第三十三話 セブン、魔法使いを卒業する?
R15の限界描写はどこまでなんでしょうかねー
てな訳で、なんとか状況は片付いた。
バレンタイン准男爵や、アイナの親しい人たちはことごとく洗脳を受けていたらしい。
ダンタリオンの洗脳は無詠唱で行われるらしく、誰も術の行使に気付くことができなかったそうだ。
それに、あいつは人間の姿のまま、悪魔ダンタリオンとして登録されていた。
最後に俺に向けた言葉は、あいつも別の世界から来たと言う風に聞こえていた。
ぶっ飛ばしてやれなかったのは残念だが、また機会があればジャスティーンに頼もう。他力本願。
俺達は新たなパンツに履き替えると、とりあえず再会シーンをやり直した。
「セブン様!」
「アイナ!」
ひしっ!
落ち着いてこういう時間を持つと、いかにアイナが俺にとって大切だったのかを理解してくる。
ディアスポラの時だってそうだ。
離れている時間があればあるだけ、彼女の存在の大きさに気付くのだ。
これってもう愛ではないか。
アイナも最初は、俺に対する気持ちは打算だと思っていたのだが、約束の指輪を通じて俺達の願いが一つになった時、既にそこには打算を超えた気持ちがある事に気づいたそうだ。
クリスは素直に祝福をしていた。
「私の負けです。アイナさん、セブン様をよろしくお願いします……!」
「うん、セブン様は私が幸せにするわ!」
えっ、それって男のセリフなんじゃないですか。
でも、女の子に慕われるのは嬉しい。
それに恋愛関係など、俺は経験したことが無いから、この浮かれた気持ちをどうしたものか、戸惑っている所である。
オリエンスが残した実に意味ありげなセリフとか、ダンタリオンの謎とか色々あったが、まあそういう細かいことは脇に置いておいて、俺達はその夜、ディアスポラでやり損ねたことをする事にした。
何をやり損ねたかっていうと、ナニをやり損ねたわけで、今日は正気である。
「じ、実は俺は初めてなので非常に自信が無く」
「わ、私も初めてですし、ここは慎重に行きましょう」
てな訳で一緒の部屋である。
俺は彼女とベッドに腰掛け、その顎に手を当てた。
アイナがギュッと目を閉じる。
キスをした。まだ舌を入れる勇気がない。
そして、服を脱がせて行く。
生まれたままの姿になったアイナをベッドに横たえると、彼女は身体を隠すように手を動かした。
「あ、アイナ、すごく綺麗だ」
「うわっ、恥ずかしい」
「そういうこと言うなよ!! 俺だって恥ずかしいよ!!」
四十八手アプリが自己主張していたが、あえて俺はスマホの力に頼らないことにした。
俺だっていい年だ。スマホに頼らなくたってやってみせるさ!!
改めて、彼女の肢体は美しかった。
そりゃ、胸は小さいし、肉付きだってよろしくない。手足は細くて子供っぽいが、人間外見ではない。俺が言うのだから間違いない。それに、相手がアイナだというだけで俺は腹の底から湧き上がってくる熱を感じるのだ。元気になる。
彼女は手を伸ばして俺を求めた。
もう一度、深くキスをして、ちょっとだけ大人のキスにチャレンジしてみて……アイナが一瞬びっくりしたが、すぐに受け入れてくれた。うむ、要練習だな。
そして、お互いベッドの上でやがて一つに……なり損ねた。
「……それで、失敗したんですか」
セレーネが呆れた顔で聞いてきた。翌朝のことである。
クリスは真っ赤な顔をして顔を覆っているが、指の間から俺達を見ている。
ニナは興味津々だ。
「もうね、もう、騙された!! 私は姉さん達に騙されました!! ちょっとしか入ってないのに、あんなに痛いなんて!! 無理、絶対に無理!!」
「セブン様も……」
「あそこまで痛がられるとちょっと引きまして……」
一端距離を取ろうとしたところ、興奮していた我が身は彼女のお腹の上で力を開放してしまい、俺は賢者になってしまったのだ。
比喩ではなく賢者である。今は四十八手アプリの力を借りなかった事を後悔している。
しかし、おかしい。
俺が今まで見たマンガや小説では、初めてでもきちんと成功していたはずだ。
それがどうして失敗してしまったのか。
「せ、セブン様、再戦はしばらく待ってもらえませんか! これは、情報収集の必要があります!」
「ああ、お、俺もそう思っていた所だ。また一回り成長して、お互い手合わせしよう!」
「ええ!」
俺達はガシっと握手した。
もう、昨晩はとにかくものすごく気まずかったのだが、これはもう仕方ない。
そもそもアイナは、年齢からすると少々幼児体型な気もするし、ちょっと年令を重ねて大人っぽくなった方が成功率が上がるかもしれない。
そうだ、そうだなきっと!
そんな風に思っていたら、後ろから服の裾を引っ張られた。
振り返るとクリスがいる。
「あ、あのセブン様、じゃあ今夜は私と……。私は、痛くても我慢しますから……!」
「だめっ! だめええええ!!」
アイナがジタバタ手を振り回して暴れる。
「そ、そんなん、クリスさんに取られちゃうに決まってるじゃない!! だめー! ぜったいだめー!!」
「ええええ、それはずるいですよおアイナさん! アイナさんは一応するところまでは行ったんですから、次は私の番ですよお!」
「クリスさん負けて身を引いたんじゃなかったんですか!!」
「わ、私はお妾さんでもいいって思ったんですう! だからあ、次は私の番なんですう! 第一アイナさんは痛くてダメだったんだから、しばらく無理なんでしょう!?」
「うっ、そ、それを言われると……」
あっ、アイナが劣勢だ。
なんか俺としては、やめて! 俺のために争わないで! って感じだが、だったらどっちを取るのよ! なんて聞かれたら絶対答えられないので無言である。
すると、ニナに抱っこされていたゴーラムがやってきたので、ガントレットの甲辺りを撫で撫でしてやった。
お、なんかふんわり暖かいなこいつ。
「ね、あったかいでしょ? ゴーラムって生きてるみたいなんだよ!」
ここ最近、ずっとゴーラムをいじっていたニナは、ちょっとしたゴーラム博士である。
ゴーラムの生態に詳しくなっている。
「ふむ、お二人共、ではこの案はどうでしょう」
セレーネがメガネをクイッと押し上げながら、アイナとクリスの間に割って入った。
彼女は少し溜めを作ってから、口を開く。
ん? なんかセレーネの頬が赤いぞ。
「間を取って、私がセブン様に抱かれるというのは」
「!?」
「!?」
アイナとクリスがあんぐりと口を開けたまま固まった。
俺も固まった。
ニナはゴーラムを撫で撫でした。
いや、いやいやいや。間を取ってないし。ていうか第三勢力参戦決定だし。
もう、どうなってしまうんだ、俺のパーティは!!
「どうなってしまうのでしょうね」
「ですよね」
俺は相槌を打った。
「色恋沙汰は好きなのですが、こうして聞く機会が無いもので、本当に興味深いのですよ」
「なるほど、聖王女様っていうのも大変ですねえ」
はっはっはっはっは。
俺と聖王女セシリアはお互い笑いあった。
そしてその直後、俺とアイナとクリスとセレーネは椅子から転げ落ちる。
「ああああああああああああああああああ!!」
「わあああああああああああああああああ!!」
「ひえええええええええええええええええ!!」
「ほえええええええええええええええええ!!」
な、なんで聖王女がバレンタイン家の居間にいるのだ。
しかも、スルッと会話に入り込んできたので、俺は自らのコミュ障も忘れ、フランクに会話をしてしまっていた。
「気にしないように。皆、楽にしてください」
「は、ははーっ」
三人娘がかしこまり、土下座する。
俺も慌てて真似をした。
「面を上げてください」
「は、ははーっ」
よりによって今のどうしようもない会話を、聖王女に聞かれたのか!
しかも聖王女も色恋沙汰の話が好きなのか!
「こほん、先程までの話は、あなた達の人間関係の話ですから。また今度進展具合を聞かせてください。それは置いておいて、今日はあなた達に密命を下すため、こうして自らやって参りました」
「聖王女様、突然何もないところから出てきたよ!」
ニナの話ではテレポートして現れたらしい。
どの辺からいたかというと、アイナとクリスの争い辺りから。
なんて人が悪いんだ。
「そ、それで、密命、というのは」
普段なら通訳してくれるアイナが、恥ずかしさのあまり耳を真っ赤にして顔を上げないので、俺が尋ねることになる。
「セブン様も既に、黒貴族オリエンスから聞いたものと思います。都市国家ラスベリアへ向かい、黒貴族、ベルゼブブに今回の事件の抗議をして来てください」
「お、おええええ!?」
どうやら俺達は、あまりゆっくりできないようだ。




