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(さて、と――)
言いたいことを言い終え、ヒミコはスッキリとした気持ちでいた。
(後はこの状況をどうすっかだな……)
この状況。
依然として対消滅砲の光に晒されている。
ただ流石に少しずつ威力が弱まってきた。これならばなんとか耐えられるだろう。
(危ねーところだった……一撃防ぐだけで精一杯だな)
やってみてわかったが〝天ツ玉垣〟の重ね合わせは膨大な霊力を消費する。
血中霊素の急激な消失で、ヒミコは眩暈のような浮遊感を覚えていた。
(けど、ここで倒れちゃいられねえ……っ)
あと一度。もう一度だけ鬼門を開き、空間転移後に鬼の本体を直接叩く。
できるはずだ。今の自分なら。ヒミコは不思議な確信に満ちていた。
(これさえ堪え切れれば――!)
まさにその時、対消滅砲の勢いがさらに弱まる。
好機――ヒミコがそう思った次の瞬間、
『魄子連鎖反応、急速に上昇!』スズからの通信。『だ――第二射、来ます!』
(何ィーッ⁉)
馬鹿な。早い。早すぎる。
〝間〟があるはずだ。第一射から第二射に移るまでの。
だというのに、何故――
(クソッ……そういうことかよ!)
ヒミコは自分自身の馬鹿さ加減に嫌気が差した。
あったじゃないか。〝間〟ならこうして。自分が対消滅砲を防いでいる時間が。
敵はその間に充填を済ませ、こうして第二射を放たんとしているのだ。
(やばい――!)
先とは比べ物にならぬほど深刻な事態である。
霊気が不足しているのも勿論だが――減衰中とはいえ、敵の第一射がまだ残っている。
その上からさらに第二射を浴びせられれば、如何な重ねがけした玉垣でも耐えられまい。
そうなれば待ち受けるのは……死。
敗北の死だ。
(死んで……たまるかァアァァアアァァッ‼)
絶望の最中、それでもなおヒミコは気迫を漲らせるが――事実は変わらない。
彼女一人で、この状況を切り抜けられぬ事実は換わらない。
直後、白い光が場に満ちて――。




