少女と、集落 2
「おいしい……」
山の上の集落での食事は、魚は一切ない。山の中に存在している山菜や魔物などを狩って、ビラーさんたちは生活をしているのだろう。
村で食べているのとはまた違った味がしたので、山の上で暮らしているからこその味付けなどももしかしたらあるのかもしれない。
リルハとカミハたちも美味しそうに食事を取っている。カミハとリルハは二頭で寄り添いあって食事をしていて、仲良しな夫婦の様子には何だか見ていてほほえましい。
グリフォンたちは仲良しで、その様子を見ているだけで嬉しくて、私がその家族として認識されていることも嬉しいなと思う。
ガイアスもお腹がすいていたのか、がつがつと食べ物を口に含んでいる。
「いっぱい食べて、ゆっくり休まないとな」
「うん。山のぼらなきゃいけないから、きっと、此処までより大変」
もっと険しい山の上。そこにビラーさんたちにとっての神様が存在している。
私は見上げるように、山頂の方を向いた。今は、夜。真っ暗で山頂の方に何があるのかはよく見えない。
星空が上空に煌めいていて、山の麓――村のある場所から空を見上げるよりも、空に近い場所に自分がいることを実感する。空に近い場所にいると思うと、何だか不思議だけど安心した気分になった。
「レルンダ、ガイアス、しっかり食べてるか?」
「オーシャシオさん!」
ご飯を食べている私たちに近寄ってきたのは、オーシャシオさんである。ちなみに、ビラーさんたちに関しては、必要以上に私たちに話しかけてきたりというのはない。
ビラーさんたちって本当にブレない人たちだと思う。
「うん、よく食べてる」
「美味しいよ、オーシャシオさん」
「それは良かった。よく食べておかないと後から辛そうだからな」
「うん。ねぇ、オーシャシオさんは、神様ってどんな存在だと思う? 私はやっぱり空を飛べる存在だとは思うんだけど」
私がそう言って問いかければ、オーシャシオさんは口を開いた。
「そうだな、俺もそういうのだとは思う。ただ、どんな存在かはわかんねぇかな。実際に会ってみないと分からないが、会うのはちょっと怖いとも感じるし」
「怖いの?」
「まぁな。神様なんて呼ばれる存在は、崇めている連中以外にとっては怖いものだろう。グリフォン様たちだって、他の連中からしたら怖いと言える存在になるだろうし。流石に危害は加えられはしないと思うが……、心配はやはりあるからな」
「そっか」
「ああ。まぁ、疲れてるから夜寝られないってこともないだろうが……、どういう類の神様なのかってのが問題だよな」
どういう神様なのか。
やっぱり、会ってみないと正解は分からないけど、どういう存在なんだろうってそういうことばかりが思考を埋め尽くしてしまう。
「うん。神様とも、仲良しになれたらいいな」
グリフォンたちと仲良くなれたように、ビラーさんたちの神様とも仲良くなれたらいいなって思えてならない。
仲良くなるのは良いことだと思うし、ビラーさんたちの神様と仲良くなれたらもっとビラーさんたちと仲良くなれるだろう。最善を尽くして、仲良くなれるように頑張りたい。
やっぱり、少し不安はあるけど、私はわくわくしていたり、前向きな気持ちの比率の方が大きい。
「……神と、仲良くなりたいか」
「ビラーさん」
気づいてなかったけど、近くにビラーさんが来ていた。
ガイアスとオーシャシオさんと話していた会話をどこから聞いていたかは分からないけど、ビラーさんたちの神様と仲良くなりたいなんて言葉をビラーさんたちはなんと思うのだろうか。
「やはり、少女は不思議だ」
「不思議?」
「ああ。本来なら、というより他のものが同じことを言うなら俺はなんて無礼なと思うだろう。でも不思議と、そういう気持ちが湧かない」
ビラーさんはそんなことを口にした。
ビラーさんたちからしてみれば、どうしてそんな気持ちになるのかと疑問なのだろう。不思議そうな表情を浮かべている。
「まぁ、その理由も、神と少女が会えば分かるだろう」
ビラーさんにとって、私についての疑問もその神様なら分かることらしい。
神子の力は不思議で、謎な点が多くて、神子は神子でもそれぞれの力が違ったりして――だから、私は私が何を出来るのか明確に分からなくて困ってる。でもビラーさんは、その神様なら私に対する疑問も分かると確信しているのだ。
それだけ力を持った存在なのだろうか、と思うがやっぱり会わないと分からないだろう。でもビラーさんたちの神様が私のことが分かるというならば、教えてほしいと思った。
ビラーさんはそのまま、また離れていったからそれ以上ビラーさんと会話は続かなかった。
食事が終われば、泊らせてもらえる家に向かい、私は眠りについた。
――少女と、集落 2
(神子な少女は山の上の集落で、食事を取り、眠りについた)




