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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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23/53

第23話:瑠璃の湖の深層と、二つの覚醒

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、ウルフのフェリル、小型ゴーストのポルカ、召喚師の少女シルビア、白銀の狐ルナ、グリフォンのギルと共に旅を続ける心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。先輩としてギルを気にかけつつ、湖の調査でも持ち前の明るさでパーティを引っ張る。

フェリル

レインの相棒である小さなウルフ。湖の深層で未知の脅威と対峙した際、いかなる状況でも対応可能なスキル『リンク・ミラージュ・ファング』に目覚める。

ポルカ

小型ゴーストのマスコット。臆病ながらも「仲間を守りたい」という強い心から、攻防一体の防御スキル『エーテル・プリズム』を開花させる。

シルビア・ローゼンベルク

実家の呪縛を断ち切ったエリート召喚師の少女。ルナと共に、深層の魔力乱れの正体を分析し、パーティを的確にサポートする。

ルナ

シルビアの相棒である気高く美しい白銀の狐。水底に潜む不穏な魔力の淀みを鋭く見抜く。

ギル

誇り高いグリフォンの幼体。空からの偵察役として、湖面の上の安全確認を元気いっぱいにこなす。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第23話をお届けします!

前回、美しい水の都クリスタリアに到着し、瑠璃の湖の深層調査クエストを受理したレインたち。第23話では、いよいよ湖の深層部へと潜入し、そこで待ち受ける未知の異変との戦いの中で、フェリルとポルカの二人がそれぞれの新しい技に目覚める、熱い成長と覚醒のエピソードを描きます。ぜひじっくりとお楽しみください!

クリスタリアの象徴である「瑠璃の湖」は、地上から見るとどこまでも青く穏やかで美しい広がりを見せていたが、ギルドから支給された特殊な魔導の小舟で湖の中心部へと進むにつれて、水面下の空気は徐々に重く、冷徹なものへと変わっていった。

「水面から伝わってくる魔力の淀みが、浅瀬とは全然違うわね……。まるで、湖の底に何者かが意図的に作り出したおりが溜まっているみたいだわ」

シルビアは魔導書を開き、羅針盤のように揺らぐ魔力の測定値を見つめながら険しい表情を浮かべた。

隣に座る白銀の狐・ルナも、美しい耳をピクッと立てて水面をじっと見つめている。

『ええ、ただの自然現象じゃないわ。この深層の奥には、私たちの想像を超える何か強い力が潜んでいる可能性が高いわね』

空の上では、新入りのグリフォンの幼体・ギルが翼を大きく広げて旋回しながら、『みんな、前方の水面の色が変わってるぞ! なんか黒っぽい渦みたいなのが見える!』と大きな声で知らせてくれた。

「さすがギル、素晴らしい偵察だよ。みんな、いよいよ深層のエリアに入るから、気を引き締めていこう」

レインが優しく声をかけると、ファルは肩の上から『レイン、僕もいつでも攻撃できるように準備バッチリだよ!』と小さな翼を力強く震わせた。

小舟がさらに進み、湖の中央付近に達したその時だった。

突如として、穏やかだった水面がグボボボッと激しい音を立てて泡立ち、巨大な水の渦巻ヴォルテックスがいくつも発生した。

「わっ、なんだこれ! 急に水が渦巻いてきたぞ!」

ポルカが驚いてフワフワと空中に飛び上がり、オロオロと身を縮こまらせた。

直後、その水底の渦の中から、通常の水生魔獣とは比べものにならないほど巨大で、全身が硬質な青黒い鱗と水の衣に包まれた異形の魔獣――「アビス・サーペント」の群れが、猛烈な水飛沫を上げて姿を現した。

「グルルルルァァァーーッ!!」

その巨大な蛇状の魔獣が放つ圧倒的な水圧の咆哮は、小舟を揺るがし、周囲の空間全体を押しつぶすような重圧となってレインたちに襲いかかった。しかも、ここは水中や水面という足場の悪い特殊な環境。敵の硬い鱗と水流を纏った防御は、通常の物理攻撃や魔法を容易には通さない厄介な特性を持っていた。

「くっ……! 身体強化魔法を弾くほどの硬い水流の衣を纏っているわ! おまけにこの水圧の中では、いつもの動きが制限されてしまう……!」

シルビアが杖を構えようとするが、周囲を取り囲むアビス・サーペントたちが次々と繰り出す高圧の水弾ウォーター・バレットが、雨あられのように小舟めがけて放たれた。

「みんな、危ない!」

レインは瞬時に両手を広げ、足元からいつもの美しい青い魔方陣を展開し、周囲に最低限の障壁を張った。

しかし、敵の数は多く、深層の水圧と特殊な環境の相乗効果で、障壁の魔力が激しく削られていく。このままではジリ貧になってしまう。

その絶体絶命のピンチの中で、最前線に立っていた小さなウルフ・フェリルの瞳に、鋭い闘志の光が宿った。

(水流の壁が邪魔をして、いつものスピードが活かせない……でも、主人の青い魔方陣の光と、僕の全身の感覚を完全にリンクさせれば……どんな環境であっても、すべてを切り裂く牙になれるはずだ……!)

フェリルの全身から、青い魔方陣の共鳴に導かれるように、眩い銀色の闘気と風の魔力がフワッと立ち上った。

「ワンッ!!」

フェリルが鋭く一声吠えた瞬間、その小さな体から放たれた魔力が爆発的に収束し、全く新しい特殊な形状の闘気の牙へと昇華した。

――それこそが、どんな環境・敵の性質にも適応するスキル**『リンク・ミラージュ・ファング(共鳴幻影牙)』**だった。

「フェリル……! その技は……!」

レインが目を見張る中、フェリルは水面をまるで地面のように駆け抜け、アビス・サーペントの群れへと一気に肉薄した。

敵が硬い水流の衣で防御を固めると、フェリルの牙は一瞬で敵の魔力を打ち砕く「浄化の牙」へと性質を変化させ、さらに別の隙をつく際には「鋭利な風の刃」となって敵の装甲を完全に切り裂いた。

物理防御が硬かろうが、特殊な水魔法を纏っていようが関係ない。敵の弱点や環境に合わせて瞬時に性質が変化するその万能の牙は、まさに無敵の切れ味を発揮した。

「グルァッ!?」

アビス・サーペントの一体がフェリルの神速の牙を受けてバランスを崩し、盛大な水飛沫をあげてひっくり返った。

「すごいぞ、フェリル! 見事な技だね!」

レインが感嘆の声を上げる中、今度は別の方向から、別の脅が迫っていた。

バランスを崩したもう一匹のアビス・サーペントが、怒りに狂って周囲の水を巨大な氷柱アイシクル・ランスに変え、一斉に無数の槍としてレインたちの頭上から容赦なく叩き落としてきたのだ。

「あわわわっ! こっちにもすごいのが来ちゃったよぅ!」

ポルカは恐怖で青ざめながらも、自分の後ろには仲間たちがいることに気づいた。

(僕はお化けだから、みんなみたいに強い攻撃はできないかもしれない……だけど、みんなを守りたい! どんな攻撃だって弾き返す、僕にできる方法が絶対にあるはずだ……!)

ポルカの「仲間を守りたい」という純粋で強い勇気が、その小さな霊力を限界を超えて引き出した。

ポルカが両手をギュッと小さく握りしめ、全力で祈るように空間へ霊力を放つと、その周囲に無数の光の粒子が収束し、美しい多面体の鏡のような障壁が瞬時に形作られた。

――それこそが、攻守一体の万能ユーティリティスキル**『エーテル・プリズム(霊光の反射鏡)』**だった。

「えいっ、僕の光の鏡で受け止めてみせるっ!」

ポルカが声を張り上げると同時に、展開された『エーテル・プリズム』は、降り注ぐ無数の氷柱をそのまま完璧に受け止め、さらにその衝撃と魔力を何倍にも増幅させて、敵の足元へと綺麗に反射・無力化して跳ね返した。

ドンッ!!という凄まじい衝撃と共に、氷柱の攻撃は完全に相殺され、むしろ敵自身がその反動で身動きが取れなくなってしまった。

それだけでなく、『エーテル・プリズム』は光の角度を屈折させ、周囲に無数のポルカの幻影を作り出して敵の視界を完全に狂わせる補助効果まで発揮していた。

「ポルカも……! すごいよ、完璧な防御と反射だ!」

ファルも空中で『ポルカ、やるじゃないか! 僕も負けてられないね!』と嬉しそうに翼を羽ばたかせた。

フェリルの『リンク・ミラージュ・ファング』と、ポルカの『エーテル・プリズム』。

二人の新しい万能技が見事に噛み合ったことで、戦局は一気にレインたちの完全優勢へと傾いた。

「よし、今だね! みんなの力を一つにまとめて、この湖の淀みを完全に浄化しよう!」

レインが杖を強く突き出すと、足元に広がる青い魔方陣の光がこれまで以上に眩く輝き、フェリルの牙とポルカの光の鏡、そしてファルの炎とルナの聖なる魔力をすべて包み込んで、湖底の深層全体を一気に包み込む巨大な「浄化の波動」へと変化した。

――ドオォォンッ!!

清らかな青い光の波が湖の底を隅々まで洗い流し、アビス・サーペントたちを傷つけることなく、彼らを狂わせていた禍々しい魔力の淀みだけを完璧に消し去った。

暴走していた魔獣たちは正気を取り戻し、おだやかな瞳でレインたちを一瞥すると、そのまま静かに深層の奥へと泳ぎ去っていった。

こうして、瑠璃の湖の深層に眠る異変は、誰一人傷つくことなく、完璧な浄化と大成功によって幕を閉じられたのだった。

水面には穏やかな波が戻り、クリスタリアの美しい空と街並みが再び静かに映し出されていた。

新しい技に目覚め、互いに誇らしげな笑顔を浮かべるフェリルとポルカを、レインや仲間たちは心からの称賛と温かい笑顔で迎え入れた。

水の都クリスタリアでの大冒険を一つ乗り越え、最強のパーティはさらなる絆と自信を胸に、次の輝かしい未来へ向けて歩みを進めていくのだった。

後書き

第23話「瑠璃の湖の深層と、二つの覚醒」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

瑠璃の湖の深層調査を舞台に、フェリルが万能スキル**『リンク・ミラージュ・ファング』に、ポルカが攻守一体の万能スキル『エーテル・プリズム』**にそれぞれ目覚める感動と興奮のエピソードを描かせていただきました。仲間たちの成長がパーティ全体の絆をさらに強くしていることがしっかりと伝わっていれば幸いです!

次回の第24話では、クエストを大成功させたレインたちがクリスタリアの街で盛大に歓迎される穏やかな日常や、次の目的地へ向けた新たな伏線・出会いに繋がっていきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第24話でお会いしましょう!

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