くなるのを感じる。同時に正面からやって来る埃っぽい風が、おいどんを嘲笑うようであった。


「……かくなるうえは!」


 発見される覚悟を決め、おいどんは手足をバタつかせた。釣り上げられたごま鯖のように。


 ビチッ! ビチッ! ビチビチビチッ!!


 釣り上げられた鯖《サバ》のごとくビチビチと跳ね、ダクトを押し通る。鮪《マグロ》でも、鰤《ブリ》でもない。おいどんは今、新鮮なごま鯖《サバ》だ!


 そしてその音は、ダクトを通じ、倉庫中に響き渡る。


「な、なんだこの音は! 出どころを探せ!」


「ダメです! 反響して場所が分かりません!」


「魚群探知機を持ってこい!」


 魚群探知機!? それはマズイ。このままでは新鮮な魚として水揚げされてしまう。おいどんは跳ねる速度を加速させ、ダクトを押し進んだ。


「気をつけろ! あちこちからネジが落ちてくるぞ」


「振動で外れたんだ!」


 敵は気を取られている。これはチャンスだ。そう思い通気口の出口へと真っ直ぐ進んだ。しかし、おいどんの体は宙に浮くことになった。


「ごわす!?」


「ダクトが落ちてくるぞ!」


 あちこちでダクトのネジが外れた結果、倉庫の天井に連なるダクトというダクトが落下し始めたのだ。おいどんはダクトに挟まったまま、ダクトごと地面へと落ちている。


「どすこいぃぃぃっ!」


「うわぁぁぁっ!?」


 勢いを活かすべし! ダクトごと転がるおいどんは、混乱する足軽ガードマン達を突破し、搬入口を突き破る。そして、建物から飛び出すこととなった。



◇◇◇



「雷電さん!?」


「無事でよかった〜」


 シャルズの建物の外。少し離れた道路の物陰に隠れていた小雪達が駆け寄って来た。


「雷電さん、抜けられそうですか?」


 小雪に言われ体をよじるが、やはり抜け出せない。


「無理でごわす」


「ん〜、転がして帰ろっか」


 結局、小春に転がされながら廃相撲部屋《セーフハウス》へと向かうのだった。


 おいどんはバターにならないよう、意識を保つのに必死だった。



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