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シスター・コンプレックス!  作者: 藤友 かなで
4/4

シスター、ランチをつくる

「ヘレン、やっぱりその髪飾り、とっても似合うわ!」

私はやや興奮気味に、隣を歩くヘレンを見つめる。彼女のこめかみには、先程私が選んだ髪飾りがとまっている。

「でもお姉様、ヘレンにはちょっと素敵すぎます……。お姉様なら、お似合いでしょうけど……」

彼女は不安げに、瞳と同じ色の花を模した髪飾りに触れた。

少し大人びた印象のそれは、太陽の光を浴びて美しくブルーに輝く。今日訪れるカイック平原にも、おそらくこのような花が咲き乱れていることだろう。

「そんなことないわ、ヘレン。もうあなたも16歳だもの。これくらい大人らしい髪飾りでも、ばっちりよ!」

「そ、そうですかぁ?」

学園の校門まで、並木道が繋がっている。今日は一度校舎の庭園に集まり、その後皆で平原へ向かう。

ふと周りを見ると、同じように校舎へ歩いている生徒達が、こちらをちらちらと見ている。

冴えなくて地味な姉、首席で美しい妹。皆が注目するのは当たり前だった。ここ数日、一緒にいるとこんな感じである。

私は鼻が高かった。どこに出しても恥ずかしくない、自慢の妹。内気なヘレンの負担にならない程度に、ぜひ注目して欲しい。

「ソフィー、おはよう」

心地よい、低い声が響く。ぱっとそちらを見ると、ロルフ様が立っていた。

「おはようございます、ロルフ様」

「ああ。……妹君も、おはよう」

「おはようございます」

ロルフ様はあまり笑わない。けれど、そのお立場や雰囲気、容姿も相まって、ご令嬢からの人気は高い。

私がロルフ様を尊敬し始めたのは、入学して2日目だった。その誠実さに触れて、あっという間に憧れてしまったのだ。

「お姉様?」

「ヘレン。ごめんなさい、考え事をしていたわ」

「ソフィー、約束通り何も用意していないが……。いいのか?」

心配そうに眉を寄せるロルフ様に、手に下げていたバスケットを掲げる。

「ええ、4人分お食事を用意させていただきましたわ」

「お姉様がお作りになったんですよね!」

「え、そうなのか?」

彼が驚いたように目を見開く。口元に手を添え、動揺しているようだった。

赤の他人が作ったものは、食べたくないのだろうか。

「その……、楽しみだ」

「えっ」

頬がわずかに熱くなる。そんなふうに言われるとは、予想もしていなかった。

ロルフ様も頬を赤らめ、視線を外した。

「……」

「ヘレン? どうかしたの?」

「……西の方へ行くのは初めてなので、緊張してしまって」

不安げにこちらを見つめる彼女の頭を撫で、安心させるように微笑んだ。

「大丈夫よ、とってもいい所だから!」

ヘレンはとても賢いけれど、心配性だ。

私は久しぶりにそれを痛感して、四六時中一緒にいられることに嬉しくなった。

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