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「はい、こちらアーデンバーグ侯爵家、バトラーのグリムロです。そちらは?」
通信機の向こうから聞こえてきたのは初老の男性の声。
久しぶりに聞く義父の声に少しばかり安堵しながら、スヴェンは言葉を紡ぐ
「お久しぶりです。スヴェンです。実は頼みたいことがありまして……フィンデル様はお手隙でしょうか?」
「おぉ!すぐ取り次ぐから待っておいてくれたまえ」
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「久しぶりだな、スヴェン」
「お久しぶりです、フィンデル様」
「おいおい、様はよしてくれと前から言っているだろう?なんならおじさんでもいいんだぞぅ?」
「そういう訳には……」
「はっはっは!で、ギルドと貴族にしか持てない通信機を使ってきたということは火急の事態なのだろう?」
「はい……。私達は今シーゲルの街に居るのですが――――」
と、現状について説明する。
明らかに渋い唸り声が向こうから響き、大きなため息とともに言葉が続く
「はぁ……。なるほど、たしかに最近シーゲルからの流入がストップしていると聞く。それについて急ぐことではないと言う貴族も数人おってな、調べておったところなのだ。うまくいけばカタがつくかもしれん」
「となると……」
「いいだろう。協力しよう。ただし、5日ほど待ってくれ。こちらも準備がある」
「はい。それでは」
通信を終えると
「あのぅ……」
とおずおずキャロが問いかけてきた。
「侯爵様は何をされるおつもりなんでしょう……?」
「さぁ……?ただ何かしらの連絡はあるでしょうね」
「そんな雑な……まぁいいですけど」
なんともいえない表情(?)というか雰囲気を纏いつつ、それ以上は何も聞かずに続ける
「とりあえず5日後、また来てください。それまでに連絡があればスヴェンさんにお伝えしますね」
「よろしくお願いします」
「なんや、終わったかー?」
部屋を出るとノンノとアリオスが待っていたので状況を説明するため1階の椅子へ腰掛けた。
「なるほどなー、それまで情報収集とかしといた方がええんかなぁ?」
「出来る情報収集はもう終わってるから、あとは侯爵様がどうするか次第かな」
「とりあえずは待ちましょう」
スヴェンの言葉に2人とも頷き、解散となった。
ノンノはスヴェンと共に宿屋へと戻り、荷物を整理する。
スヴェンは部屋へ行き、鞄からあるものを取り出す。
取り出された物は短剣と証明書。それぞれアーデンバーグの紋章が刻まれていた。
「これは使いたくなかったんだが……」
はぁ、とため息を吐いてベッドに寝転び顔を腕で隠しながらとりあえず連絡を待とうとそのまま眠りについた
――――――――――――――――
4日後、ギルドから呼び出しがかかる。
侯爵家から連絡があったというので支度をして向かうと、そのままギルド長であるキャロの部屋へと通された。
「スヴェンです」
「グリムロだ。こちらの動きと明日の打ち合わせをしようと思ってな」
そう言ってグリムロはこれまでにわかった事を伝えてきた。
ひとつは、一部の貴族が買収されていたこと。
もうひとつは、シーゲルの街の力を落とす様な事をドランがしている理由についての推測であった。
「何者かに明け渡そうとしていると……?」
「そうらしい。まだ何者かまではわかっていないが、シーゲルは港だ。確保されると国防上問題となる」
「そうですね……」
「事が起こる前に知らせてくれてよかった。それで明日なんだが……まずスヴェン達にはニーベル子爵邸に向かってほしい。そこで話し合いの場を持つ意思があるか確認してほしいのだ。名代の証となる短剣と書類は持っているな?」
「かしこまりました。勿論持っています」
「結構。では明日の正午辺りに向かってほしい。そのくらいにフィンデル様と私も現地に着くよう準備をしている」
「了解しました」
「以上、連絡終わり」
通信を切り、キャロに礼を言って部屋を出る。
(さて……どういう形でこっちに来るんだ……?想像がつかねぇ……)
はぁ、とため息を吐きながら階段を降りるといつもの二人が待っていたので声を掛け、食事ついでにこの状態でも営業している酒場へ向かった。
「ほーん……まぁなるようになるんちゃう?」
「そうだね。考えても仕方ないと思うよ」
「二人もそう思いますか……」
カチャカチャと小さく音を立て、質素な食事を終える。
スヴェンは、ただただ不安であった。
理由としては……いきなり来るというフィンデルとグリムロは変なところで思い切りがいいからである……。




