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祝福(ギフト)を駆使して目的探し  作者: 齊藤 或蘭
第一章
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ちょくちょく更新出来ればと思います|ω・)

 「そんでや、先ずはウチの故郷でもあるイシュタールへ行こう思うんよ」


 各国を巡るにあたって、最初にどの方面へ向かうかという話題になると悩む様子もなく彼女は答えた。

 イシュタールは商業連合国と呼ばれる程に商業が盛んであり、中小様々な国であったものが纏まって建国された場所である。

 スヴェン達が今居るメビウス王国から見て西に位置しており、海を挟むものの距離は他の二国、アメリア連邦やハインケル帝国より近い。

 彼女の独特な喋り方はその中のいち地方の方言とのことだ。


 「目的地が決まったとなると移動手段ですね。ルートとしてはアレイン山を越えて飛行船で向かうか、ここから南下してシーゲルから船で行くか……」


 「出来れば飛行船がええんやけどなー。乗ったこと無いし何より速い」


 「問題は運賃ですね。割と良い船の3倍から10倍はします」


 「そこやんなぁ……」


 「あー、お二人さんよ。今は飛行船が使えねぇみたいだぜ?」


 費用なら最悪自分が賄うと言おうとしたところで、大柄な男性、タイガが二つのマグカップを手に会話を遮りスヴェンとノンノの前にカフェオレを置く。


 「と、いいますと?」 


 「今日チェックアウトした客がお前らが帰るちょっと前にまたチェックインしたんだよ。理由を聞いたんだが「アレイン山で土砂崩れが起きてフェルディに行けなくなったから」だそうだ」


 「おぅ……あの山迂回するとしたらどっちみちシーゲルまで出なアカンし、それならそこから船乗るわな……」


 「そういうこった。ただそれが原因でシーゲル行きのバスも空いてねぇかもな……」


 「となると良くて乗合馬車、最悪歩きですね」


 「幸先悪いなぁ……」


 そう溜め息混じりにぼそりと呟いたノンノはテーブルへ手を広げた体勢でうなだれ、気の抜けた彼女を見ながらスヴェンとタイガは苦笑いを浮かべたのであった。




 ━翌々日、スヴェンとノンノはタイガからの「いってらっしゃい」という声と共に宿を出た。

 シーゲルへ向かう定期便のバスはタイガの予想通り満車で乗れず、乗り合い馬車での移動となる。

 道は途中まで石畳で舗装されており、その先も広く整備された道が続いていて安全であるためか、1泊2日の旅路でも護衛は居ない。

 昨日は曇天で時折雨も降っていたが、今日は綺麗に晴れており気温も程よく、穏やかな日差しと流れる風景に本を読む者や熟睡する者などでまったりとした空気が流れていた。

 しかし、途中の村で1日を過ごし、もう数時間もすれば到着するであろう頃に問題が起こる。

 いち早く気付いたのは違和感を覚えたスヴェンであった。


 「……?観察━━━御者さん、すみません。停めてもらえますか?」


 「お?どうしたってんだ?」


 「そこの部分、何か違和感がありまして」


 と、道の端を指差す。

 一見何の変哲もない土の道だが、よく見れば一部分だけ“何もないよう埋め直された様な部分”があることに御者も気付いた。


 「(わだち)か何か埋め直したみてぇな跡だな。だがこっちも仕事だしお客さんを待たせることにもなるから長くは停められねぇぞ?」


 「ありがとうございます」


 「説明は俺がしとくから10分で戻ってこれるか?」


 「わかりました。ノンノはどうしますか?」


 「んー。ほなウチもついてこかな」


 ゆっくりと馬車が停まり、スヴェンとノンノは降りてその痕跡のそばを確認した。

 そして腰あたりまである路肩の草を見ると、埋め直された轍に沿って車輪が押しつぶしたであろう部分が繋がっていたため先へと進む。

 早足で3分程草むらを歩くと、道からは見えない角度の場所に壊れた馬車があった。

 スヴェンはノンノに御者へ伝えるよう指示を出し、生存者が居ないか捜索をする。

 御者と自ら手伝いを申し出た客も合流し1時間程捜したものの何も見つからず、ただ壊れた馬車が残されていただけであった。


 「ただの事故で、乗ってた奴は自力で移動したって考えるしかなさそうだな」


 「そう考えるしかありませんかね……。御手数おかけしてすみませんでし━━」


 「ちょい待って。ここ、泥か汚れかと思ったけどこれ血やない?」


 そうノンノが指差した馬車の下の方の場所には、雨で流れきらず乾ききってもいない血痕が遺されていた。


 「でもま、事故で怪我したと考えるしかねぇだろうさ。シーゲルに着いたら報告することにしてそろそろ出発しようぜ」


 「そう……ですね。お時間取らせてすみませんでした」


 「いいってことよ。もし誰か居たなら助けなきゃなんなかったしな」


 そう言って肩を叩く御者に対し、手伝いにきてくれた客も頷く。

 馬車へと戻り他の乗客へ説明すると、彼らも怒ることなく「怪我人が居なくてよかった」と笑顔で迎えてくれた。

 そして馬車が出発し、スヴェンに対してノンノがそっと耳打ちした。


 「……なぁ、事故して血が出る怪我したヒトがわざわざ“轍を隠す”なんてこと、するんかな?」

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