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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女と、集落 1

「わぁ……」




 ビラーさんたちの集落に辿り着いて、私は感嘆の声をあげてしまった。山の上、奥深くに存在する集落。そんなものがあるなんて、私はビラーさんたちが接触してくるまで考えることもなかったのだ。



 私が想像もしていないようなものが、この世界には沢山あふれている。そのことを実感すると不思議な気分になると同時に、この世界は面白いんだと実感する。

 私にとって楽しいことばかりがあるような世界では決してないけれども――、私は皆がいるからこそ将来への不安よりも、未来への希望の方が強い。



 こうして、ビラーさんたちの集落に足を踏み入れてみても、やっぱり嫌な予感もしなくて、微かな不安はあっても、私は確かに落ち着いていた。寧ろ私と一緒に来たガイアス達の方が緊張した様子だったぐらいだ。




 私が見たことがなかった翼を持つ者達だっていた。子供はそこまでいない。翼を持つ者達も人間以上に長命なようなので、人間よりは子供が出来にくいのだと思う。




 ビラーさんたちにとっての神様は、此処から少し離れた場所――もっと山頂に向かえば会えるらしいのだ。そこまでの道は結構険しいらしいとも聞いた。



 なので、一旦ビラーさんたちの集落で休むことになった。七人とグリフォンたち全員が入れる家などないので、分かれてお世話になることになった。私はグリフォンたちやガイアスと一緒にビラーさんのところへお世話になる。ビラーさんの家はこの集落の中でも長的な位置にいる家らしい。他の家よりも大きかった。



 それにしてもこんな高い所まで登ったのは初めてだ。息苦しさは相変わらず少しは感じる。グリフォンたちは外にいると言ったので、ビラーさんの家の中に入っているのは私とガイアスとフレネだけである。リルハとカミハは家の中を汚してしまうのに気が引けてしまったようだ。




「……疲れたね」

「ああ。山の上って、俺も初めて来たけど、なんか、地上と違う?」

「うん」



 疲れたように腰かけるガイアスの隣に私も座っている。

 フレネは私の隣を飛びながら、「ここの方が魔力の流れが綺麗かもしれない」とつぶやいていた。




「ここの方が綺麗?」

「ええ。とても綺麗だわ。きっとこの魔力の流れを綺麗にしている存在がこのあたりにいるんでしょうね」

「やっぱり、神様かな?」

「それは分からない。でもここの人たちの神様でなかったとしても、凄い存在がこの山にはいるってことだわ」




 ちなみに今は、ビラーさんたちの姿はないので、気にすることなく私はフレネと会話を交わしている。

 念のため、フレネは姿を現していないからフレネの声はガイアスにも聞こえていない。




「フレネと話しているのか?」

「うん。この集落は凄く綺麗な魔力の流れがあるんだって」

「……魔力の流れか」

「うん。精霊たちは感じやすいんだって。ビラーさんたちにとっての神様、どんな存在なんだろう」



 ビラーさんたちから神様のことを持ち掛けられてからと言うものの、ずっと私はそのことを思考している。

 一つの団体に神と呼ばれる存在。きっと凄い力を持ってるんだろうなって考える。



「……もし何かが掛け違えていれば、レルンダだってどこかで神と呼ばれていたかもな」

「私が?」

「ああ。レルンダが神子という単語を知らなくて、俺たちが神子という存在を全く知らなかったならば――、もしかしたらレルンダだって神と呼ばれてたかもしれない」

「そっか。でもそれを言うなら、ガイアスだって……。変化出来るの、過去にいた獣人だけって言ってた。それなら、もし、何かが違えば神様って呼ばれてたかもしれない」




 考えてみれば、人が神と呼ぶ存在はその神とあがめている人の主観的な考え方だ。誰だって、神様と呼ばれるかもしれない可能性を持ち合わせているのだろうと思った。



 思えばフィトちゃんも本人自身は普通の女の子だったのにその行動から神の娘と呼ばれていた。きっと誰だって神様だと言われる可能性はあって、誰が神なのかって決めるのは周りなのだ。

 昔からずっと伝えられている神様はともかくとして、人々が身近で神とたたえる存在は色んな存在がいるのだろう。あのエルフの村で精霊樹を苦しめていた植物の魔物だって、状況などが違えば神とあがめられることもあったのかもしれない。



 そう考えてみると、あらゆるものが神と呼ばれるのだ。ビラーさんたちの神様が益々想像しづらくなってしまった。



 空は飛んでいるとは思うけれど、飛んでいる全てを範囲に含めてみると私が知らない存在も含めてかなりの数になる。やっぱりあってみないと分からないだろう。



 そんなことを考えゆっくりとしていれば、ビラーさんがやってきた。

 夕飯の準備などをしてくれていたらしい。ビラーさんたちは私たちを快く迎え入れたというわけではないが、ビラーさんたちの神様が望んで私たちはここにいる。だからこそ、歓迎のためにごちそうを作ってくれたようだ。



 ――少女と、集落 1

 (神子の少女は山の上にある集落でほっと一息をついた)





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