おばけだって殴れば死ぬから
マホミルは数時間も術式の開発をして流石に疲れたので、午後は久しぶりに呑気にお茶でもして休むことにした。
青枯葉の野原にテーブルにティーセットと菓子を並べた。ちょっとした原っぱで二人はお茶会をしながら、先程の話をしていた。クレアの中からを手に取り、フッとした疑問をマホミルに問う。
「思ったんだけどさぁ、ししょーってお店で何売ってるの? 別にあそこだけで売ってるってわけじゃないんでしょ」
紅茶を啜りつつ、頬杖をつきながらマホミルは言う。クレアは砂糖壺から角砂糖を摘んでカップに入れていた。
「まぁ元々 旅の商人だからね。特に決まった場所はないわ。けど、いくらでも入る鞄とか、色が変わるドレスとか、そういうのはやっぱり人気あるわね。これぐらい魔術師なら誰でも作れるのだけどね。特にご貴族サマとかには高く売れるわよ」
マホミルは、お茶をゆっくり啜りながら何かに気付き右目を開く。
(あぁ…やっぱり勘違いじゃなかった…)
少し呆れた様な表情を浮かべたマホミルは、ティーカップから口を離すと小さなため息をついた。そして僅かに感じた魔力の方にチラリと視線だけを送る。
「出たな、人殺しの悪霊め!!!!」
空から聞こえた声にクレアは見上げた。しかし、呼ばれた本人だけは見るどころか、気にせず紅茶を飲んでいた。
「……アンタ だれ?」
「私が誰かって?冥土の土産に教えてやろう。私は神楽!花窟の巫女だ!」
まだ義務教育も終わってないような年頃の娘だった。
巫女装束を着ていて、髪と瞳の色は黒だ。この間クレアが絡まれた巫女に少し似てて、クレアはちょっとだけはらはらした。ギラギラした鋭い目つきでマホミルを睨みつけていた。
「ししょーの知り合い?」
呆気にとられた様な声で問うクレアに対し、マホミルはあっさりとした口調で、端的に答えた。
「知らない。まだ見習いってとこね」
「ちょっと、いい加減こっち見ろよ!!」
自分の事を見向きもせず、呑気にお茶を飲むマホミルに娘は怒鳴り付けた。それにムッときたのか、マホミルは娘の方を見上げる。
「だからアンタは一体何者だっつてんのよ!? 人が優雅にお茶してるところに、なにしに来たんだよお前は!!」
すると娘はゆっくり地面に降り、退魔具を杖の様に手に持ち踏ん反り返る様に立つ。
「ここに来たのは…」
退魔具をクルクル回し構えた後、神楽は自信たっぷりの表情で言い放つ。
「花窟の名にかけて、お前は私が祓う!!勝負だ!! 」
驚いた表情を見せるクレアに対し、呆れた表情を浮かべたマホミルはまるで他人事の様にお茶を啜る。
「ししょー、勝負挑まれてるよ。どうする? 受けるの?」
「え、めんどい。クレア代わって」
「やだよ〜」
「話を聞け!!」
おまけ
クレア「天下一品を天一って略す奴は残された下品の気持ち考えたことあるの?」




