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第13話

 あれから2日間、神白君は学校に現れなかった。

学長室に連行されたことを考えると、事態は深刻?

でも、紺野先生に聞いても

「知らん、いや、言えないな」

言えない?先生の言い方が引っかかる。

それ以上はどんなにしつこく聞いても教えてくれなかった。



 そして3日目の昼休み。

あたしは図書館へ向かった。

大人たちは何も教えてくれない。

その頑なな態度から、両家の因縁とやらに関係がありそう。

何となく……そんな気がする。

だったら自分で調べてやると意気込んで、一号棟4階の図書室に向かう。

ガラッ!

入った瞬間、本の匂いが廊下まで流れ込む。

棚に視線を移すと、新しい本も所々にあるが殆どが古い本だ。

試しに近くの本を手に取る。

本のタイトルは「魔王の統治」。

書かれた年は……100年前!

近くには似たようなタイトルがずらりと並ぶ。

こんな本が並んでるのを特進科の生徒が見たら倒れちゃうだろうな。

ええっと……

本ってどうやって探すんだっけ?

日頃あまり本を読まないから、探し方が分からない。

確か、ラベルを見て……

背表紙には何も書かれていない。

ああ、もう!

一応似た内容の本は近くに配置されているのだけが救いだ。

橋の棚から片っ端に見ていくことにした。



 あった……

探し始めて10分ほど。

棚の一番上に「四王家の歴史」という本が見える。

あれっぽいな。

試しに手を伸ばすが届かない。

足場を持ってこようか迷ったけど、ここは図書室の一番奥。

やれやれ、椅子を運んでくるのは面倒臭いな。

もう一度、取れないかチャレンジしてみる。

ちょっとだけ届いた!

と思ったら、本がすっと目の前まで来た。

そのまま渡される。

雪の匂いと人の気配。

今まで本に夢中で気づかなかった!

驚いて振り返ろうとする。

「そのままで」

抑えめの声で制された。

声と匂いで分かった、神白君だ。

「ありがとう」

彼に背を向けたままお礼を言う。

「ああ」

流れる沈黙。

「あの……」

「この前は悪かった。怖い思いさせた」

唐突に謝られた。

「いいよ。気にしていない」

あのときは実際怖かったし、動揺もしていた。

でも、これ以外言葉が出てこなかった。

はっ、とここにいる目的を思い出す。

本で調べるより本人に聞いた方が手っ取り早い。

くるっと振り返ると、すぐ傍に神白君が険しい顔で立っていた。

そりゃそうだ、通路は狭い。

ここでひるんじゃいけない。

きっ、っと彼と目を合わせる。

良かった、銀じゃない。

「ねぇ、神白君……」

「赤城、頼みがある」

あたしの言葉を遮って、神白君は話し始めた。

「俺に近づかないでくれないか。二人きりの時になんて論外だ。もう限界なんだよ!」

彼の顔は苦しそうに歪んでいる。

そして片腕をもう一方の手で押さえている。

「せめて理由を……」

「言えない。」

それだけ言うとさっさと図書室から出ていった。

あたしは本を持ったまま呆然と立ち尽くした。

もういい、自分で見つけよう。

席に腰かけて本を開く。



 四王家の歴史は長い。

この四家が異形の世界を統治するようになってから3000年近く経つ。

頂点は黒瀬家。

悪魔の一族で、そこから魔王が出る。

異形の世界の『統治』を司る。

その下に三家が続く。

ヴァンパイアの赤城家、人狼の神白家、魔法使いの青蔭アオカゲ家。

それぞれ『断罪』『庇護』『審判』を司る。

もともとの関係は良好だったらしい。

しかし、赤城家と神白家の関係はいつしか悪化。

そのまま現在に至る……



 「何も書いてないじゃん!」

様々なページを見てみたが、どこにもそれらしき記述はない。

他にも2,3冊めくってみたが、やっぱり載っていない。

チャイムが鳴ったので、教室に引き上げることにした。



 「はー……。やっと出来たか」

紺野先生との特訓で、あたしはやっと第二段階をクリアした。

炎はちっちゃいけど……。

自分の足元で情けなく揺らめいている炎をみて、トホホ……ってなる。

「じゃ、第三段階。遠隔操作応用」

そう言うと、紺野先生は自分の青い炎を落とす。

「離れている自分の炎に魔力を送る」

ボッ!

途端に拳骨大だった炎が1mほどの炎に成長する。

「んで、そのまま移動させる」

紺野先生は右手の手の平を炎に向けて、そのまま胸の高さまで上げる。

ふわっ!

炎は動きに合わせて上に浮いた。

「最後に攻撃」

ドンッ!

という衝撃派と共に炎は向こうへ飛んでいき、体育館の向こうに当たると消滅した。

「これが炎属性の戦闘スタイルの基本だ。んで、実戦では……」

自然体のまま、先生の手が前に出たと思った瞬間、炎が前に飛んでいく。

「教えたこと全部を0.5秒以内に出来たらまあ、使えるかな。ほら、やれ」

自分の炎をぽとっと落とし、魔力を目いっぱい送り込む。

「おい!バカ……」

ドッカーン!

大爆発。

「ゲホ……。頼むから加減してくれ。俺、死んじゃう……」

やっぱり紺野先生は焦げていた。

「お前は強力な魔力は持ってんだ。でも加減を知らない。あれだ、不器用」

「ぐっ……」

自分の弱点を言い当てられ、言葉が出てこない。

「練習あるのみだぞ、もう一度」

炎を出そうとした時、

「紺野先生!あ、丁度いい。華音も話がある。学長がお呼びだ」

久瀬先生が呼びに来た。

そのまま3人で学長室へ向かう。



 「待ってましたよ」

学長室の中には、リンと神白君が先にいた。

あたしの姿を確認した神白君は溜息をついた。

「久瀬先生は、外へ」

「はいよ」

出て行ってしまった。

「今回呼び出したのは、任務に行ってもらうためです。今回は3人で遂行してください。鈴宮さんと赤城さんは初任務ですが、神白君は2度目なので大丈夫です。では、説明しましょうか」


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