第46話 合流
道中襲いかかってくるアンデッドをアミィさんの魔術で蹴散らしながら、僕たちは例の部屋を目指して通路をひたすら歩き続けた。
そして、遂に、その場所へと辿り着いた。
中では、アデルさんとサーファさんが部屋中にひしめくアンデッドたちと戦闘を繰り広げていた。
アンデッドに後れを取る二人ではないが、数が数なだけに苦労しているようだ。
「ホーリーライト」
部屋に踏み込むと同時に魔術を繰り出すアミィさん。
光を浴びたアンデッドたちが、塵となって消えていく。
レイスを切り伏せたアデルさんが、振り向いた。
「アミィ! 助かった、残りの奴も頼む!」
「分かった」
こくりと頷いて、アミィさんは僕に顔を向けた。
「貴方は離れてて」
「言われなくても!」
慌てて彼女から身を離す僕。
彼女は息をふぅっと吐いて、杖を室内に向けて翳した。
残らずアンデッドが駆除された部屋の中心で、アデルさんは息をついた。
「あのサテュロスとかいう奴の姿はなかった……奴が言っていた通り、私たちを飛ばした後此処にアンデッドを召喚して去ってしまったようだね」
「奴は何が狙いで此処にいたんだろうね? あの宝石は……一体何だったんだろう」
サーファさんの疑問に、彼はさあと首を傾げた。
「分からない……神に捧げる品だと言ってはいたが。何かの儀式に使うための道具なのではないかな」
サテュロスについては分からないことだらけだ。
彼について分かっていることといえば、彼がユジンの司祭であるということと、アンデッドを生み出す魔術を使うということだけだ。
そのユジンが何なのかも分からないし、そもそも彼が何処から来たのかも分からない。
まあ、まっとうな人間ではないだろうということは何となく分かる。もしこの先彼と再び出会うことがあったら──その時は、対立することになるだろう。間違いなく。
ただのダンジョン探索のつもりで来たのが、とんでもないことになったものだ。
僕は冒険者じゃないというのに。どうして平穏に暮らさせてくれないのだろう。この世というところは。
「とにかく、ダンジョンに入り込んでアンデッドを放つような奴がまともな奴のはずがない。次に会った時は後れを取らないようにしよう」
三人は顔を見合わせて頷き合った。
話がついたところで、僕は彼らに歩み寄った。
「とりあえず、これでダンジョン探索は終わりなんだよね? 此処が最深部っぽいし」
「そうですね」
頷くアデルさんに、僕はつるはしを握り締めながら言った。
「なら……帰ろう。これ以上此処にいても何も分からないと思うし、宝があるわけでもないし。アンデッドがいるダンジョンってだけで落ち着かないよ、僕は」
こうして此処で立ち話をしている間にも、部屋の外からアンデッドが迫ってきているかもしれないのだ。
そんな状況で、平然としていられるほど僕の心臓は強くはない。
早く地上に出て、太陽の光を拝みたい。
僕の必死の訴えにアデルさんはくすりと微笑んだ。
「分かりました。帰りましょう。二人も、それでいいね?」
彼の言葉に相槌を打つサーファさんとアミィさん。
こうして、色々あった僕たちのダンジョン探索は無事に終わり、僕たちは地上へと帰還したのであった。




