水無月の空
時刻は夜の7時辺り。
普段の私はこの時間、必ず家にいるけれど、今日は特別用事があって、珍しく外にいた。
だから、普段と違う色の世界に思わず見とれてしまった。
・・・空が凄い。
電車を待つ人には、何の変哲も無い景色なのかもしれない。
しかし、私は嬉しくて仕方がなくて、カバンからカメラを取り出した。
良さそうな景色を何度か収め、道の中程にある電停から、いくつかの好奇の視線を向けられた。
人の判別のつきにくい明るさの道を、右に曲がって西を向くと、空の色に更にときめく。
電柱から何本も伸びる電線の影をアクセントにして、空を撮ってみた。
しかし、モニターで画像を確認してがっかりした。
この景色の凄さが、さっぱり取り込めていない。
開けた場所で、天から伸びる光の階段も写したが、これも半分も収められなかった。
何度撮り直しても、満足出来るだけのものは撮れず、次第に光は弱くなり、あの感動は完全に、過去のものになり、また違った色が空を染めた。
留められない時間。
収められない美しさ。
伝えられない悔しさ。
つくづく私は無力だな・・・と、空を見ながら思った。
この事だけでなく、色々な所でそう思うのだ。
けど、そう浸ってもいられない。
・・・帰ってご飯を作らねば。
これでも頼りにしてくれてる子供達と旦那がいる。
うん、このまま拗ねてちゃいかんよな。
どうせ旦那が先に帰ったって、ご飯の順番なんかしてくれないんだ。
そこに不満もあるけど、私の場所だ…と、思う事にしておこう。
6月の暗くなった空の下で、ただの主婦はそう考えた。
とても久しぶりで、今更水無月だったり、以前と雰囲気違いますが・・・。
えーと、ご勘弁願います!!