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種馬ズ  作者: 雪だるま
第一章

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42/57

38 神谷回

芸能界のパーティーというものは、

独特だった。


ホテル最上階。


シャンデリア。


高級酒。


有名俳優。


人気女優。


モデル。


スポンサー。


監督。


プロデューサー。


全員、

笑っている。


だが。


実際は営業。


コネ。


顔売り。


次の仕事。


つまり社交場である。


そして。


種馬ズ。


現在、

完全に“呼ばれる側”。


特に今日は、

大型映画祭後のレセプション。


超豪華。


芸能界トップ層大量。


普通なら若手は緊張する。


だが。


レイ。


「のだぁあああ!!!」


即媚び。


「いつもありがとうございますなのだぁああ!!!」


高速営業。


スポンサーへ土下座寸前。


女優へ愛想笑い。


監督へペコペコ。


「次も使ってほしいのだぁ♡」


小物全開。


だが、

妙に上手い。


黒崎。


安定。


自然に会話。


空気を壊さない。


スポンサーとも話せる。


俳優とも話せる。


女性誌編集とも話せる。


完璧。


ハル。


犬。


「わぁ〜〜!」


誰にでも懐く。


何故か可愛がられる。


そして。


問題。


神谷悠真。


現在。


壁際。


ひとり。


ポツン。


酒。


料理。


以上。


「……」


静か。


めちゃくちゃ静か。


周囲。


超豪華芸能人たちが談笑。


だが神谷。


動かない。


完全に。


“陰キャが結婚式で料理食べてる状態”。


スタッフ遠目。


「あっ……」


「神谷くんまた固まってる」


「話しかけ行かないの?」


「無理でしょあれ」


実際。


神谷。


コミュ症。


かなり本物。


カメラ前は成立する。


演技もできる。


ライブもできる。


だが。


社交場。


苦手。


めちゃくちゃ苦手。


「……」


神谷。


ローストビーフ食べてる。


静かに。


かなり真剣。


その横を。


有名俳優たちが通る。


「この前の作品さ〜」


「監督がさ〜」


芸能トーク。


神谷。


無反応。


別世界。


「……美味しい」


小声。


完全に食事会。


その時。


若手女優二人組。


ヒソヒソ。


「神谷くんいる」


「かっこいい……」


「話しかける?」


「無理」


逆である。


神谷が話しかけないので、

周囲も妙に距離を取る。


結果。


孤立。


だが。


本人はそこまで気にしてない。


むしろ。


「帰りたい」


しか考えていない。


「……」


ワイン飲む。


サーモン食べる。


静か。


その時。


有名監督が近づく。


「あれ、神谷くん」


神谷、

ビクッ。


「……どうも」


「ドラマ良かったよ」


「……ありがとうございます」


終了。


会話終了。


監督、

少し困る。


「……」


神谷も困る。


沈黙。


気まずい。


そして神谷。


限界。


「……料理美味しいですね」


逃げた。


監督、

笑う。


「あはは!そうだね!」


助かった。


だが。


会話。


また終わる。


神谷。


再び壁際へ戻る。


スタッフ、

頭抱える。


「営業しろ営業!」


だが。


神谷には無理。


何故なら。


本当に、

何を喋ればいいか分からない。


「……」


その頃。


遠く。


レイ。


超営業中。


「のだぁあああ!!!」


芸能界大御所へ。


「昔から見てましたのだぁ!!!」


大嘘。


「今度ぜひご飯行きましょうなのだぁ♡」


媚び。


完全に媚び。


だが。


その横で。


神谷。


唐揚げ食べてる。


対比が酷い。


黒崎が途中で神谷を見つけた。


「あっ……」


察する。


すぐ近づく。


「大丈夫?」


神谷、

少し安心。


「……うん」


「ずっとここ?」


「……うん」


「誰かと喋った?」


神谷、

少し考える。


「……監督と三十秒」


「短っ」


神谷は真顔。


「頑張った」


黒崎、

笑ってしまう。


実際。


神谷なりに頑張っている。


だが。


芸能界社交場。


向いてない。


その時。


ハルも来た。


「神谷くん何してるの〜!」


「……食べてる」


「また!?」


「……美味しい」


ハル爆笑。


「レイ君みたいに営業しないの?」


神谷。


遠くを見る。


そこには。


大物女優へ媚び倒すレイ。


「のだぁ〜〜♡」


「美しいのだぁ〜〜♡」


「またご一緒したいのだぁ〜〜♡」


完全に小物。


神谷。


静かに言う。


「……無理」


黒崎、

即頷く。


「まあ分かる」


実際。


レイのメンタルは特殊。


恥を捨てられる。


神谷には無理。


「……帰りたい」


「まだ一時間あるぞ」


「……うそ」


絶望。


神谷、

ワイン飲む。


静かに飲む。


その時。


有名女優が近づく。


「神谷くん?」


神谷、

硬直。


「……はい」


「ドラマ見たよ〜」


「……ありがとうございます」


「すごく素敵だった」


「……どうも」


終了。


また終了。


女優、

ちょっと笑う。


「ほんと静かなんだね」


神谷、

数秒。


そして。


「……はい」


終わり。


女優、

逆に笑っていた。


「なんか面白い子」


去っていく。


神谷、

疲労。


黒崎が肩叩く。


「頑張った頑張った」


「……疲れた」


ハルはケラケラ笑う。


「神谷くん今日ずっと食べてる!」


「……社交場向いてない」


「芸能人なのに?」


神谷。


少し考える。


「……演技は好き」


「うん」


「でも芸能界は怖い」


妙に本音だった。


その頃。


レイ。


大物プロデューサーへ。


「靴舐めるのだぁ♡」


「やめろ!!!!」


会場のどこかで黒崎の悲鳴が響いた。

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