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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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49/53

第49話:絶望の重圧と、聖炉の微光

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アイゼンヴァルト家の当主バルドルフが操る超重量級要塞獣の圧倒的な猛攻の前に立ち向かう、心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である小龍。絶体絶命のピンチの中、仲間を護るために自らの限界を超えようと闘志を燃やす。

フェリル

第弐位階(成長期)へと進化したウルフ。凄まじい重力魔導の嵐の中でも、神速の気配を失わず仲間を支える。

ポルカ

第弐位階(成長期)へと進化したゴーストのマスコット。要塞獣の放つ破滅光線を防ぐため、全霊で多層反転障壁を維持する。

シルビア・ローゼンベルク

エリート召喚師。統御の間に満ちる絶望的な魔導エネルギーの解析と、防衛のための指示を冷静に飛ばす。

ルナ

第弐位階(成長期)へと神々しく進化した白銀の狐。月光の聖力を極限まで高め、パーティ全体を消滅から守る盾となる。

ギル

第弐位階(成長期)へと進化したグリフォン。上空からの機動力を活かし、要塞獣の牽制に命を削る。

エルミナ

心優しきエルフ族の聖職者。負傷と疲労に耐えながら、仲間たちの生命力を支えるための祈りを捧げ続ける。

レム

小型ゴーレム。レインの足元で微かに光を放ちながら、仲間たちと共に奇跡の瞬間を待ち望む。

バルドルフ・アイゼンヴァルト

アイゼンヴァルト家の絶対的な当主。要塞の全魔力を集約した要塞獣を操り、レインたちを圧倒的な力で踏みにじろうとする。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第48話をお届けします!

前回、統御の間に現れた超重量級要塞獣の圧倒的な威圧感の前に、一歩も動けぬ窮地に追い込まれたレイン一行。第48話では、絶望的な破滅光線が迫る極限状態の中で、星見の秘境で手に入れた「増幅の聖炉」がかすかな光を放ち、仲間たちの想いと共鳴し始める熱い転換点をお届けします。ぜひじっくりとお楽しみください!

統御の間の空気が、文字通り凍りついたように重く張り詰めていた。

アイゼンヴァルト家の当主バルドルフが冷酷に振り下ろした統御の号令とともに、超重量級要塞獣「アイゼン・シュトラール」の全身に張り巡らされた無数の魔導砲塔が、一斉に不気味な赤紫色の光を限界まで膨れ上がらせた。部屋全体が轟音を立てて軋み、空間そのものがねじ曲がるような凄まじい重力異常がレインたちの全身を押し潰そうと襲いかかる。

「終わりだ。その愚かな絆ごと、我が鉄の掟の土踏みに沈めてやるがいい――!」

バルドルフの冷徹な宣告と同時に、要塞獣の巨体が微かに震え、次の瞬間、世界そのものを焼き尽くすかのような最大出力の魔導破滅光線が、一斉に解き放たれた。

――ドゴォォォォンッ!!

空間を引き裂くようなすさまじい轟音とともに、周囲のすべてを消し飛ばさんとばかりの圧倒的な熱量と破滅の光の奔流が、レインたちの立っている場所めがけて容赦なく直撃した。視界のすべてが眩い赤紫色の閃光に染まり、息をすることすら困難なほどの熱風が吹き荒れる。

「来るわよ……! みんな、全力で防御してっ!!」

シルビアが血気盛んに叫び、エメラルドグリーンの魔導障壁を限界まで展開した。彼女の額から大粒の汗が流れ落ち、魔導回路に過負荷がかかってパチパチと不気味な火花が散っている。

しかし、要塞全体の魔導エネルギーを直接背負った破滅光線の破壊力は、人間の張る通常の障壁など紙細工のように容易く押し潰すほどの絶望的な質量を持っていた。

「ぐっ……! 重圧が、身体を押し潰していく……!」

フェリルが低い悲鳴を上げながら、高速の脚力で必死に地面を踏ん張ろうとするが、硬質な床のタイルが次々と粉々に砕け散り、後ろへと大きく押し戻されていく。

ポルカが展開した多層反転障壁『プリズム・アンチ・フィールド』も、激しい衝撃の連続に耐え切れず、あちこちに蜘蛛の巣状の亀裂が走り始めていた。

「ボクたちの力じゃ……このままじゃ、押し切られちゃう……!」

上空から必死に風圧で軌道をそらそうとしていたグリフォンのギルも、破滅光線の凄まじい熱風に巻き込まれ、バランスを崩して地面へと叩きつけられかけた。

「ギル君っ……!」

エルミナがすぐに杖を突き立て、自分の魔力の限界を超えた神聖魔法の膜を広げてギルを包み込み、直撃の消滅だけは辛うじて防いだものの、彼女自身の口元から鮮血がわずかに一筋こぼれ落ちた。過酷な環境と連続する戦闘の疲労が、エルフの聖職者の限界をとうに超えさせていた。

「エルミナさん! みんな……っ!」

レインは足元に広げた青い魔方陣の光を極限まで広げ、仲間たち一人ひとりの身体を必死に支えようと両手を突き出していた。しかし、要塞獣の放つ魔導破滅光線の圧力はあまりにも強大で、レインの足元にある青い魔方陣すらも、徐々にその光の面積を狭められ、消えかけの灯火のようになっていた。

玉座の高みからその光景を見下ろしているバルドルフは、冷酷な笑みを浮かべたまま言い放った。

「無駄な抵抗だ。感情に流された脆弱な力など、我がアイゼンファルスの絶対的な合理と鉄の掟の前には、ただの塵芥にすぎん。消え失せるがいい」

絶望的な物量差と、逃げ場のない重力魔導の包囲網。

誰もがもはやこれまでかと思った、その極限の瞬間だった――。

レインの胸のポケットの奥底から、微かに、しかし確かな温もりを持つ光が漏れ出した。

それは、かつて星見の秘境の古代遺跡で厳しい試練を乗り越えて手に入れ、ここまで大切に携えてきた伝説の遺物――**「増幅の聖炉」**だった。

カチッ……、コトッ……。

聖炉の表面に刻まれた古い古代のルーン文字が、まるで意思を持っているかのように一つ、また一つと鮮やかな青銀色の光を灯し始めたのだ。それは暗闇の中に差し込む一筋の星屑のようでありながら、周囲の重苦しい魔導の圧力を払いのけるほどの神聖な波動を秘めていた。

「……え……? これは……?」

レインは息を呑み、胸元に手を当てた。

聖炉から放たれた青銀色の光は、外敵の攻撃によって圧倒されかけていたレインの「青い魔方陣」の光と接触した瞬間、まるで磁石に引き寄せられるように激しく共鳴し始めた。

ピキイイッ……! と空間が微かに鳴動し、統御の間に充満していた重苦しい圧倒的な重力プレッシャーが、聖炉の光を中心にしてわずかに、しかし確実に押し戻されていった。

なっ……!? あの光は……魔導回路のエネルギー反応ではない……! 一体、何を隠し持っているというのだ……!?

玉座に座っていたバルドルフが、初めてその冷酷な仮面をわずかに揺らめかせ、驚愕の視線をレインの胸元へと向けた。彼の眉間に深いシワが寄り、完璧に計算されたはずの鉄の掟のシステムに、想定外のノイズが混ざったことへの焦りが微かに滲み出ている。

聖炉の光は、レインだけでなく、その周囲で満身創痍になりながらも立ち上がろうとしている仲間たちの姿を優しく包み込んでいった。

小さな鉱石ゴーレムのレムの胸元で透き通るスカイブルーに輝いていたコアが、聖炉の光とリンクするように眩しく脈打ち始めた。レムは小さな身体をピンと跳ね上げ、「キュピ……!」と、これまで聴いたこともないほど美しく力強い電子音を響かせた。廃棄されたスクラップだった頃の面影は微塵もなく、そこには確かな誇りを持った一人の戦士の魂が宿っていた。

「ワンッ……! この温かい力は……僕たちの芯から湧き上がってくる……!」

フェリルが力強く立ち上がり、その美しい毛並みに神聖な輝きが宿る。

ポルカの霊体がさらに鮮やかな青白さを取り戻し、ルナの纏う月光の波動が幾重もの光の輪となってパーティ全体を守る強固な城壁へと変わっていく。

そして、上空で翼を痛めていたファル(小龍)の全身が、聖炉から溢れ出た無数の青銀色の光の粒子に包み込まれた。

『レイン……ボク、なんだかすごく身体が温かいんだ……! この光が、ボクのなかの奥底にある何かを目覚めさせようとしている……!』

ファルの身体が、聖炉の莫大な神聖エネルギーとレインの青い魔方陣の魔力、そして仲間たちの「絶対に負けない、護り抜くんだ」という強い想いのすべてを吸収し、激しい光の繭へと変化していった。統御の間の天井を突き抜けるかのような巨大な光の柱が立ち上り、要塞全体がその奇跡の波動に震え始めた。

「これは……聖炉が、僕たちの絆の力をすべて増幅させて……ファルの力の触媒になっているんだ……!」

レインはその光景を目の当たりにし、瞳を大きく見開きながら力を込めて両手を掲げた。胸の奥から熱いものがこみ上げ、仲間たちとのこれまでの歩みのすべてが走馬灯のように脳裏をよぎる。

「ふざけるな……! たかがガラクタの遺物ごときで、我が要塞の完全なる絶対防御を覆せると思うな! 要塞獣、出力をさらに上げろ、すべてを跡形もなく消し飛ばせ!!」

バルドルフが激昂し、玉座から身を乗り出すようにして要塞獣へと追撃の全出力を命じた。

要塞獣がさらに凄まじい咆哮を上げ、周囲の壁面を引き裂くほどの最大級の破滅光線を放とうとエネルギーを収束させる。

しかし、もはやその攻撃がレインたちに届くことはなかった。

なぜなら、聖炉の光はすでに限界を超えて解放され、統御の間の空間そのものを完全に支配し始めていたからだ。

青銀色の神聖な光の奔流と、レインの青い魔方陣、そしてレムや仲間たちの願いが完璧に一つに結晶化したその中心で、ファルの進化の繭が眩い閃光を放ちながら、ゆっくりと音を立てて砕け散ろうとしていた――!

物語はいよいよ最終局面に向けて、ファルの「飛龍」への劇的な降臨へと突入していくのだった!

後書き

第48話「絶望の重圧と、聖炉の微光」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

第47話からの緊迫した繋がりを意識し、超重量級要塞獣の圧倒的な破滅光線の前にパーティが窮地に追い込まれる絶望的な状況から、星見の秘境で手に入れた「増幅の聖炉」が放つ微光が仲間たちの想いと共鳴し始める熱い展開を描かせていただきました。聖炉が触媒となり、いよいよ物語が最高潮のクライマックスへと動き出す瞬間を楽しんでいただければ幸いです!

次回の第49話では、いよいよ聖炉の光を全身に浴びたファルが、小龍から圧倒的な翼を持つ**「飛龍ひりゅう」へと劇的な進化を果たす奇跡の降臨シーン**が幕を開けます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第49話でお会いしましょう!

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