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MonoQlog  作者: 紅サーカス
12/36

12. 竜の混ざりモノ


「次、ヴィンセント・クラウドとアリス・エンドール」

「はい」

 対峙した二人は美男美女であった。流石亜族。流石竜族。周辺から黄色い声援と男たちの声援が飛ぶ。一見美少女に見えるクラウドはどうやら男からも人気らしい。アリスちゃん!という声援に混じってがんばれクラウドくん!という野太い声援も聞こえたからだ。僕の試合の時の三倍くらい観客がいる。この試合、ただの授業なのになぁ。実技試合の為に三クラス合同で開催しているからかもしれない。

 教師の開始の合図と同時にクラウドは“黄”の魔術を展開し、コタローくんに教わった魔法で黄色い不思議な剣を作り出す。アレ、刀っていうんだって。

 エンドールさんはクラウドを見て目を見開いて———。


 一瞬だった。


 手加減も何もない業火が舞う。クラウドの身体能力は高いからすぐに気付いて避けたけれど、避け切れない威力の炎は容赦なくクラウドの半身を焼いた。

 クラウドの魔法が解除され、教師が止めに入ってもなお、エンドールさんは魔法展開を解かず、新たな術式を組み立てていた。

 あ、これはまずい!エンドールさんはクラウドを殺しにかかっていると直ぐにわかった。半ば無意識に魔法を展開し、エンドールさんの火柱を《盾》で防ぐ。

「ッアーチャー!試合を邪魔しないでくれない!?」

 直ぐに試合に横槍を入れたのが僕と分かったのか、鋭い目をこちらに向けた。

「君のその魔法はクラウドを殺しにかかっているでしょ!いくら気に食わないとはいえ、チームメイトを瀕死にさせようとしてるのに見逃せるわけないでしょ!」

「人間無勢が口出ししないで!だってそいつは———!」


「アリス・エンドール嬢」


 トーイが声をかけたところでピタリ、とエンドールさんは動きを止めた。

「トーイ、様……」

「悪いんだけどさぁ、今回のことは俺に免じてちょっと怒りを抑えてくれない?学園内で荒事はしたくないんだ」

「しかしっ!あなたは腹が立たないんですか!あんな、半分」

 エンドールさんが言葉を止めたのは溢れ出たトーイの殺気のせいだった。僕もトーイのあんな顔初めて見た。


「ーーーーーーー」

「ーーー」


 ぴゅーぴゅるーい。びっぴゅーるる。甲高いその音はどうやら竜の言葉のようで僕にはわからなかったが、エンドールさんが跪き頭を垂れ、魔法展開を解いたことによって事態は収束したことがわかった。

 駆けつけた先生やルルドの治癒魔法によってクラウドの火傷は回復したけれど、念のために医務室へ向かうことになった。


 医務室へ向かう道中、ルルドも、僕も、クラウドも、みんな無言だった。医務室には誰もおらず、静寂に包まれている。

 半分野郎。竜はクラウドの存在を認めない。エルフと竜の話。プライドの話。……もし多種族間で恋に落ちたら、殺されるという事。そしてトーイはああも言った。『アイツの中に竜の魔力があるのがまずい』


 きっとつまりはそういう事(・・・・・)なんだろう。


「棄権、しよう」

「え、」

「そうだね。俺もそうした方がいいと思う」


 次の授業はチーム対抗戦だ。クラウドに竜の魔力があるのがまずいと云うならこれ以上他の生徒にクラウドの魔力を見せるのはまずいと云う事だ。人間である僕にはわからなくても竜であるトーイがわかったように、竜族と当たったらわかってしまうから。

 ルルドはこのあたりの事情を知らないようでクラウドの怪我からそう言ったようだった。

 その時、ノックもなく医務室の扉が開いた。


「ローイド!ルルドくん!」

「トーイ!?」

 扉から顔を出したのはトーイだった。トーイはクラウドの存在を見事に無視をすると僕に話しかける。

「いきなり試合に茶々入れるから吃驚しちゃったよ!いくらお人好しのロイドでも、アイツなんかを庇うのはお勧めしないなぁ。下手したらエンドール家を敵に回すことになっちゃうからさ。ま、今回は俺がいたからなんとかなったけど。アイツにそんな価値はないんだからさ」

 吐き捨てるように言うトーイに顔を顰めたのはルルドの方だ。クラウドは静かに気配を消している。

「そこまで言うのは違うんじゃ無いかな。こんな……本人を前にして。君とクラウド、確か初対面だよね。さっきの自己紹介の時もそうだったし……」

「あー、ごめんルルドくん。ルルドくんにとってのライルがオレにとってのあいつ」

「あっ、それは仕方ないね」

 するりと掌を返す。お家問題は彼にとって“仕方がないこと”らしい。


「だからといってお優しいロイドはアイツを放っておかないだろ?」

 だからほら。と小指サイズ程の小さな薄い石を渡される。掌に載せたそれは綺麗な薄紫色をしている。魔法石だ。しかも宝石の方。鑑定魔法をかけると“隠蔽”“認識阻害”が付与されていた。

「まって、これ宝石の……魔法石でしょ。凄い高いんじゃない?しかも“隠蔽”と“認識阻害”なんて、希少な付与が付いてる」

「“鑑定”まで使えるとか本当にロイドなんなの?一体どんな所で育ったらそんな天才が出来上がるわけ?」

「僕が一番得意な魔法は“鑑定”だよ。それよりも、これ……」

「あげないよ、貸すだけ。毎回毎回何かあった時に俺が近くに居れるワケじゃないからさ。だからアレに持たせたら?壊したらアレに弁償させろよな」


 クラウドと関わってはいけないらしいトーイが、僕のために関わろうとするのがすこし申し訳なく、ありがたかった。これほどまでに友達思いの彼と親友になれたことは奇跡だろう。

「ありがとう」

「すごい綺麗な魔法石だね!でもこれ加工してない魔法石だから身につけるの苦労しそうだけど」

「あぁ、それなぁ」

 ちらり、とトーイが僕を見る。まさか、と僕は制服の上から“お守り”を握った。トーイがにんまりと目を三日月型に細めた。

「ロイド、その様子だと持ってるんだろ?アレ(・・)

「持ってるって何を……、あぁ、アレ(・・)ね!」

 二人の視線が僕を射抜く。会話に混ざらないよう、気配を消しているクラウドだけは何かわからないらしい。そうだよ、だって言ってないもの。

 トーイには自慢をした。ルルドは同室だし、毎日着替えの最後に着けるそれに気付かないわけがない。実際、その通りで今日だって身につけている。呻きながらも、トーイだって大事なものを預けてくれたんだ、致し方ない、と服の内側に入れていた“お守り”……ロケットを取り出した。

 くすんだ鈍い光を放つ、銀のロケット。繊細な装飾が施され、香水を入れて楽しめるようにと穴もあいているそれは、普通の絵を入れる物よりも厚みがあり、薬や魔法石を入れることができる物だ。

 そう、魔法石を入れて首から下げれる代物なのだ。

「……早急に、本当にクラウドにはさっさと魔法具を買ってもらいたいものだね」

「悪い」

 声を顰めて謝罪をするクラウドを横目にカチリとロケットを開くと、中には香水を染み込ませた布しか入っていない。このロケットの本当の役目は僕が小さい頃に終えたからだ。中にトーイの魔法石を入れて蓋を閉める。

「確かロイドがちっこい頃に使ってたんだっけか」

「そういえば俺も詳しくは知らないな」

「……僕がまだピアスを開けられないくらい小さいときに、この魔法具(ピアス)を入れてたんだよ。あの頃は魔力に殺されそうだったらしいから」


 幼い頃からずっと身に付けていたそれは習慣となり、今では中身の無いとはいえ、その習慣を変えたことは無かった。

 トーイには親が初めてくれたプレゼントだと自慢をした。ルルドには寝るときも身に付けているロケットの細工を褒められた。これが仇になるとは、と呻く。

「ま、そのロケットほど今回の件で適役はないんじゃ無いか?だってほら、“増幅”がついてるし」

 そうなのだ、“鑑定”が使えるようになってからわかったが、トーイが言うようにこのロケット、魔法具でもないただの銀のロケットなのに中に入れた魔法具や魔法石の力を“増幅”させる付与が付いている。魔法の邪魔をしないように“伝達”まで。高かっただろうに、と両親に想いを馳せ、ロケットを撫でる。ロケットの細工の隙間から布と、トーイの魔法石が揺れるのが見えた。




 僕に魔法石を渡したトーイは「それじゃまた後で」と僕とルルドに挨拶をして出て行く。クラウドには一度も目線を向けなかったのは見事だった。

「クラウド、これはトーイと僕のとっても、とっても大事なものだから絶対に無くさないで。毎日身につけて」

「わかった。……悪い、本当に」

「謝らないでよ。君が悪いワケじゃ無いんだから」

 生まれ持った魔力が悪い、なんてそんな本人の努力じゃどうしようもないこと、責めるつもりは毛頭無い。でもまぁ敢えて言うなら「早く自分の魔法石買ってよね」だ。

 クラウドがロケットを首から下げて服の中に入れるのを確認して、口を開く。

「何度も言うけど、あげるわけじゃないから!貸すだけだからね。それは僕にとっては大事なロケットだし、中の魔法石も…………すっごく、高い物だから傷付けないでよね」

「まぁ……大変だと思うけど、せめて魔法石とかは買った方がいいと思うな。その魔法石は早めに返した方が良いよ。ロケットはロイドのだからまだ平気だけど」

「ロケットも早く返して欲しいよ。でも、優先は魔法石かな」

 なんせ、トーイの物だ。他の石で代用できればそれに越した事は無い……。と思い浮かべて、クラウドも入学祝いに親から貰った魔法石の一つや二つ持っているのでは無いか?と気付く。

「ねぇ、クラウド」

「なんだ、」


「あっ、みなさん!……えっと、はじまる、チーム対抗戦」

 言いかけた時、医務室へコタローくんが入ってきた。どうやら次の授業が始まるようで呼びに来てくれたらしい。

「えと、ヴィンセントくん、大丈夫?傷……」

「あぁ、治癒魔法かけてもらったし、ある程度は避けたから次のチーム対抗戦も動ける」

「よか、た」

「もう一回念のためにかけておくよ。もし辛いなら棄権してもいいからね。《緑魔法》《治癒》」

 ルルドも僕も棄権しても良い、と頷く。コタローくんも同じ様だった。クラウドが「いや、俺のせいで棄権は……悪いから、出る」と答えたことにより、僕らはチーム対抗戦に出る為に会場へと戻った。




 会場に戻ると授業は始まっていた。掲示板を見れば今戦っているチームから3番目が僕らの番だった。メンバーに亜族は居ないようで胸を撫で下ろす。

 トーイは遠くでチームメイトと談笑しているようだった。目が合うと手を振ってくれる。さっきのことも、試合のことも無かったことにしようとしてると感じる。それくらいトーイはクラウドと関わるとまずいらしい。


「次はA組の8番とB組の12番」

 色々と考えていると丁度、僕達の番が回ってきた。

 コートへ向かう。相手のチームは四人、此方もコタローくんが入ったから四人。入学して数ヶ月でチーム変更があったりするんだなぁと僕は相手のチームを眺めていた。相手のチームは顔を上げて、僕を見て顔を痙攣らせた後、ルルドとクラウドを見て歓声を上げた。失礼だな。確かに二人は美形だけど、僕とは雲泥の差じゃないか!

 む、と眉間にシワを寄せると、コタローくんが「すみません」と謝罪する「怒ってないよ」と返せばおどおどと視線を彷徨わせ、下に向けた。

 その瞬間、頑張れ!といくつもの声援が……獣人クラスから聞こえた。びくり、と身体を震わせるコタローくんに、かわいい!と歓声。

「え、な、なんでぇ……?」

「黄の国の人の顔立ちって、獣人からするとめちゃくちゃかわいいらしくて人気らしいよ。だから獣人クラスではコタローくんのブロマイドとか……出回ってるらしい」

「え……?え、な、なんでぇ……!?」

「そうなんだ。確かに……コタローくん幼い顔立ちはしてるけど」

 それにしても。と息を吐く。

「クラウドやルルド、コタローくんに対する声援はあれど、僕に対する声援がないのは嫌になっちゃうね。これでも学年首席なんだけど」

「そう?それはないんじゃ……」

 言い掛けたルルドが耳を澄ますと、聞こえてくるのはアーチャーに負けるな!と、相手チームの応援ばかりだった。

「……そうかも、しれないね」

 ルルドは苦笑いで僕に返した。僕も苦笑して「負けてやる気は更々無いけどさ」と返す。


「準備はいいか?始めるぞ」

 先生の始め、の合図でまず魔法を展開したのはコタローくんだった。彼は接近戦を得意とする剣士で、早速カタナを構えると僕らの誰よりも前に立ち……特に僕とルルドを庇う様に立った。

 ルルドは回復術師で、僕は遠距離魔法の使い手だからだ。

「《緑魔法》《耐久強化》」

「《赤魔法》《炎の槍》」

 ルルドがコタローくんに強化魔法を掛けたのと、相手が槍で向かってくるのは同時だった。僕はざっとコタローくんと彼の近接戦を眺めると、相手チームを突くように《青魔法》《地下氷柱》とあちらの後方で魔法を練っている生徒に地下からの攻撃をお見舞いする。

「ひっ」

「きゃあ!?」

 咄嗟に防御魔法を展開することもなく、彼女たちは服を引っ掛けて転んだ。それを見て、赤魔法の使い手くんは振り返り、コタローくんがその隙を突く。すかさずあちらから青魔法で剣を作り出した子がコタローくんを邪魔をしようとするので。

「《盾》《礫》」

 すかさずコタローくんの周辺に防御壁を展開し、ついでに氷の礫で攻撃する。

「《治癒》」

「あ、ありがとっござますっ!《雷鳴》」

 体勢を立て直すために前線から引いたコタローくんにすかさず治癒魔法をかけるルルド。流石。

「《黄魔法》《黄の…」

「クラウド!その半分!《氷柱》」

「わ、悪い!《黄の剣》」

 僕が相手の牽制をしつつ、クラウドに目を向けるとやや歪な、大きな両手剣を作り出したところだった。まぁ、良くなった方かなぁ。クラウドとコタローくんが前線で戦っている間も、あちらの……片方は治癒術師だな。もう片方は紫魔法の使い手か。弓を作りこちらに構えた。

「あれ、僕もやってみたいな」

「え?何、ロイド何をやる気なの?」

「《紫魔法》《弓》あ、《盾》」

 こちらに向かってくる矢を弾くと、矢は霧状になって消えた。……霧?はっと気付くと間髪入れずにルルドの指示が飛ぶ。

「っ息止めて!ロイド!クラウドとコタローくんに解毒魔法!」

「《紫魔法》!《解毒》」

「嘘っ!なんでわかるのよ!」

「エリカの武器真似しないでよね!〜〜っこれだからアーチャー君とは当たりたくなかったのに!」

 やはりすぐに解毒魔法をかけたのは正解だった。ルルドナイス指示。あちらは紫。僕だって麻痺毒くらいなら……と考えていたのは正解だった。

「ありがとう、《電気》」

「《炎の玉》」

 クラウドが電気を纏わせた拳を……そのまま火の魔法を使う相手の腹に叩き入れた。武器に付与させるんじゃなくて、自分の手に付与するなんて!とルルドが横で悲鳴を上げた。魔法を鳩尾に叩き入れられた赤魔法の使い手は蹲ってダウン。先生が白い旗を上げる。一先ず一人。

「う、嘘だろぉ!?」

「せいっ」

 よそ見をした青の使い手はコタローくんの攻撃を防ぐのがいっぱいいっぱいの様だ。度々あちらの治癒術師が魔法をかけているから持ち堪えられている様で。

「ちょっとあの治癒術師、邪魔かもね」

「ロイドもそう思ってた?」

「ねぇ、眠り系の効果のある植物ってある?」

 にこり、とルルドは笑った。僕も笑顔を返した。

「クラウド、向こうに雷落とせる?」

「や、やってみる!」

「座標指定をしっかりしてね。そうだね……君の位置からX30.Y-15出力は4分の1」

「《雷》!」

「ひ、《防御》!」

 クラウドの魔法で軽い電気の柱が彼女たちの数メートル横に落ちた。彼女たちはぽかんとした後、余裕を取り戻したかの様に笑う。

「びっくりした!やっぱりクラウドくんはまだ座標指定とか出来ないのね!《蔓の鞭》」

「《紫の矢》援護するわ!」

 直ぐに立て直した彼女達は青の使い手の援護をし、コタローくんが徐々に押され始める。

「アーチャー!なんで…っ」

「君あの子達に当てて怪我で済ませられるくらい魔法上手く無いでしょ。あの位置でいいの、上出来!コタローくんの援護入って!」

「ロイド、準備できたよ!」

 待ってました、と氷の礫を先程クラウドが焦がした地面に放ち、次いで水にする。土が濡れるのを見たルルドが《成長》と植物の成長を促す。

 植物はむくむくと芽を出し、蕾を持ち、花を咲かせた。

「《拡散》あっ《防御》!」

「《紫魔法》《範囲指定》座標は……よし、《霧》」

 フワッと甘い香りがわずかに鼻腔をくすぐり、僕の霧の魔法が彼女達を覆った。霧の魔法を解けば、座り込んで眠る彼女達。

「はっ!」

「ぐぅっ」

 同時に、カン、と高い音をさせて剣を飛ばした青の使い手が両手を上げて「降参だ!」と叫んだ。

「A組8番の勝利」

 ふぅ、と息を吐いてルルドとハイタッチをする。コタローくんとクラウドが魔法を解除して喜んでいるのが見えた。

「ロイド結局、弓を出したのに使わなかったね」

「よく考えたら僕、武器とか使ったことないんだよね。下手に矢を放ったら仲間に当たりそうだし……それなら魔法で導線を指定した方がいいかなって」

「出した意味!まぁ、勝ててよかった」

「アーチャー!さっきの座標指定は……」

「あぁ、君のコントロールはおおむね合っていたよ。あれは……焼畑農業みたいなのを気付かれずにやりたかっただけ」

 移動をしながらクラウドの魔法について講評する。入学当初と比べればかなり上手くなったんじゃ無いかな。座標のズレも少なかったし….…。でもまだ、出力の量が甘いね。

「さっきの、ね。クラウドが魔法で土と芝生を焼いてくれたから“眠り花”の成長を早くできたんだ。それで、ロイドが礫で種を運んでくれて、水をくれて発芽」

「“眠り花”……あの甘い香りはパルフの花粉か!」

「あたり!……それで、拡散した後ロイドが霧で花粉が周りに飛ばない様に抑えてくれて、あの二人を眠らせたってわけ」

「な、なるほど……?すごい、です」

「コタローくんの剣術も凄いよ!君が相手を牽制してくれなかったらああも上手くいかなかった」

「あ、ありがとう、ございます……」


 コートから降りれば先生からの講評が待っている。魔法の展開が良くなったとか、動きが良いとか、判断が良いとか。総合評価はA。備考として、もう少しお互いを信じ合えるようになれば良い。とのこと。まぁまだ入学して数ヶ月だしね……。

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