第11話
3限が終わると、
「赤城、ちょっと話がある」
と紺野先生に呼び出された。
「お前、魔力のコントロール出来ないんだって?学長が、俺とお前は魔力の属性が似ているから特訓してやれってさ。という訳で、6限が終わったら昇降口まで来い」
めんどいけど……
ぼそっと聞こえたのは気のせいだと思っておこう。
紺野先生は欠伸をしながら教室から出ていった。
そして、その日の夕方。
待ち合わせ場所の昇降口へ行くと、紺野先生が待っていた。
朝とは違い、なんだか生き生きしている。
「よう、来たか。じゃあ行くぞ」
と、近くにあった消火栓のドアを開ける。
「行くって……そんな所から何処へ?」
「いいから、着いて来い」
ドアの向こうを見てみると、階段が下の方へ続いているのが見えた。
紺野先生はどんどん下へ降りていく。
あたしも恐る恐る着いていくと……
たどり着いたのは体育館だった。
広さはバスケットコート2面分。
地下室としてはかなり広いだろう。
窓は当然無いが、その他に変わったところは見つからない。
「ここで魔力のコントロールを覚えてもらう。この空間は普通科の生徒しか入れないし、窓がないから当然外からは覗けない。学長の強力な結界が張ってあるから、少々ヘマして火の海にしても、壊れたりしないから安心していいぞ」
そう言うと、
ドロン!!
煙の中から現れた先生には、銀色の耳と尻尾が付いていた。
「ん?なんだ、本性を見るのが初めてなのか?」
驚きで声が出ないから、こくん、と頷く。
「獣の一族は、いつも人間に変化している。幼少期は耳も尻尾も出したままだ。年齢はまちまちだが、成長と共に変化できるようになる。まあ、魔力が大きいほど早く出来るようになる傾向があるがな」
「なんで元の姿に戻ったんですか?」
「だってお前、訳アリでも赤城の姫だろ?魔力が暴発したら、人間の姿じゃ止められねえよ」
「んじゃ、始めるぞ。見てろ」
先生はそう言うと右手を上向きに出した。
「魔力を使う時は、体内での流れを感じ取り、その流れをコントロールしなきゃならない。
で、流れを感じ取ったら……」
ボッ!
手の平に、握り拳程度の青い炎が出現した。
「こんな風に魔力を外に押し出してやる。押し出したら、イメージをしっかり持ちながら形を維持する。まずは、ここまでやってみろ」
「はい……」
右手を上向きに出して集中する……
待ってみる……
ぷしゅ~
何かが抜ける音と白い煙が出た。
「うっわ……まだそこの段階かよ」
先生は呆れ顔。
「お前、前に炎を使ったんだろ?そん時を思い出せ」
あの時はどうだったっけ?
ゆきと二人で襲われた時、あたしの中にあったのは、怒りと恐怖、それと……
途端に体が熱くなる。
そうだ、そのまま右手に熱を持ってくる。
ズズズ……
エネルギーが血管に沿って移動していくのを感じる。
「おい……、待て、マズい!ストップ、ストップ!」
はっと我に返った瞬間、
ゴウッ!
手の平から赤い炎が一気に溢れ出した。
みるみるうちに体育館に燃え広がる。
「うわぁ!」
驚いて手を振ると、手の平から溢れ出ていた炎は消えた。
そこから徐々に体育館内の炎が消えていく。
燃えてしまったはずの体育館には傷一つ着かなかったのだが……。
「ゲホッ……」
目の前には、所々が焦げた先生が立っている。
銀色だった尻尾の先も、黒く焦げて縮れていた。
「前途多難だなぁ、おい」
先生の額には青筋が……
「ごめんなさい」
黒焦げにしたことを、ひたすら謝るしかなかった。




