「神の兵」による調停
神の兵のコミュニティは、想像を絶する大きさだと感じた。
世界を動かせた。
戦時、兵士数の計上値の小ささと、納税額に偏りがあったが、ノアリナの王ハクジャは気にしないことにした。ノアリアは「神の兵」を味方につけた。毎月民が捧げ物をする必要があるけど、国教がシノア族の神である限り、地上は安泰だ。「神の兵」は、各諸国の町にも王宮内にもいる。
祭壇を守る祭司、祭司に仕える神官が10名定まり、祭壇に届く品々は神官によって厳重に保管された。また、一週間おきに荷車がやってきて、神殿の供物を運び去り、世界中に遍在する蔵へ収められた。
不戦勝のあと、遠方の国々から捧げ物が持ち込まれた。
ノアリアが民に望むのは、小麦と塩、少量の糖蜜に油を混ぜて練り、乾燥焼きした硬焼きパン一人につき二枚、毎週神殿に収めることだった。他に干し肉の納品も喜ばれた。
国への納税と祭壇への納品と国教、国民の負担と制限は大きく増えた。しかし、負担の重さよりも、安心感の方が大きかった。たとえ戦場で損害を受け、不平等な調停がなされたとしても、祭壇に投入される資材は世界中の蔵に運び込まれ、実は国ごとの備蓄量と国民の満足度はほぼ同じだった。
古文書から、世界を調停するシステムを発掘した医師メリナは、祭司となった。祭壇、捧げ物の帳簿管理、物資の配送手続きなどを行った。
神の民は、戦争の展開を軌道修正することもできる。例えば、籠城した敵国の周囲を兵で覆い、兵糧攻めの展開となった時は、顔を隠した「神の兵」が、籠城している「神の兵」に物資を渡し、矢文を投じ、善政を敷くことを約束し、無血開城に誘導することもあった。




