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地獄と化した仙台
江戸時代。
陸奥(東北地方)最大の城下町・仙台。
伊達政宗が築いたこの町は、多くの人々で賑わっていた。
その仙台城下に、一人の少女が立っていた。
―――なにも、ない。
「夢なら、覚めてよ……」
少女は呆然と立ち尽くしていた。
街に活気はなく、人の姿はない。
あれほど賑わっていた仙台城下に、聞こえるのは風の音だけ。
あたりにはすえた臭いが立ち込めている。
曇天に濁る空を見上げても、太陽は見えない。
世界から、色という色が消えていた。
少女―――鈴は恐る恐る歩き出す。
ここは、どこなのか。
今まで自分が住んでいた「仙台」ではないのか。
見慣れたはずの街並み、何度も歩いた寺子屋への道。
そのどれもが記憶にあるはずなのに、彼女の知るものとはかけ離れていた。
店は開いておらず、軒先も壊れている。
まるで長い間、放置されていた廃墟のよう。
一日前の自分は想像もしていなかっただろう。
平和で、何の変哲もない日常に満足していた自分が、まさかこんな状況になるとは。
人の気配はおろか、ネズミ一匹すら見当たらない街が、あの仙台城下であろうとは。
不安を抱えながら歩き続ける鈴は、この街が滅びるまでの日々を思い起こす。
鈴が今まで過ごしていた「天明元年(西暦1781年)」の仙台。
物語は、鈴がいつも通り寺子屋へ向かった朝へとさかのぼる―――。




