イアデル、里帰りするⅳ
風邪で遅れました。すみません汗
「お〜!やっほー、ネビュラっち。おひさー」
そこに待っていたのは、[白い天使]だった。
まず髪が白い。絹のみたいに透き通った白いロングヘアーだ。続きまして、肌が白い。白いというよりかは血の気がない感じだ。服は、酷くシンプルな白色のワンピースを着ており、裸足と随分とラフな格好をしていた。
そして何を言おうと、羽が白かった。汚れ一つ見当たらない、それはそれは大きくて立派な純白の翼。
そんな全身が白色1色で覆われた中で、唯一、その瞳だけは、血のようにして赤く染まり、ひときわ存在感を放っていた。頭上の光輪がぼわっ、とあたたかな光を放っていて、冷血なゼロとはまた別の、対極的なオーラを放っていた。
『今すぐ来い』との連絡だったので、イアデルは「何か怒らすようなことしたか?」と、少し不安に思いつつも割と急ぎめに来たのだが、その必要も要らなそうだ。
「よう、エラー2。久しぶりだな」
「帰ってきてたんだ」
「まぁな」
「顔見せに来るなんて珍しいね?」
エラー2はにこやかな笑顔を浮かべながらそう話すと、不意に「あっ!」と何かを思い出したような仕草を見せ、ごそごそと部屋の中で何かを探し始めた。「なんだろうなー」と思いつつも気長に待っていると、エラー2のものを探す手がふと止まる。エラー2はそれを頭に掲げ、機嫌の良さそうにくるっとその場で回ると、イアデルに自慢する調子で言った。
エラー2が持っているのは、ケーキの入った箱だった。
「じゃじゃ〜ん!!」
「それまさか、地上の食い物か?!」
「そうだよ〜。この間 比較的 料理技術が発展した星があったから侵略してきましたー☆」
物質的な栄養は、本来邪星は必要としない。だが稀に一部の変わり者が食事に興味を持ち、地上の生命体の真似をして食事をとることがある。特にエラー2の場合、地上の食べ物や娯楽によく手を出す。それに加え、可愛らしいものに目がない。ゆえに、エラー2は侵略する対象に選ぶ星の傾向が、極端に偏っていることが多い。例えば、住民全員が妖精のゆるふわな星とか、娯楽や食文化が発達した平均以上の文明レベルの星とか。ゼロは、エラー2が地上の文化に興味を持っていることを、あまり良く思っていなかったが、当の本人はそれを気に留めている様子もなかった。
「お前、なぁ…」
イアデルは呆れた様子でエラー2を見つめ返すと、エラー2は可愛らしい膨れ顔をした。そして、意地を張った子供のように反論する。
「僕だってちゃんとまじめに侵略してるんだよ!!!!」
「例えば?」
エラー2は、今度は自慢げな表情を浮かべ、流れるように言った。
「このケーキがあった星の文明は、比較的高度だったからねぇ。下手に駒を進めれば、思わぬ反撃を食らう可能性があった。私はなるべく戦力を使いたくない。危険な芽は早々に摘んでおくのだよ☆ イアデル君」
「ふうん。例えば?」
にたぁ、とエラー2が笑みを浮かべる。あ、スイッチ入ったなコレ。嫌な予感が支配者の思考を覆った。
「まず落とすのは情報インフラ。人工衛星、海底ケーブル、通信基地局。惑星中に張り巡らされためぼしい情報共有システムを一晩であらかた破壊する」
「……」
「これだけで地上の民どもは大混乱に陥る。この隙に大陸を一つ征服する。選ぶのは比較的発展途上で人口の多いエリア。原住民を捕食しつつ、ここを拠点に工作を開始する。事前の調査では、その星に存在する国家は約二百。このうち主要な国に的を絞り首脳陣への憑依を完了させる。奴らは大気圏の上まで届く兵器を大量に有しているからな。こちらの素性をぬけぬけと明かすわけにはいかん。既存の国際情勢を利用し、情報を操作。それぞれに悪意の幻を作り出し、現地での戦争が勃発しないギリギリの状態まで国家間の緊張を」
「待て! 待て、待て、待て!」
たまらずイアデルは叫んだ。べらべらと弁舌を振るっていたゆるキャラは、やかましそうに黒星を見た。
「なんだよ、騒々しいなぁ。ひとが懇切丁寧に説明してやっているというのに…」
「今ってそうなってんの??!!いやおかしいだろ?!俺様の知ってる侵略と違いすぎるんですけど!!」
「時代は常に進歩する。いつまでも古いやり方だと地上に取り残されるよー」
さらりと言ってのける闇の盟主に、なぜかイアデルもムキになる。
「だいたい黒い雲はどうした!!あれこそ我らの象徴だろうが!今の話に一回でも出てきたか!?」
「黒雲は使う。ただ局地的に上空を覆うのみ」
「なんでだよ。ぶわっとやりゃあいいだろ、ぶわっと!!ゼロのとこみたいに」
「あの方策は手間もかかる上に目立ちすぎる。『侵略しに来ました☆』と教えるようなもんだよあんなの。原始的な星ならまだしも、今回のような相手に通用すると思う??どう考えたって一部が侵略してる間に逃げられるでしょ?! 今までそんなことも考えずに侵略してたのぉ??」
(ヤベェよ、コイツ……)
おまけ
ロゼリー:皆でプリキ◯アを鑑賞中、
ゼロが呆れて「いい大人が…侵略者が攻めてきたら闇の一族は終わりだな…」
と言うとイアデルは「ふざけるな!」と一喝。
おぉ、いいぞ!我々が守ると言え!と心の中でエールを送ったが、
「プリキ◯アが守ってくれるに決まってるだろ!!」
闇の一族は終わった。




