最初の問い : ふたりっきりの授業
京(とりあえず、あの子と"ふたりっきり"で1年間も授業を受けるのはごめんだ…。
頼むから3人以上であってくれ…)
京の思いが通じたのか、ガラッと教室の扉が開いた。
いや、正確には京の思いは通じていなかった。
教師「はーい、揃ってるわね。
じゃあ、早速授業を始めるわよー」
京「揃ってるって…まさか生徒2人だけで授業するんですか?!」
教師「あら、聞いてないの?生徒は2人よ?」
黒髪の少女「……」
京(うそだろ…2人とか…憂鬱すぎる…)
そんな京の思いもつゆ知らず、教師はおもむろにチョークを持ち、黒板にせっせと数学の問題を書き始めた。
教師「ちなみに今日は数学ね。
まぁ最初の授業だし、"文特" の人もいるから、優しめの問題にしときますね。」
(文特とは理特と同様、文系特進コースの略です
生徒や教師は良くこの名称を使います。)
教師「それでは、この問題を解いてください。私は職員室に戻ってるから、解き終わったら呼んでね。2人とも解けてたら今日は解散にしますから。」
京「え?!、それってどういう…」
教師「あぁ、説明が足りなかったわね。
この文理混合授業のメリットは、理系が文系の授業を受けたり、文系が理系の授業を受けれる事だけじゃないの。
文系と理系が同じ授業を受けることで、互いを高め合える環境が出来ることこそ、この授業の真価なのよ。
つまり、互いの専門分野で教え合えるようになることこそが、真の目的なわけね。
だからこそ、初回授業はこの方法でやるのが1番手っ取り早いってこと。
初回でやっておけば、2回目以降は普通に授業しても、勝手に教え合うようになるからね。」
京「いや、でも…」
教師「では、私は職員室に戻ってYourTube…じゃなかった、ニュースを見ないといけないから、戻ります!
ちゃんと問題解いてね〜」
京(……今YourTubeって言っただろ。)
バタン
教室の扉が閉まり、沈黙が訪れる。
京(くうう…どうしよう、最悪な展開だ…
さっきあんだけ派手に拒まれて、この後どう立て直せと…?!
でも2人で解かないと帰れないし…
ってか先生の話に気を取られてて、問題を見てなかった。
えーっと問題は……)
問.
1から999までの自然数の和を求めよ
作中の最後にもありますが、2人が解く問題は
1+2+3+4+5+6+ … +998+999=?
です、皆さんも良ければご一緒に考えてみて下さい。
(工夫して計算しないと、大変な計算量になります)