54、 客寄せ
今俺は3つ有った商談スペースの一つをマネージメントルームに改造して
監視カメラを設置して 店内及び通りの様子を見ている 何故か? モデラートに
将軍様が店内で見張っていると目立つのと、顔を知っている物が委縮してしまう
ので奥に引っ込んで居てくれと 要請されたのである。(フォーは良くも悪くも
有名だな)カメラは屋上から店に面した通り用3個と 1階店内用5個、
地下闘技場に8個2階ジムに6個取り付けて ここマネージャールームと自宅
リビングで確認出来る仕様にした。 只今お客の動向を調査中である。
こうやって客観的に見てると色んな事がわかるなぁ。 実際この店は物凄く
目立ってる。それもそうだ、今まで大きい建物と言えば魔王城(比べるまでも無く
あれは大き過ぎる。)と城下町では2階建てしか、無かったのに、
突然3階建てのしかも鉄筋コンクリート造の店舗が出来れば、それはもう道行く
魔族は足を止めて必ず覗いて行く。 だが、入店する者はその内数パーセント
だろう。 新店舗が開店すると必ず大賑わいだった、前世と違い 目新しさに
皆逃げ腰だ。(しょうが無いよね)でももう少し何とかしたい。
・・・じいじと相談した所、モデラートの同僚が(軍部)近所の酒場で屯している
そうなので モデラートに客寄せ(呼び込み)に行って貰う(さくら である)
ついでに、プリモにもご近所の奥様連合にも噂を流しに行って貰う。
さて どうなるかな。
そもそも何でこんな面倒臭い事を、俺がやっているかと言うと、アダージョと
ビバーチェにはタバコの恩はあるが。それだけでは無い。この魔族の国の城下町と
言えば、首都と言っても良いと思うが この有様である。 戦闘が生涯の仕事で
娯楽も無く 一部の者しか(多分一定以上裕福でないと出来ないと思われる)
嗜好品の摂取(タバコ、酒、食事など)をしていない。 俺はそんな魔族達に
僅かでも戦い以外にも楽しい事が有ると教えたい。(多分知らないだけだと思う)
戦って(自分達には是しか無いと思ってる)戦死しても霊体としてこの世に
留まっていた。ガープやリリス達はやはり今生で何か満たされなかったから、
ここに残ったのだと思う。 今の俺にはそれを教える力が有る。
強制的に引き込まれた世界だがこの先何年(死なない設定だったな)
ここで生活するか分からないけど、周りの仲間たち(魔族達)が そんな悲しい
人生(魔生)を送って欲しくない。
現にフォーは師匠に逢ってからは。今までの自分の事などすっかり忘れて毎日
楽しそうにしている。 知れば変わるんだと思う。 そんな訳でこんな面倒を
背負い込んだ。
監視カメラのモニターを見ていると 軍人(あれは鎧なのか?)らしい者達が
入店して来た。モデラートの知り合いだろう。 店内を割とアッサリ見て立ち
去ろうとしている、ガープさんに頼んで 彼らにお酒とおつまみをサービスして
イートインスペースで楽しんでもらう様、指示を出した。
ここから見てると精巧な作りのゴーレムが突然給仕してくるとそれは引くよね、
何とかモデラートの仲介で事なきを得て、イートインスペースへ誘導出来た。
お酒は気楽に飲み始めたが、おつまみに手が付かない。 その内一人トイレに
行って帰ってきたら 何かがなり立てて皆でトイレを見に行ってからは。
もりもりとおつまみを喰らい始めて その他の食品も購入して食べだした。
重畳、重畳。
その内 店内から道を行く知り合いに手を振って呼び込みも始めた。よしよし。
奥様連合も6人程集まって入店してきた。 早速リリスさんに紅茶とお菓子の
サービスでイートインスペースへ誘導して貰うよう頼んだ。
こちらは、飲食共嫌悪感が強いのか全く手を付けない。プリモさんが先程男性が
食事を始めたのを見ていた様子で、女性皆を連れてトイレを見せに行った。
帰ってきたら男性よりも強烈に食いついた。三人程外へ駆けて行ったので多分
知人を呼びに行ったのだろう。 (着々と入店促進が進んで行く)
そして、予想よりすこし少ない入場者で今日の営業を終了した。
『みなさん 感触は如何ですか? 初めての事で大変だったでしょう。』
みんな一様に忙しかったが 自分が勧めた商品でお客さんが喜んでくれる事を
非常にびっくりしている。(きっと初めての経験だったのだろう)
『お店の経営はアダージョさんにお任せします。 闘技場とジムの責任者は
此方でも当たってみますので、暫く御待ち下さい。では一度お暇いたしますね。』
忙し一日を終え 帰宅する事にした。




