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使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~  作者: チョコ大福


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18/53

第18話:霧の晴れ間と、ローゼンベルクの影

登場人物

レイン・アークライト

主人公。アークライト家を出奔し、ミニドラゴンのファル、ウルフのフェリル、小型ゴーストのポルカ、そして召喚師の少女シルビアと共に新しい旅を続ける心優しき召喚師。知性的で柔らかな物腰と「僕」という一人称を好む。

ファル

レインの相棒である手のひらサイズのミニドラゴン。前回の戦いを経てさらに絆を深め、お兄ちゃんとしてみんなを引っ張る頼もしい存在。

フェリル

レインの相棒である小さなウルフ。優れた嗅覚と聴覚でダンジョン全体の魔力の流れや危険を的確に察知する。

ポルカ

小型ゴーストのマスコット。仲間たちとの冒険を通じて少しずつ勇気をつけ、明るくパーティを癒やしている。

シルビア

名門の家出中で、レインのパーティに正式加入したエリート召喚師の少女。自身の過去や呪縛と向き合いながら、レインたちと心を通わせる。

ローゼンベルク家の使者

シルビアを連れ戻すために五大家系の一つ「ローゼンベルク家」から派遣された、冷徹で格式高い雰囲気を纏う黒服の男たち。

前書き

『使役を捨てた召喚師の成り上がり ~最弱のミニドラゴンと、虐げられた仲間たちと歩む世界改革~』第18話をお届けします!

前回、霧幻の谷の奥でガレルトを救い出し、力による支配の限界を浮き彫りにしたレインたち。第18話では、いよいよ霧幻の谷の異変の核心を鎮圧し、レインが新しい技**『アストラル・ガード』**を初披露する感動の展開と、商業都市メルトーナへ戻った彼らを待ち受ける新たな波乱を描きます。ぜひじっくりとお楽しみください!

霧幻の谷の奥深く、その中心に位置する禍々しい魔力の淀みの前で、レインたちは最後の試練に直面していた。

暴走しかけていた古代の魔導具から、周囲の空間を引き裂くような強烈な魔力の逆流――いわゆる「魔力爆発」のエネルギーが、一気に津波のように押し寄せてきていた。空間そのものが歪み、空気がピリピリと肌を刺すような重圧となって全員の肩にのしかかる。

「……っ! このままでは、放出される魔力の衝撃で谷全体が吹き飛んでしまうわ! 魔導具の制御核が完全にオーバーロードを起こしているわよ!」

シルビアは魔導書を開きながら、青ざめた顔で声を上げた。先ほどまで気丈に振る舞っていた彼女も、この規模のエネルギーの暴走には圧倒されかけていた。書物のページが強風で激しくめくれ上がり、彼女の手指が微かに震えている。

ガレルトの一件で自分の過ちに気づき、その場へ呆然と座り込んでいたガレルトや取り巻きの冒険者たちも、その圧倒的な死の気配を感じ取って恐怖に震え上がっていた。

「なっ……なんだこれ……! こんなの、防げるわけがない……メルトーナの街まで吹き飛ぶぞ……!」

ガレルトは今までの傲慢さが嘘のように顔面を蒼白にし、頭を抱えてその場に崩れ落ちた。恐怖のあまり、足がすくんで一歩も動くことができない。

しかし、レインの表情には微塵の動揺もなかった。

彼は一歩前へ踏み出すと、ファル、フェリル、ポルカ、そしてシルビアのほうを優しく振り返り、いつものように穏やかに、そして力強く微笑んだ。

「みんな、大丈夫だよ。これまで僕たちが培ってきた絆の力を、今こそ一つに合わせよう。僕たちは一人じゃないんだからね」

『レイン、任せて! みんなを守るんだ! 僕たちなら絶対にできるよ!』

ファルが小さな翼を力強く広げ、青い瞳を真っ直ぐに輝かせた。

フェリルも「ワンッ!」と頼もしく一声吠え、主の足元で微動だにせず構える。

ポルカも『僕の小さな力だって、みんなと一緒なら大きな光になるんだ! みんなを守るために頑張るよ!』とフワフワと体を輝かせながら気合を入れた。

シルビアはその温かい眼差しに心を打たれ、胸の奥で渦巻いていた不安がスッと消えていくのを感じた。彼女はギュッと杖を握りしめ、力強くうなずいた。

「――頼むよ。『アストラル・ガード』!」

レインが両手を大きく広げ、地面に展開された青い魔方陣に自らの魔力を注ぎ込むと同時に、ファル、フェリル、ポルカ、そしてシルビアの「守りたい」「一緒に歩みたい」という強い意志の波長が、奇跡のように一つの巨大な光のネットワークとして完全に共鳴した。

瞬間――!

レインの足元から眩いほどに透き通る、美しく巨大な青い光の障壁――**『アストラル・ガード』**がドーム状に展開された。

それは単なる魔力の壁ではない。全員の魂の絆と信頼が織りなす、絶対的な共鳴の聖域だった。青い光の粒子がまるで意思を持っているかのように美しく舞い上がり、パーティ全員の体を包み込んでいく。

直後、魔導具から爆発的に放たれた凄まじい魔力の奔流が、その青い障壁へと激突した。

ドオオォォンッ!!という世界を引き裂くような轟音と衝撃が谷全体を激しく揺るがし、凄まじい熱風と衝撃波が吹き荒れた。周囲の頑丈な岩肌が削れ、空間が歪むほどのエネルギーが容赦なく襲いかかったが、レインたちが展開した『アストラル・ガード』は、一歩たりとも揺らぐことがなかった。

障壁の内側にいるレインたちは、まるで穏やかな春の風の中にいるかのように安全で、互いの温もりをしっかりと肌で感じていた。外側の世界がどれほど荒れ狂っていようとも、この青い光の中だけは、絶対的な安心感に満ちていたのだ。

「信じられない……。これほどの魔力の奔流を、一人ではなく、全員の絆の共鳴で完全に受け止めて相殺してしまった……これが、力による支配ではない、本当の絆の力なのね……!」

シルビアは目の前で繰り広げられている奇跡のような光景に、エメラルドグリーンの瞳を信じられないほど見開いて感動に震えていた。

やがて、激しい魔力の嵐が嘘のようにスッと収まり、霧幻の谷を長年包み込んでいたどんよりとした不気味な濃霧も、青い光の余韻によってきれいに晴れ渡っていった。

空には、メルトーナの美しい青空がどこまでも高く戻り始めていた。吹き抜ける風が、これまでの重苦しい空気をすっきりと洗い流していく。

「……ふう。みんな、怪我はないかい?」

レインが優しく振り返ると、ファルは『余裕だったよ! お兄ちゃんかっこよかった!』と胸を張り、フェリルは尻尾を元気に振り、ポルカは『やったね! 怖くなかったよ、お疲れ様ー!』とくるくると宙を舞って喜んだ。

その場にへたり込んでいたガレルトたちは、自分たちが命拾いしたことすら信じられない様子で、ポカンと口を開けたままレインたちの姿をただ見つめることしかできなかった。力ではなく、本当の絆によって巨大な災厄を乗り越えたその背中は、彼らにとって眩しすぎて直視できないほどに輝いて見えたのだった。ガレルトの心の中で、これまでの歪んだプライドと傲慢さが音を立てて崩れ去っていくのを感じていた。

こうして、霧幻の谷の特命クエストは、レインたちの完璧な勝利と大成功によって幕を閉じた。

数日後。

商業都市メルトーナの冒険者ギルドは、レインたちの歴史的な大功績の話題で持ちきりだった。「霧幻の谷の魔力暴走を完璧に鎮圧し、一人の負傷者も出さなかった最強のパーティ」として、彼らの名はメルトーナ全域にその名を轟かせることになった。ギルドの掲示板の前を通る冒険者たちは、誰もが敬意と憧れの眼差しを向けてくる。

ギルドでの正式な報酬受け取りと報告を終え、心地よい達成感に包まれながら、レインたちは拠点としている宿へと戻ってきた。窓から差し込む午後の光が、部屋の中を明るく照らしている。

「いやぁ、本当に大成功だったね! みんな、本当にお疲れ様! これからも力を合わせて頑張っていこうね」

広間のテーブルに荷物を置きながら、レインが満面の笑みでそう言った時だった。

――コツ、コツ、コツ……。

宿の重厚な木の扉を叩く、上品で、しかしどこか冷徹さを感じさせる規則正しい足音が響いた。

その音を聞いた瞬間、それまで笑顔だったシルビアの表情が、文字通りスッと凍りついた。彼女のエメラルドグリーンの瞳に、これまでにないほどの強い警戒の色と、わずかな動揺の色が走る。まるで、過去の悪夢が再び現実のものとして目の前に現れたかのような怯えの色が混じっていた。

「……この足音、そしてこの独特で冷たい魔力のプレッシャー……まさか……こんなところにまで……っ!」

シルビアがゆっくりと窓の外、あるいは玄関の方へと視線を向けたその時、宿の正面玄関の扉が音もなく押し開けられた。誰も逆らうことができないような、圧倒的な格式と威圧感が部屋の空気を一瞬で重くさせた。

そこに立っていたのは、仕立ての良い漆黒のスーツに身を包み、一切の感情を感じさせない冷徹な眼差しをした数人の黒服の男たちだった。彼らの胸元には、メルトーナではまず見られない、高貴で重厚な「気高い茨の薔薇と交差する騎士剣」を模した紋章が上品に輝いていた。

その紋章を見た瞬間、シルビアの顔色からサーッと血の気が引き、唇がワナワナと震えた。

「……嘘……どうして、ここまで……お父様……いや、一族の使者たちが……っ!」

黒服の男たちの先頭に立っていた初老の執事風の男は、冷ややかな視線を部屋の中へと向け、シルビアの姿を捉えると、ゆっくりと一礼して低く響く声でこう告げた。その声には、一切の慈悲や温かさが含まれていなかった。

「お久しゅうございます、シルビアお嬢様。当主様のご命令により、ただいまお迎えに上がりました。いい加減、このような地方の町で泥遊びをするのはおやめいただき、我が**『ローゼンベルク家』**の誇り高き血筋へと、今すぐお戻りいただきますよ」

――アークライト家と並ぶ、強大な召喚師の五大家系の一つ**「ローゼンベルク家」**の名前が、静まり返った部屋の中に冷たく響き渡った。

シルビアの運命を縛る古い因縁が、ついに彼女の足元まで追いついてきたのだった。

果たして、シルビアはこの絶対的な呪縛をどう振り切り、自分の未来を掴み取るのか。そして、彼女の心に寄り添うレインたちはどう動くのか。物語はいよいよ最大の転換点へと突入していく。

後書き

第18話「霧の晴れ間と、ローゼンベルクの影」を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

霧幻の谷の最奥でレインが初披露した新スキル**『アストラル・ガード』の圧倒的な安心感と、全員の絆で災厄を乗り越える感動の瞬間を描かせていただきました。文字数をたっぷりと増やし、緊迫感と臨場感を高めてお届けしております。そして、物語はいよいよ新章へ――シルビアの実家である五大家系の一つ「ローゼンベルク家」**の使者がメルトーナに現れる、緊迫の展開に突入です!

次回の第19話では、ローゼンベルク家の使者との直接対決や、シルビアが古い因縁に立ち向かう感動の決意表明に繋がっていきます……!

ブックマークや評価、いいねなどをポチッと押していただけると、執筆のモチベーションがものすごく跳ね上がります!

それでは、第19話でお会いしましょう!

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