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THE LEGEND 天衣無縫

 2020年、なろうデスゲーム。


 その作品は10度の投稿を経て生存を証明した。


 伸びずとも、伸びずとも、絶対に投稿を止めなかった。


 TSの衝動、不屈の塊。その作品の名は……


『事故って目覚めたら女になっててヒーローだった』

・狂気の35万文字


 その数字に視聴者貴族の皆様の中にはうっかりワイングラスを落とした方もいらっしゃるのではないだろうか。霧氷吹雪先生はまさに自らの手でデスゲームの狂気を演出してみせたのだ。ひたすら楽しく書く。それだけを掲げて文字を叩くその姿はまさに執筆狂戦士。


 ちなみに、一般的なライトノベルの作品賞は、10万文字くらいで投稿するものである。すなわち、この作品だけで3()()賞に応募することができる。単純計算で()()1日1万文字書いてみせたその執筆力には脱帽するほかない。


 しかし、作品は長ければ良いというものではない。筆者がその良い例である。長いだけで誇れるものではなかった筆者の作品とデスゲーム3位に入賞したこの作品。一体どこに差異が生まれたのだろうか? この作品を分析することでこのエッセイ最後の作品分析としたい。


・分析:PV数


 PV数は以下の通りである。


 挿絵(By みてみん)


 TSものという希少性もあってか、初日から800PVを叩き出すなど出だしは順調。次の日には4桁PVに乗り、そこから安定して高いPV数を維持した。


・分析:投稿時間


 投稿開始時は1日3回決まった時間に予約投稿していた。しかし、それだけでは116もの話を積み重ねることはできない。そう、作者はなんとここからさらに加速を始めたのだ!


 第2回中間報告を受けた10月10日。なんと1日に5話の投稿を敢行。そしてこれを18日まで続行してみせたのだ。この時点で章管理がおろそかになるほどの狂気が溢れているが、真の狂気はここからである。


 デスゲーム最終日10月19日。作者はなんと、1日1()0()()の投稿を行ったのだ! 18時から23時まで1時間ごとに訪れるTSの波動。というかそこまで執筆してみせたというのがおかしい。まさに天衣無縫の極みである。


 さて、ここまで狂気的な投稿を行ったのだがそれがPV数に直結したかといえばそうでもない。10日のPV数と比較して、確かに11日のPV数は倍の4000にまで上昇した。そこから徐々に上がっていったので、日に5回というペースはオーバーではあるものの、PV数上昇の効果は確かに存在していた。


 だが、日に10度の投稿は流石にやりすぎである。上昇度もそれほどでもない上に、その後2日間投稿しない日が続いていた。自分に合ったペースで書くことの重要性が窺える。


・分析:小説そのもの


①文字数


 1話あたりの平均文字数は3000文字程度。一般的な文字数ではあるが、一日3回投稿していることを考えれば、1万文字書いているようなものである。


②文字の硬さ


 一人称視点でTS主人公ということもあってか、かなりふわふわしている。さらに特徴的なのが、会話文の重ね方である。たとえば筆者の場合は、


「女装して!」

「嫌です……」

「なんで?」


 といった形で、一連の流れがある文章の場合は改行を入れずにそのまま連ねる。しかしこの作品の場合は、


「女装して!」

 

「嫌です……」

 

「なんで?」


 といったように、会話文でも問答無用で改行が入る。ここに関しては作者の好みの問題になるが、会話文にも改行が入るとふわっとした印象がより強くなる。しかし、筆者個人の考えとしては見にくいという印象の方が先に出てきてしまう。


 何度も言うがこれは好みの問題である。この作品の場合であれば、TSもの特有の雰囲気が出ているので成功例ではないかと思う。


③ タグ


 タグは以下の通りである。


 R15 ガールズラブ 残酷な描写あり 異能力バトル ヒーロー 性転換 ギャグ 女主人公 学園 現代 チート 超能力 ご都合主義 TS ローファンタジー 一人称視点 シリアス


 やはり性転換、TSが目につく。なろうにおいては3000~5000作程度しか存在しない希少性と、根強いファンの存在は読者の獲得に繋がっている。ここにチートも添えて、検索での引っかかりやすさもバッチリだ。


④ 総評


 TSと執筆への熱意がこもりにこもった作品である。並の人間ではなかなかできない一日1万文字執筆を平然とこなし、ラストスパートでさらに加速してみせたその力は、どう見ても素人ではない。


 しかし、その熱意が必ずしもPV数に伝わるかといえばそういう訳でもない。同じく女装への熱意を以て優勝をかっさらった女装男子と比較すれば視聴者貴族の皆様には伝わることだろう。


・個人的感想


 執筆は楽しむもの、そう作者のあらすじには書かれている。実際筆者もかなり楽しんで書いていた。しかし結果は生存したもののブービー。この作者も、35万の熱意を書き留めたが、10万の冠を戴冠することはできなかった。


 執筆を楽しんだ者全てが栄光の頂に登れるわけではない。しかし、栄光の頂に登った者は皆執筆を楽しんでいたと思う。PV数を稼ぎたいと焦る気持ちは分かるが、根底にある楽しさを決して忘れてはいけない。そうでなければ、1日に10回投稿するなどできるはずがないのだから。

分析した作品はこちらです。

https://ncode.syosetu.com/n8461gm/


また、本エッセイでは分析していませんが、上位入賞者である夜入龍奈先生が同じくエッセイを書かれています。筆者も拝読しましたが、かなり興味深いことを書かれていたのでこちらも是非お読みください。

https://ncode.syosetu.com/n8461gm/


 これにて本当に終わりです。『なろうデスゲーム』という企画の中で、本当にたくさんの才能に触れ、感じることができました。この経験はおそらくデスゲームを体感したものにしか感じられないでしょう。


 さて……そんなデスゲームですが、既に第2回の開催が決定しています。書籍化作家の参戦も予告され、さらに熱いデッドヒートが期待されることでしょう。執筆経験が0の人間を集める第2回では、どのような戦いが見られるのでしょうか……? 参加申し込みは2020年10月24日まで。しっかりと『説明を聞いて』デスゲームに備えましょう。


https://twitter.com/yuuyake_guild/status/1319589858830995457


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