第6話 準備万端でハッピーエンド
□学院にて
「で、ここに真っすぐやって来たという訳か。さすがだね、クラムくん」
これは褒められているということで良いよな?
俺はヴェルト教授とエフィと合流した。
目の前にいる、わがままボディを白衣で包み込んだエロい女の人がヴェルト教授だ。
そして我が愛すべき義妹エフィ。
その表情は決意に満ちている。
なにせ魔狼が復活することがわかってすぐにヴェルト教授に連絡をしてあった。
彼女は"人物史"を知っているんだから、何も隠す必要がない。
そもそも彼女はエフィの実母である魔法ばばあの弟子の一人だ。
身内と言ってもいいくらいの仲間。
ちなみに父の姉弟子だ。
「来たぞ」
みたいですね……。
俺は学院の入り口までやってきて、突然光に包まれて遥上級に飛ばされて行った魔狼がお星さまになった様子を見つめていた。
え~っと。
「さすが先生です。あっさりでしたね」
「当然だな。魔狼を捕らえたのだって、我々の何代も前の先生だ。そして我々はずっと研鑽を続けて来た。魔力さえあれば後れを取ることはない」
頼もしすぎて涙が出そうだ。
でもこれで全ての障壁はなくなった。
2年後、俺はエフィと結婚した。
俺はすぐにでも結婚したかったのに、ロイドの喪に服すことになってしまった。
さらに新たに即位した国王の結婚が重なり、待たされた。
「エフィ、これからもよろしくな」
「こちらこそ……まさかお兄様と結婚させてもらえるなんて、想ってもみませんでした」
「嫌だったか?」
「そんなことないです。お兄様は優しいし、自由にさせてくれるし……その頼れるし、嬉しいです」
今日のエフィは攻撃力が絶大た。
信じられないくらいに美しい衣装がよく似合っている。
化粧もステキだ。
きっと隠すつもりがないからだろうけど"魅了"も発動しているんだろう。
今すぐ抱きしめたい。
新たな国王には前国王や前王太子から冷遇されていた側室の子がなった。
15歳の新国王だ。
王城が丸ごと崩壊したせいで国王や王子たち、王弟はみんな圧死してしまった。地下に魔狼を封じているのに王族を固めるなんて危機感がないんじゃないだろうか?
そもそも危機感がないから魔石を収奪していたんだろうけど。
そして王太子は喰われた。婚約者や、俺の弟であるロイドと一緒に。
実はオルフェが自分の仕事だと言って王家に納めた魔石の加工が酷いものだったらしい。本当に自分でやってしまったらしく、ただでさえ少ない魔力供給がさらに減ったらしい。
なんでそんなことしたんだろうかと不思議に思ったが、まさかの国王に取り入るためだったらしい。
俺は伝聞でしか知らないが、父親(=国王)も息子(=王太子)も抱え込む気だったんだろうか。
それを喜んで傍に置く国王も国王だし、王太子も王太子だけど。
そしてなんと俺に国王位が回ってきそうになって焦った。
勘弁してくれ。
俺は適当に公爵領を回しながらエフィを愛でて過ごすんだから邪魔すんな。
あっさりとピンチに陥ってしまった。
俺は"人物史"に頼った。あとヴェルト教授に。
片っ端から目ぼしい人に"人物史"をかけた結果、見つけ出した。市井の中で暮らしていた王子を。
彼を見出し、説得し、彼の大事な人たちにしっかりとした生活を保障させるようにしてようやく即位させたんだ。
だから彼の結婚は俺が主催した。それでエフィとの結婚が遅れたんだけど、仕方なかった。
「私はクラム様に感謝しています」
「あぁ、よく頑張ってくれました。こちらこそ感謝します」
新国王の即位から数か月経ったころ、一緒にお茶をしていたらこんなことを言い出した。
どうしたんだ、改まって。
俺には若干悪い予感がしなくもないが、まずは聞く。
そして新国王は言い放った。神妙な顔つきで。
「ぜひエフィ様を娶らせて頂きたい。そしてクラム様と親族になりたいです」
「……」
思わず殴り飛ばした。
そんなこと、誰が認めるか!
エフィは俺のエフィだ!
可愛い可愛い俺のエフィなんだ!
それにしても良かった、人払いした2人だけのお茶会で。
瞬時に回復魔法をかけた俺の機転に乾杯。
まぁ国王の親族というのはメリットはある。
エフィにより強い後ろ盾ができることになるからな。
家にいるとやかましい末の妹を王妃として差し出しておいた。
新国王は少しだけ震えながらも笑顔で受け入れたから問題ないだろう。だよな?
俺はその後長い時間、エフィと一緒に楽しく過ごした。
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