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混沌の神の再生  作者: 桐ヶ谷本真志
クラスチェンジ。
16/16

Hunter stands at the top

アベルが玉座の間の奥へ進むほどに、すべてが静かになっていく。


音はない。動きもない。風すらない。


ただ、四方から押し寄せる静寂だけがある。


アストラは一歩後ろを歩いている。足音も、呼吸もない。ただ……そこに存在しているだけだ。かろうじて。


壁の松明が揺らぐ。


一度。


二度。


そして同時に、すべてが消える。


闇がすべてを覆う。


奥から低い音が響く。


呼吸音。


ゆっくりと、重い。


足元が揺れる。


それでもアベルは歩き続ける。


「……ああ」


その時——


闇の中に二つの光が現れる。


目だ。


巨大で、燃え上がるように、こちらを見ている。


空気が熱くなる。息がしづらい。まるで空間そのものが生きているかのようだ。


石がひび割れる。


玉座が中央から裂け——


——そこから何かが姿を現す。


ドラゴン。


巨大な黒い鱗に覆われた体。しかしそれは正常ではない。鱗はひび割れ、その内側で赤い光が、まるで内部に閉じ込められた炎のように揺れている。口からは煙が漏れ、ゆっくりと翼を広げる。


その存在だけで、部屋が狭く感じられる。


アストラの姿が一瞬揺らぐ。


「……普通じゃない」


アベルの前に画面が現れる。


[ボス検知]

[名称:???]

[称号:システムガーディアン]

[レベル:???]

[警告:データ破損]


ドラゴンが頭を下げる。


真っ直ぐにアベルを見る。


そして咆哮する。


衝撃波のような音が空間を叩き、地面が砕け、壁に亀裂が走り、天井から砂塵が落ちる。


アストラは瞬時に消える。


ドラゴンが息を吸い込む。


空気が一気に引き寄せられ——


次の瞬間——


炎。


巨大な赤い炎の奔流が部屋全体を埋め尽くす。


アベルはその中へ踏み込む。


炎が割れる。


彼を焼かない。まるで避けるように、彼の周囲を流れていく。


「……分かりやすいな」


彼は消える。


ドラゴンの上空に現れ——


斬る。


金属音。


何も起きない。


刃は傷一つ残さない。


「……チッ」


ドラゴンが即座に反応する。


爪が跳ね上がる。


アベルは空中で身体をひねり、かろうじて回避する。


着地し、ひび割れた床を滑る。


「……耐久が高いな」


一瞬の揺らぎ——


アストラが首元に現れる。


三連撃。同じ箇所へ。


カン、カン、カン。


変化なし。


反応される前に消える。


ドラゴンが動く。


さらに速く。


大きく口を開け、突進する。


アベルは消える。


側面に現れ——


再び斬る。


カン。


やはり効かない。


背後から尾が迫る——


ドン——!!


地面が爆ぜる。


石片が飛び散る。


アベルは再び滑り、片足で止まる。


観察する。


ドラゴンが再び攻撃する。


爪、尾、牙。


すべて同時。


アストラはその間を縫うように現れては消え、角度を変え、箇所を変え、探る——


弱点はない。


「……隙がない」


彼女は小さく呟き、再び消える。


アベルは息を吐く。


「……なら、作る」


ドラゴンが再び突進する。


さらに速く。


さらに近く。


牙が迫る——


「……今だ」


アベルは踏み込む。


手が下顎に触れ——


わずかに動かす。


軌道がずれる。


噛みつきが外れる。


アストラが即座に現れる。


斬る。


火花が散る。


わずかな差。


もう一度。


さらにもう一度。


同じ場所に。


少しずつ深くなる。


アベルが動く。


首を駆け上がる。


風が集まる。


荒れない。


収束された風。


「……テンペストアート」


背後に白い虎の影が浮かぶ。


静かに見据える。


「白虎斬」


振り抜く。


細い線が首に走る。


一瞬——何も起きない。


そして——


ひびが入る。


内部の赤い光が揺らぐ。


ドラゴンが咆哮する。


今度は苦痛の声。


暴れ回る。


柱に叩きつけ、床を砕く。


アストラが距離を取って現れる。


「……効いた」


システムが揺らぐ。


[警告]

[ガーディアン:フェーズ2移行]


ドラゴンの体が変化する。


ひびが広がる。


赤い光が増す。


その瞬間——


熱が消える。


空気が重くなる。


圧迫感。


ドラゴンが口を開く——


放つ。


光線。


炎ではない。


エネルギーでもない。


触れたものを消し去る。


床が消える。壁が消える。


アストラはすでにいない。


アベルは動かない。


光線が到達し——


止まる。


手を上げる。


魔力が外へ広がり、盾となる。


光線が歪み——


分裂する。


ドラゴンは止まらない。


さらに速く動く。


距離を無視して前に現れ、攻撃する。


アベルはぎりぎりで消える。


背後に現れ——


再び斬る。


カン。


まだ効かない。


ドラゴンはさらに速く振り向く。


適応している。


尾が振られる——


アベルは受け止める——


ドン——!!


再び後方へ押し出される。


「……適応するか」


ドラゴンが再び攻撃する。


今度は——


現在位置ではない。


未来位置を狙う。


アベルは回避する——


だが爪がかすめる。


ローブに裂け目が入る。


アストラが一瞬現れる。


「……予測している」


すぐに消える。


再び光線。


今度は薙ぎ払う。


アベルは動き続け、一部を逸らし、残りを避ける。


空間の半分が消えている。


その時——


システムが再び変化する。


[警告]

[ガーディアン:フェーズ3移行]


すべてが遅くなる。


時間ではない。


動き。


空気が重く、粘る。


一歩一歩が遅れる。


アストラが現れる——


だが遅い。


彼女も遅延している。


ドラゴンは違う。


完全に動ける。


遅延も抵抗もない。


攻撃。


アベルは避ける——


間に合わない。


腕に浅い傷が走る。


血が一滴落ちる。


彼はそれを見る。


「……当たるか」


ドラゴンが攻め続ける。


容赦なく。


完璧に制御された動き。


アベルは一歩下がる。


もう一歩。


観察する。


ドラゴンが咆哮する。


ひびがさらに広がる。


赤い光が不安定になる。


空間が再び揺れる。


システムが激しく乱れる。


[重大警告]

[ガーディアン:フェーズ4移行]

[システムオーバーライド推奨]


新たな表示。


[オーバーライドモードを起動しますか?]

[Yes/No]


ドラゴンが口を開く——


闇が集まる。


さらに濃く。


そして——


シャドウブレス。


巨大な波が空間を消し去る。


アベルは動かない。


直前——


[ソニックリープ]


消える。


攻撃が通過する。


何も残らない。


上空に現れる。


見下ろす。


「……全部出させる気か」


手を上げる。


魔力が集まる。


圧縮され、歪み、槍となる。


巨大な紫の槍。


黒いオーラに包まれ、不安定に揺れる。


指を向ける。


「……行け」


発射。


空間が裂ける。


ドラゴンが反応する。


再びシャドウブレス。


より強く。


衝突——


爆発なし。


音もない。


両方——


消滅する。


一瞬の静寂。


そして——


揺らぎ。


アストラ。


動く。


速い。


短剣が帯電する。


雷が集まる。


跳ぶ。


同じ箇所へ。


弱点。


一撃目——通常。


わずかに刺さる。


二撃目——


雷撃。


ドン。


電撃が内部で弾ける。


ドラゴンが絶叫する。


暴れる。


爪がアストラに当たる。


吹き飛ぶ——


だが空中で体勢を整え、刃を抜く。


壁に叩きつけられる。


石が砕ける。


着地し、滑り、止まる。


刃は握ったまま。


ドラゴンが再び咆哮する。


さらに激しく。


ひびが広がる。


システムが再び表示する。


[オーバーライドモードを起動しますか?]

[Yes/No]


「……やるか」


「……Yes」


黒い魔力が爆発する。


空間が崩壊する。


すべてが砕ける。


中心にアベルが立つ。


黒い魔力。圧倒的で暴力的。


瞳は赤く、竜のように変わる。


髪は白へ。


黒い服装。


ゆっくりと笑みを浮かべる。


「……壊せ」


炎のブレス。


片手で潰す。


黒い魔力が押し潰す。


存在ごと消す。


「……弱い」


シャドウブレス。


闇が溢れる。


彼はその中へ歩く。


ゆっくりと。


「……もっとだ」


触れた闇は引き裂かれる。


彼は消える。


目の前に現れる。


拳。


ドン。


空気が爆ぜる。


頭部が跳ねる。


ひびが入る。


「……そこか」


笑う。


蹴り。


ドン。


地面が陥没する。


拳。


ドン。


ひびが広がる。


「まだか?終わらせる」


拳を引く。


黒い魔力が集まる。


空間が裂ける。


システムが警告を出す。


[警告:魔力出力過多]


ドラゴンが察知し——


消える。


直前。


拳は空を打つ——


だが——


ドン——!!


空間が崩壊し、巨大なクレーターが生まれる。


すべてが消える。


砂塵。


静寂。


そして——


上空。


ドラゴン。


内部から発光する鱗。


瞳は紫と白。


光が溢れる。


口を開く。


闇と光が混ざる。


空間が輝く。


発射。


破壊の光線。


その前に——


アストラが立つ。


短剣を構える。


直撃——


吸収する。


刃が光る。


白と紫。


ひびが広がる。


動かない。


瞳が光る。


構える。


そして——


動く。


速い。


壁を駆ける。


尾に棘。


振るわれる。


回避しない。


斬る。


棘が落ちる。


止まらない。


到達。


跳躍。


「ボディ・ダブル」


[通知]

[アストラがスキル:ボディ・ダブルを発動]


分裂。


二体。


それぞれ短剣を持つ。


落下——


斬撃——!!


翼が切断される。


完全に。


ドラゴンが悲鳴を上げる。


落下する。


分身が短剣を投げる。


消える。


アベルが受け取る。


黒い魔力を流す。


過剰。


刃がひび割れる。


震える。


崩壊寸前。


アベルが跳ぶ。


アストラも並ぶ。


赤い魔力が噴き出す。


加速。


白い刃が赤へ変質。


到達。


連撃。


嵐のような攻撃。


速く、激しく、終わらない。


ドラゴンは反撃できない。


アストラが接近し——


赤い短剣を渡す。


アベルが掴む。


二刀。


黒い魔力が溢れる。


不安定。


刃が震える。


ひびが広がる。


今にも崩壊する。


「……終わりだ」


一閃。


首が落ちる。


体が空中で崩壊する。


血が飛び散る。


静寂。


魔力が消える。


アベルの体が揺れる。


瞳が戻る。


髪も黒へ戻る。


刃が手から落ちる。


「……チッ」


崩れ落ちる。


アストラが受け止める。


システムが表示される。


[ボス討伐完了]

[レベルアップ]×11

[隠しクラス解放]

[オーバーライドモードをスキルとして登録]

[スキル:メナスを習得]

[スキル:ドラゴンズブレスを習得]

[アストラがスキル:ステルスを習得]

[警告:魔力枯渇]

[状態:意識喪失]


すべてが、再び静寂に包まれる。


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