達成
「飢えてる村は放置が正解か?」
「発展させたらダメなのか?」
「均一じゃなきゃダメなのか?」
言葉を重ねる。
「それって“維持”であって、“進化”じゃないだろ」
空間が軋む。
神々が“揺れる”。
ノイズの中。
声が戻る。
「……裕太様」
「フロール!?」
「制限を突破しました」
声が弱い。
だが確かにそこにいる。
「推奨される行動は撤退です」
「だろうな」
「ですが」
一瞬。
「あなたは撤退しない」
「当たり前だろ」
「……はい」
その一言で、全てが揃う。
俺は一歩踏み出す。
神に向かって。
「俺はさ」
息を吐く。
「“バランス”壊したいわけじゃない」
間。
「更新したいんだよ」
空気が変わる。
「もっとマシな形に」
「誰も詰まない形に」
「努力がちゃんと返る形に」
言い切る。
「それが俺のやることだ」
沈黙。
長い。
そして――
創造神が言う。
『ならば示せ』
圧が収束する。
『貴様の定義が、この世界に値するか』
次の瞬間。
視界が白に染まる。
気づけば、“外”にいた。
世界全体が見える。
流れ。
循環。
歪み。
全部。
「……これが」
「はい」
フロールの声。
今度は、はっきりと隣にいる。
「“神の視点”です」
理解する。
選べる。
壊すことも、保つことも、変えることも。
全部。
「フロール」
「はい」
「これさ」
世界を見下ろす。
「全部完璧にできるよな」
「理論上は」
「でもそれ、つまんないな」
間。
「……はい」
笑う。
「だからさ」
手をかざす。
「“少しだけ”変える」
極端じゃない。
強制でもない。
ただ――
“良くなる方向に流れやすくする”
それだけ。
光が広がる。
静かに。
確実に。
《クエスト達成:神へ至れ》
■エピローグ
目を開ける。
元の場所。
村。
空は青い。
「……戻ったか」
「はい」
フロールが答える。
少しだけ。
声が柔らかい。
「神になった感想は?」
聞いてみる。
少し考えてから。
「……不完全ですね」
笑う。
「だな」
立ち上がる。
「じゃ、続きやるか」
「続き、とは?」
ニヤッとする。
新しい表示が浮かぶ。
《クエスト:世界を面白くしろ(0/∞)》
フロールが、ほんのわずかに笑った気がした。
「……終わりがありませんね」
「いいじゃん」
歩き出す。
「その方が面白い」




