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赤っ恥ですわ

 


 才夏国の皇太子が成婚あそばされ、皇太子としての御披露目を兼ねた舞踏会が開かれることになりました。


 (わたくし)は緑華殿下とともに、帝国の祝いの使者として隣国に赴いております。


 皇太子妃の白媛様はかつて、殿下の婚約者だったお方。

 皇帝陛下は、緑華殿下を向かわせることで、両国にしがらみがない事を伝えたいのでしょう。


 ですが(わたくし)には、複雑な気持ちでございました。




 胸がざわざわするのを抑えつつ、笑顔でご夫妻の前に立ちました。


   この方が白媛様?


 皇太子ご夫妻に御挨拶申し上げるとき、どうしても、皇太子妃の白媛様に目がいってしまいます。


 殿下が強く望み、婚約までした女性。

 そして、殿下の心に傷を残した女性。

 隣国の才夏国皇太子妃 白媛様。


 白媛様は、小柄で愛らしい女性でした。

 

「ご成婚おめでとう」


「ありがとうございます」


「紹介しよう、私の婚約者の翆鈴だ」


そう殿下が仰った途端、ご夫妻の警戒が緩みます。


「帝国 白扇公爵家が娘、翆鈴にございます。

 此度はご成婚、お祝い申し上げます」


「こちらからもお祝い申し上げる。

 お二人のご婚約を心よりお喜び申し上げる」


「お祝い申し上げます」


 白媛様はそのお声まで愛らしい方でした。


 既に、殿下のお心が(わたくし)にあることを知っていても、切ない気持ちになります。


 殿下がご夫妻に近づいて、小声で仰いました。


「蛇になる私が良いそうだ」


 ニヤッと笑った殿下のお言葉に、お二人は驚いて(わたくし)をご覧になりました。


 すぐに表情を戻されましたけれど、(わたくし)は見逃しませんでしたわ。


 皇太子の、(わたくし)に対する安堵と感謝の表情と、白媛様の尊敬と畏怖の表情を。





 帝国に戻り、蛇のお姿の緑華殿下と皇城の庭園を楽しんでおりました。


 近頃は、蛇のお姿でも(わたくし)とお過ごしになることが増え、殿下の信頼に心が震えます。


 歩き疲れた東屋で、蛇の殿下が(わたくし)に巻きついて、口づけをくださいました。


 「…殿下…」


 感激に口づけをお返ししますと、さらに殿下から口づけを返されます。


 どのくらいそうしていたでしょうか?


 すぐ横の木の上から、ドサッと何かが落ちてまいりました。


 刺客かと身構えた(わたくし)達の目の前を、青い大蛇(第3皇子)が 焦って逃げて行きます。


「見られてましたの?」

 

 逃げ帰った殿下の私室で、羞恥に悶えておりますと、人の姿に戻られた殿下が、(わたくし)を抱き締めて囁きます。


「俺のことだけ考えて?」


そのまま(わたくし)を抱き上げて寝室に向かわれましたの。




ふぅ。蛇って、嫉妬深いですわね。

思い知らされましたわ。









【了】


お読みいただきありがとうございました。

これで完結です。


また次回、お付き合いいただければ嬉しいです。



よろしければ⬇️ポチっとお願い致します。


5/21:追記

覗き魔扱いになっていた第3皇子のお話

【寂寥の蛇皇子~俺は伴侶を諦めた~】の投稿を始めました。お気楽そうに見えたお兄さんの、悲哀と恋心をお楽しみいただけたらと思います。


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