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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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20/53

第20話:白銀の相棒と、空飛ぶ小さな翼

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、ウルフのフェリル、小型ゴーストのポルカ、召喚師の少女シルビア、白銀の狐ルナと共に新しい旅を続ける心優しき召喚師。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。新しい仲間が増えたことで、お兄ちゃんとしての誇らしさと張り切りがさらに増している。

フェリル

レインの相棒である小さなウルフ。優れた嗅覚と聴覚でパーティを支え、新しく加わった仲間たちを温かく見守る。

ポルカ

小型ゴーストのマスコット。ルナや、新しく出会う小さな生き物に興味津々で、いつも楽しそうに飛び回っている。

シルビア・ローゼンベルク

実家の呪縛を自らの意志で断ち切り、新たな一歩を踏み出したエリート召喚師の少女。

ルナ

シルビアが初めての「絆の召喚」によって契りを結んだ、気高く美しい白銀の狐。知性と気品を備え、シルビアの最高の相棒となる。

ギル

誇り高い魔獣「グリフォン」の幼体。空を飛ぶことに強い憧れを抱いているが、まだ上手に飛べず、崖から落ちかけていたところをレインたちに助けられる。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第20話をお届けします!

前回、ローゼンベルク家の使者たちを退け、シルビアが自らの意志で気高き白銀の狐・ルナを相棒として迎え入れた感動のエピソード。第20話では、賑やかさと絆をさらに深めた一同が商業都市メルトーナを旅立ち、美しい湖畔の街「クリスタリア」へと向かう道中で、**「まだ上手に飛べないグリフォンの幼体・ギル」**と出会う、心温まる新しい出会いの物語を描きます。ぜひじっくりとお楽しみください!

ローゼンベルク家の使者を退けた翌日の朝、商業都市メルトーナの宿の一室は、これまで以上に晴れやかで、そして温かな活気に包まれていた。

窓から差し込む柔らかな陽光の中、テーブルの上には美味しい朝食のパンとスープが並んでいる。その傍らでは、新しく正式な仲間となった白銀の狐――ルナが、優雅に四本の足を揃えて座っていた。

「ルナ、昨日はよく眠れたかい? 口に合うかわからないけれど、これどうぞ」

レインが優しく声をかけながらお皿を差し出すと、ルナは気高い瞳を細め、上品な仕草でそれを口にした。

『美味しいわ、レイン。それに、空気がこんなにも心地よく感じられるなんて……昔の私では考えられなかったことよ』

ルナのその穏やかな声が、心の中に直接響いてくる。

シルビアは、すっかり自分の隣が定位置になったルナの美しい白銀の毛並みを優しく撫でながら、どこかすっきりとした晴れやかな笑顔を浮かべていた。実家の呪縛という重い鎖から大きく解かれた彼女の表情には、かつての冷たさや厳しさは微塵もなく、一人の魅力的な少女としての柔らかな輝きが満ちていた。

『きゅっ! ルナ、おはよー! 今日は新しい街へ出発するんだよ!』

ファルが嬉しそうにパタパタとルナの周りを飛び回り、ポルカも『ルナちゃん、一緒に遊ぼうねー!』とフワフワと周りを回る。

ルナは少し面食らったような表情を浮かべた後、ふっと優しく微笑み、尾を上品に揺らした。『ええ、よろしくね、ファル、ポルカ。これからの旅がとても楽しみだわ』

フェリルも「ワンっ!」と明るく一声吠え、足元から挨拶を送った。

こうして、人間二人、魔獣・精霊・聖獣四匹という、さらに大所帯で賑やかさを増した最強のパーティは、メルトーナの街に別れを告げ、次の目的地である美しい湖畔の街**「クリスタリア」**へ向けて、新たな旅の第一歩を踏み出したのだった。

メルトーナを囲む平原を抜け、一行が険しい山岳地帯のふもとに差し掛かった頃のことだった。

周囲の景色は緑豊かな草原から、切り立った崖やゴツゴツとした岩肌が目立つ荒涼としたエリアへと変わり始めていた。

「ふう、少し足場が悪くなってきたね。みんな、足元に気をつけて進もう」

レインが声をかけ、フェリルが鋭い嗅覚で安全な小道を選びながら先頭を進む。

その時だった。

頭上の高い崖の上から、何やら聞き慣れない、しかしどこか必死で、そして少し情けないような動物の鳴き声が聞こえてきた。

「キュイーッ……! ぐぬぬ……! ど、どうしてまっすぐ飛べないんだよーっ!」

「……ん? いまの声は、上から聞こえたような……?」

レインが足を止め、怪訝そうに頭上の空を見上げた。

ファルも小さな耳をピクッと動かし、『レイン、上になにかいるよ! 鳥さんかな?』と空を指さした。

一同が視線を向けると、そこには驚くべき光景が広がっていた。

切り立った高い崖の縁で、全身に黄金色の美しい羽毛と、凛々しいライオンのような上半身と下半身を持つ、気高い幻獣――「グリフォン」の幼体が、バタバタと必死に小さな翼を羽ばたかせていたのだ。

しかし、そのグリフォンの幼体は、まだ自分の体の大きさに翼のサイズが追いついていないのか、いくらパタパタと全力で羽ばたいても、体が数センチ浮いたかと思うと、すぐにバランスを崩してドテッと地面に転がってしまうという失態を繰り返していた。

「キュイーーッ! ぐぬぅ、ボクは誇り高き空の王者グリフォンだぞ! なんで地面にペタッと張り付いちゃうんだよーっ!」

その幼体は、悔しさのあまり小さな前足で地面をドンと蹴り、ぷるぷるとお尻を震わせながら叫んでいた。

「あれは……グリフォンの幼体ね! でも、あんな小さな子がどうしてあんな危ない崖の上に……?」

シルビアが驚きながら魔導書を構えようとすると、ルナが静かに首を横に振った。

『待って、シルビア。あの子、敵意があってあそこにいるわけじゃないわ。ただ……自分で飛ぼうとして、見事に失敗して降りられなくなっているだけよ』

ルナの言う通り、よく見るとそのグリフォンの幼体は、崖の突き出した狭い岩の足場から一歩も動けなくなり、恐怖で目をウルウルさせながら必死に助けを求めている状態だった。

「なるほど、まだ上手に飛べないのに、一人で無理して高いところに登っちゃったんだね。よし、放っておけないし、助けに行こう」

レインは優しい笑みを浮かべると、慎重に足場を選びながら崖のふもとへと近づいた。

「おーい、危ないからそんなところで暴れちゃダメだよ。大丈夫かい?」

レインが穏やかな声でそっと声をかけると、グリフォンの幼体はビクッと体を跳ねさせ、慌てて威嚇するように小さな胸を張ってみせた。

「な、なんだお前たちは! ボクは一人でちゃんと飛べるんだ! 助けなんか……ひゃうっ!?」

強がりを言った瞬間、足元の小石がパラパラと音を立てて崖の下へ滑り落ち、幼体の足場がぐらりと大きく揺らいだ。

「わわわっ! 落ちる、落ちるぅーーっ!」

バランスを完全に失った幼体は、キャッと情けない声を上げながら、そのまま崖の縁からスポーンと真っ逆様に落っこちてきたのだ。

「危ないっ!」

レインは瞬時に身構え、地面にそっと左手を滑らせた。

――シュウッ!

レインの足元から鮮やかに広がった青い魔方陣の柔らかな光が、落下してくる幼体を優しく包み込み、その勢いをすっと完全に吸収した。

ドスン、ではなく、まるで綿毛が落ちるように、グリフォンの幼体はレインの足元の草むらにふわりと着地した。

「ふう……怪我はないかい?」

レインがそっと膝をついて覗き込むと、グリフォンの幼体はしばらくポカンと目を開けて自分の体を確認し、それから目の前にいる人間の顔をジッと見つめた。

幼体は気まずそうに顔を赤らめ(羽毛の下なので分かりにくいが)、モジモジしながら小さな声で呟いた。

「……べ、別に助けてなんて頼んでない……。でも……ありがと……」

その素直になれない不器用な姿に、ファルが『ぷふっ、なんだあの子、ちょっと僕に似て意地っ張りだね!』と楽しそうに小さく笑った。

ポルカもフワフワと近づき、『お名前はなーに? 落ちちゃって怖かったでしょ?』と優しく声をかける。

グリフォンの幼体は少し気圧されたように後ずさったが、レインたちから一切の敵意や「従えようとする傲慢な魔力」が感じられないことに気づくと、少しずつ警戒を解いていった。

「……ボクの名前は『ギル』だ! 空の王様になるために、毎日飛び方の特訓をしてんだ!」

胸を張ってそう名乗ったギルだったが、お腹から「キュルルル……」と盛大な音が響き渡ると、ギルの顔が一気に真っ赤に染まった。

そのあまりの可愛らしいギャップに、シルビアやルナも思わずクスッと微笑んだ。

「お腹がペコペコみたいだね、ギル。よかったら、僕たちの持っている保存食を分けてあげるよ。一緒に食べよう」

レインが優しく微笑みながら、柔らかい干し肉と木の実を差し出すと、ギルの瞳はみるみるうちに感動の涙でいっぱいになった。

「い、いいのか……? ボク、まだ何もお礼ができないのに……」

「いいんだよ。困った時はお互い様さ」

ギルはガツガツと夢中でそれを頬張りながら、すっかりレインたちのことが気に入った様子で、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。

「ねえ、君たち、すごく温かい匂いがする! ボクを、その……仲間に加えてくれないかな? まだうまく飛べないし、迷惑かけちゃうかもしれないけど……もっと強くなって、いつか大きな空を自由に飛んでみせるんだ!」

ギルのその真っ直ぐで力強い言葉を聞いたレインは、嬉しそうにうなずいた。

「もちろん大歓迎さ、ギル。空を飛ぶ練習なら、僕たちがいくらでも手伝うよ。これからよろしくね」

『やったー! 仲間が増えたぞ!』

ファルが嬉しそうに宙を舞い、フェリルも「ワンっ!」と歓迎の声をあげた。ルナとシルビアも温かい眼差しでギルを見守っている。

レインがそっと差し出すと、いつものように美しく透き通るような青い魔方陣がふわりと広がり、ギルの小さな体を優しく包み込んだ。

力による支配ではなく、互いを信頼し合う温かい絆の契約。

光の中から、ギルの額にほんの一瞬だけ青い光の紋様が浮かび上がり、消えていった。

こうして、まだうまく飛べないけれど誇り高いグリフォンの幼体・ギルが、新しいパーティの仲間として加わったのだった。

賑やかさと頼らしさがさらにパワーアップした最強のパーティは、ギルを仲間に加え、次の目的地である美しい湖畔の街クリスタリアへ向けて、再び笑顔と希望に満ちた足取りで旅を続けていくのだった。

後書き

第20話「白銀の相棒と、空飛ぶ小さな翼」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

ローゼンベルク家の騒動が落ち着き、ルナが加わった穏やかな日常から、次の目的地への道中で出会う**「まだうまく飛べないグリフォンの幼体・ギル」**との出会いと仲間入りを描かせていただきました。ファルやギルなど、小さな魔獣たちが織りなす賑やかな掛け合いや、パーティの温かい雰囲気がしっかりと伝わっていれば幸いです!

次回の第21話では、ギルの飛行特訓をしながら進む湖畔の道中や、クリスタリアの街で待ち受ける新たなクエストや出会いに繋がっていきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第21話でお会いしましょう!

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