「闘争本能」の処置
神の兵を維持するには、どうしたらいいだろう。
神の兵の働きを口語や巻物に残しておく必要がある。
毎年、ノアリアをはじめ、「神の国」に加入した国々にシノア族の祭司が赴き、「神の国」を讃え、やぐらに火を点け、神の兵の勇姿、古来の教えを読み上げる儀式を行った。
諸国は続々と、資源を祭壇に投下する。
それさえすれば、数年は安寧に暮らせる。
祭壇の品を引き取る荷馬車の往来回数は年々増えていった。
今こうしている間にも、諸国の貯蔵が満たされていく。
戦に巻き込まれたら、神の兵が助けてくれる。
民意を蔑ろにし、資源を独占する王を玉座から引き摺り下ろすのも神の兵の役目だ。城下町や王宮内で、現王への印象を共有し、まずい王なら、側近の助言者が現王から王冠を取り、新王に値するひとへ渡す。これは唐突になされた。太平の世なので、基本的に、王の能力を気長に評価しようとする風潮があり、王冠の移動はそうそうなされなかった。
不平等な和平条約がなされることもあまりなくなった。互いに地下で資源を分け合っている仲なので、会談は和やかに進むことが多かった。
「神の兵」が浸透しているのは今のところ、高度に発達した国だけなので、大国と細い町が対立した時は、大国が降伏を促しつつ、「神の国」への勧誘を行う。「神の国」によって地上の多くの事が解決され、最後に対処に悩まされたのは「闘争本能」だった。これを発散する場所さえ作れば、世は長く泰平でいられる。そこで、タリスは自国の跡地に巨大な競技場を作った。様々な球技、格闘に耐えられる広さがあり、毎年末、競技を行うことになった。
選手を育てる場所と教官もタリスが用意した。
ノアリアは平和の象徴なので、闘技場は設置されなかった。




