閑話 ―大芦美雪の事情/真神玲子の事情―
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<大芦美雪の事情>
首から下が地面に埋まっている姿を尚人君に見られていた。死にたい。
尚人君と初めて会ったのは中学生の時、両親が亡くなったという尚人君をお父さんが引き取ってきたのがきっかけだった。
いきなりだったし、知らない男の子と一緒に暮らすとかありえないと拒否していたが、すぐにそんなことはどうでもよくなった。
一目惚れってあるんだね。
尚人君は、最初は周りを拒絶していたが段々笑うようになってよく喋るようになった。
他の同世代の男の子に比べて大人っぽいし、笑顔は素敵だし、手先は器用だし、頭も良いし、努力家だし、ずっと見ていて飽きない。
一度、私のことをどう思うか聞いてみたことがある。
「家族だね。美雪は妹みたいなものだから。」
私の方が遅生まれだから妹だったのだろうと思う。家族て思ってくれるくらい心を許してくれたのだと思う。
でも私は馬鹿だ。
「私は、尚人君のことを家族だと思ってないから!」
家族ではなく恋人なんだ!という思いから否定してしまった。
尚人君は、落ち込んでいた。
その時から、表面上は変わらないが尚人君に壁が出来たような気がした。
これ以上尚人君の態度が変わるのが嫌で、その壁に触れるのが嫌で踏み込めないでいた。
高校生になった。もちろん尚人君と同じ高校に進学した。
同じクラスになったときは、神様って本当にいるのだと思った。
尚人君が一人暮らしをするために家を出たことを知って、神様っていないのだと思った。
高校生になれば尚人君との仲も進展するんじゃないかと勝手に思っていたが、尚人君はさらに壁を作っていた。
高橋さんに「恋は強気でどんどん押すべし」とアドバイスをもらった。
早速実践して尚人君に積極的に話しかけて遊びにも誘った。でもいつも逃げられる。気づいたら何人も仲の良い男子が出来た。
尚人君とだけ仲良くなりたいのに。もやもやする。
最近、真神玲子さんによく睨まれている気がする。何かしたっけ?きっと気のせいだろう。
夏休みになったら尚人君を海に誘うことにしている。私が誘ったら断るだろうからお父さんとお母さんに頼み込んで家族旅行に巻き込むことにした。尚人君はお父さんの頼みを断れないしね。
お父さんは、迷惑そうな顔をしていた。
お母さんは、ニヤニヤしていた。
きっと環境が変われば何か起こるはずだ。起こってほしい。
早く夏休みにならないかなー。
尚人君と、海ではなく異世界に行くことになりました。余計な人達付きで。
<真神玲子の事情>
尚人とキスしちゃった。男女がキスしたらもう結婚しなくちゃね。高校を卒業したらすぐに結婚ね。でもここは異世界だからすぐに結婚できるかしら。結婚したら尚人とずっと一緒。もう逃がさないわ。うふふ。
尚人と初めて会ったのは、祖父のお葬式の時だった。その時に父に兄弟がいることも、同年代のいとこがいることも初めて知った。
尚人はとても綺麗な笑顔をしていた。とてもとても素敵で私だけの物にしたくて大切に宝石箱にしまいたくなった。そのことを母に話したら、ビンタされた。これは、駄目なことみたいだ。
だったらどうすれば良いのか聞いたら、結婚したら良いと言っていた。結婚すると尚人は私の物になるらしい。
母も、尚人の家はお金持ちだから結婚しなさいと言ってくれた。
父はよく尚人の父親の悪口を言っていた。兄弟なのに助けてくれない、情がない、金に汚いとか言っていた。そんな父親じゃ、尚人が可哀そうだ。
10歳の時に尚人が家にやってきた。一緒に住むことになったので母に「私は尚人と結婚するの?」と聞いたら大人になったねと言われた。嬉しい。
一緒の小学校に通うことになった。「私は、尚人と結婚しているのよ!」と自慢したら尚人に拒絶された。だからビンタしてやった。家族なら、駄目なことをしたらビンタするのは当然だ。
尚人の両親が亡くなったから家にやってきたことを知った。
嬉しくなって「あんな酷い親と離れられて良かったね!」と言ったら尚人に睨まれた。だからビンタしてやった。それでも止めないからカッターを尚人に向けてみた。尚人は怯えて静かになった。
最近何故だかわからないが、尚人が怯えたり従順だと凄く満たされた気持ちになる。母に聞いたらそれは愛だと言っていた。
遺産というものが自由にならないと知って、父と母は尚人を殴るようになった。
父は、無職という仕事で遺産が必要だったらしい。それは遺産を持ってこない尚人が悪い。殴られて当然だ。
ある日、突然尚人との結婚が終わった。尚人がいなくなった。
父と母に聞いても何も教えてくれなかった。知らない大人達は、私達が尚人にどれだけ酷いことをしてきたか教えてくれた。
私は泣いた。だってもう尚人に会えないて言うから。
私は、知らない大人達に「常識」というものを教わった。
「常識」を守っていればまた尚人に会ってもいいそうだ。「常識」を教えなかった父と母が悪いとと教わった。
「常識」を守ればまた尚人を好きにできると知って私は嬉しくなった。
「常識」を教えてくれた人から尚人のことを教えてもらえた。男の人は体に触れながらお願いすると簡単に言うことを聞いてくれるから便利だ。
尚人は今、大芦弁護士という人の家に住んでるようだ。
大芦弁護士の家はすぐに見つかった。
久しぶりにみた尚人は笑っていた。素敵だった。だけど隣に知らない女がいた。
なんだあの女は。
きっと尚人は監禁というのをされているのだろう、でなければ私以外の女と一緒にいて笑うなんてありえない。
すぐに取り返そうとしたが「常識」と照らし合わせていけないことだと悟った。
だから尚人のことを調べ進学先を知った。そのおかげで同じ高校に進学することができた。しかも同じクラスになれた。愛の力だ。
尚人は、あの女の家を出て一人暮らしをしていた。私のために自由になったのね。愛の力だ。
学校では、尚人は私のことを露骨に無視をしていた。私のこと意識しているのね。
両親のせいで尚人に近づけないけど時間が解決するはずだ。
ああ、早くまた尚人と結婚したい。
あの日、私と尚人は異世界に召喚された。
私は悟った。ここは日本ではない。常識も親も何もかも関係ない。自由だ。
もう邪魔者はいない・・・。
尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。尚人は私の物。
玲子さんのヤンデレの拗らせ具合が酷い。
美雪さんなんだか空気・・・。
次話予告
「キュアティーチャー マジカル☆モモ 先生、魔法少女だったのよ」
お楽しみに!