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ノアリア叙事詩  作者: うめよろし
ククル村の再建

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セレニア経済圏の現状

 ノアリアは非武装で、地政学的価値が低く(大国が欲しがるものを算出しない)、細分化したタリスのゲリラによって守られている。北、東、西には鋭峰が連なり、南は海に面しており、外部から侵入しにくい構造をしている。


 ノアリア製品は、タリスの流れ物を改良・改変・モチーフにしたものである。


 かつての帝国タリスは、ノアリアを免税対象としたが、実質的には、新製品の売り上げ・派遣民の増収分の一部を「防衛費」の形で受け取っていた。やがて経済破綻を迎えたタリスは、ノアリアとセレニアが築く「特約票」が循環する『セレニア経済圏』へとなだれ込んだ。タリスは、ノアリアの派遣民の護送、派遣先での見守り、巡回人の監視役、加盟国が危機に瀕した時の遠征・防衛にあたる——これらを国家の生業(なりわい)としていた。


 タリスが徴収にかけられると、各経済圏の灯台に火が灯されることになっている。


 タリスの崩壊により、支配下に置かれていた属州国が自由を得た後も、世界の仕組みは変わらなかった。


各諸国はノアリアの派遣民が持つ高度な技術指導を求め続け、ノアリアでは変わらず人材の養成が行われた。そして、その派遣民の輸送には、変わらず護衛としてタリス兵が伴走した。ノアリアは、世界の中心であり、タリスは盾であり続けた。


 こうしてノアリアは、研究・開発・生活指導に秀でた「戦さを知らぬ理想郷」として、世界中から深く愛される国となっていった。


 諸国では、次々戦さを知らない世代が生まれ続けている。そうした人たちにノアリア製品は「ものづくりの楽しさ」を積極的に訴えているかのようだった。


 派遣民の生活指導を受けた国は、作物が豊かに実り、タリスへの防衛費の支払いも苦ではなかった。派遣民だけ受け入れ、タリスの守護を必要としない場合、防衛費を払わなくてもよかった。


 タリスには、訓練所が必要であり、セレニアが候補地として挙げられた。


 セレニアの倉庫には、特約票の裏付けがあるため、この土地にタリスの訓練所を置き、定期的に合同訓練を行うことは、防衛面で最善と言えた。


 セレニアに使者を送り、「訓練拠点にしたい」と伝えると、すぐにセレニアから返信があり「ぜひ、お越しください」とあったため、タリス工兵による少数部隊がセレニアの生活区域から離れた平原を視察し、平坦で広い土地を選び、土地の神を祀る儀式を行った。


 建設した広大な訓練場には、弓射場、馬場、兵舎と武器庫(兵卒が寝泊まりする長屋形式の宿舎、装備を保管する倉庫)があり、外部からの侵入を防ぎ、軍規を維持するため、敷地の周囲に木柵や土塁を巡らせた。セレニアの景観を壊さない白や茶を基調とした木組みになった。


 校場の正面中央に、指揮官(将軍)が陣頭指揮を執り、閲兵を行うための「点将台」を木造で組み上げ、信号旗と銅鑼(五色旗、東西南北に配置された兵らを、方角ごと色分けし、色旗の振りと銅鑼の音で、遠方まで命令を伝える)を配置した。


 訓練は住み込みで行うため、炊事場も設置された。食料は、セレニア経済圏の裕福な加盟国が、毎年交替で税金から拠出する。セレニア人の生活に配慮し、銅鑼を使った訓練は年に六回となった。



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