17.血の通わない急所は鉄より脆い
時刻は深夜0時。
盗賊のアジト前に到着。貴族街にあるワルダー=クミ名義の大きい洋館だ。
「スラムで暴れる盗賊の拠点が貴族街とか盲点だよな」
黒装束の集団に指示を出す。
バスクール=オダオワリ様から借りた子飼いの隠密集団クサだ。
どう見ても忍者だ。
洋館の四方を配置されたクサは『生活魔法』のサイレントで防音をし、別働体は馬車を確保。
このワルダー=クミ名義の馬車が、盗賊達をアジトとスラムに移動させるライフラインだからな。これは潰しておく。
さて、行きますか。
自身に『隠蔽』と『認識阻害』をかけて魔力を練りながらアジトに正面から侵入。
同時に、クサ達には2階の窓から派手に突撃してもらった。
案の定、盗賊達は無駄に広い吹き抜けの玄関ロビーに態勢を整えるために集まってきた。
盗賊18人にざっと『鑑定』をかける。
平均レベル8と言ったところかな。
今まで討伐してきた盗賊と変わらない。職業も「盗賊」だし潰して問題ないな。
練りに練った魔力でブリットショットを掃射。
広い玄関ロビーとはいえ、そこに大人18人だ。密集した肉壁にマシンガンの様な魔法弾丸が撃ち込まれる。
寝起きであるらしい薄着の盗賊は即死。
皮の鎧等で武装していた盗賊は行動不能と言ったところかな。
鉄製の防具で武装していた6人ほどの盗賊は軽症といったところ。
魔法発動により『隠蔽』は解かれているので、すぐに魔力を練りながらハルバードを振り回して牽制。
6人の注意がこちらに向いたところで、『状態異常魔法』のショッキング。
動揺を与え、一瞬行動を阻害混乱させる魔法だ。
動揺している盗賊のうち盾持ちの1人にハルバードで突進。鎧に阻まれハルバードの突きは通らなかったが吹っ飛ばせ気絶させた。
同時に背後に忍び寄っていたクサ2人が、各自盗賊の首を刎ねる。
残り3人。
剣、盾、鉄の鎧が2人に全身鎧と両手剣が1人と言ったところ。
目の合ったクサの1人に頷くとクサ2人は派手な音のする2階へ加勢に向かった。
練っていた魔力で『弱体化魔法』のオールウィークネスライトを全体かける。
能力全体下げる魔法だ。極僅かだけどそれでも違うはずだ。
『収納』で武器を刀に持ち替えてブリットショット。
盾や鎧で致命傷にはなっていないがある程度のダメージを与え動きが鈍くなっている。
『刀術』のスキルレベルが上がったことで覚えた<二連撃>で盗賊1人の両腕を切断。1度の攻撃モーションで2度斬撃を与える技だ。
その攻撃の隙に別の盗賊が盾で殴ってくる。
回避出来ず右肩で受ける。
右腕が痺れ刀を落とすが、ブリットバーストで盾ごと相手の腕を吹っ飛ばす。
すぐに『収納』で左にて鉄の剣を持ちそれで刺殺。
利き腕ではないので振るうには力は乗らなかったが、鎧の隙間に体ごと突いたので倒すことが出来た。
残り1人。
全身鎧の盗賊は両手剣を振り回しながら突進してきたので、『回避』しながら『収納』で鉄の剣からハルバードに持ち替える。
隙を作ろうとショッキングの魔法を使うが抵抗される。
連続で効かないか。
それならばと、再度突進してくる盗賊にブリットバースト。
鎧は派手に凹んだが怯まず突っ込んでくる。
とっさにハルバードを『収納』して盗賊を投げ飛ばす。
『ゴブリン式格闘術』だ。まさか役立つとは。
すぐにハルバードを取り出し、投げ飛ばした盗賊を全身鎧ごと何度も叩き潰す。
床に転がっている動きそうな奴に止めを刺し、また騒がしい2階への階段を見上げる。
2階からクサの1人が吹っ飛んできた。
悪いけど回避した。
「雑魚ばかりだと思ったがやりそうな奴がいるねぇ」
半裸の巨漢な男が2階から降りてきた。
両手剣を片手で担ぎ、反対の手には鎖を持つ。
鎖の先は首輪につながり目の虚ろな全裸の女が・・・エルフ?
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名前 ルミナス=フーリエ=タイジュ 423歳
種族 ハイエルフ族
職業 奴隷
レベル -
HP -/-
MP -/-
力 -
体 -
俊 -
魔 -
【スキル】
-
【称号】
エルフの王族 精霊の巫女 大樹の番人
【固有魔法】
-
【装備】
従属の首輪
魔封じの印
【状態異常】
催淫
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「鑑定」したら色々ヤバい。
奴隷だし催淫状態だし。
よろしくやってたてことか。
それよりもだ、エルフの上位種のハイエルフなうえに称号が「エルフの王族」だと。
エルフの王族を魔封じの印で能力を封印して奴隷に。更に薬か魔法で催淫状態にして慰み者。
これは揉めるぞ。
半裸の巨漢な男も『鑑定』
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名前 ブルース 38歳
種族 人間族
職業 盗賊王
レベル 32
HP 3200/3200
MP 800/800
力 320
体 400
俊 200
魔 100
【スキル】
鉄血 剣術 投擲
鉄壁 力強化 大声
大食い 恐怖 統率
【称号】
勇者の子孫 盗賊王 虐殺者
【固有魔法】
サッキングブラット
【装備】
魔剣 吸血鉄塊
皮のズボン
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盗賊の頭かと思ったら盗賊王かよ。
思った以上に大物だ。
しかもレベル32に勇者の子孫かよ。
「鉄血」は、勇者から受け継いだコモンレアぽいな。
『検索』しても該当するスキルが見当たらない。
あの担いでいる両手剣は魔剣か。
色々とインフレしてやがる。
半裸の男は、エルフに繋がる鎖を手放すと、担いだ両手剣を軽く振り上げ後ろから忍び寄っていたクサを叩き潰す。
切れ味はなく剣というより鉄の塊だ。
次の瞬間、両手剣が暗く光ると、叩き潰されたクサから干からびていく。
血液が剣に座れているようだ。
魔剣の効果なのか、固有魔法のサッキングブラットの効果なのか。あれはヤバい奴だ。
どちらにしろ奴隷のエルフが離れたので、巻き込む心配がないと遠慮なくブリットショットを撃つ。
まったく効果がない。
続けてブリットバーストを。
これも効果がない。
なんて硬さだ。この硬さは『鉄壁』てだけじゃないぞ。
半裸の男は叫びながらこちらに突進してくる。
余りの轟音に怯んでしまった。
『大声』のスキルか。
半裸の男は、怯んだ僕に向かって両手剣を振り下ろす。
大振りなのでなんとか躱すことが出来たが、振り下ろされた両手剣が床に激突し石つぶてが飛んでくる。
砕けた石の破片を腕で払いながら攻撃に移ろうとしたときに『空間認識』がは反応。
『投擲』さてた石つぶてが飛んでくる。
大技の次は小技とか面倒な。
ギリギリ躱すことが出来たが頬に大きな傷が出来た。
「サッキングブラット」
半裸の男がそう唱えると急に全身から力が抜けていく。
頬の傷の出血が男の方に吸い込まれるように集まっていく。
僕は慌てて『回復魔法』で頬の傷を塞ぐと全身から力が抜ける感覚が収まった。
血を吸う魔法か。
今、男の目の前には血の塊が浮いている。恐らく僕の血だ。
結構な量を抜かれたらしい。頭がクラクラする。
男はその血の塊を握ると、それを僕に向かって『投擲』した。
危険な感じがしたのでその血の塊を刀ではじく。
カーンという金属音がなり、ダガーが床に落ちた。
ダガー?
良く見ると、全体が赤黒いダガーだった。
これは血か・・・。スキル?
「鉄血、血を鉄の様に変えるか・・・」
「ご名答。それが俺のスキルだ。鉄の様に硬くなった俺の体はどんな攻撃も通じないぜ」
男は大声で笑う。
「オールウィークネスライト」
気休め程度が全体能力低下魔法を唱える。
男はまったく気にしている様子がない。
「ショッキング」
続けて動揺させる魔法を。
一瞬男の動きが止まる。
その隙を見逃さず男に駆け寄り、男を投げ飛ばす。
『ゴブリン式格闘術』舐めるなよ。
固くて物理攻撃が通じなければ通じる攻撃をすればいい。
関節まで硬くしたら体は動かせなくなるはずだ、だったら。
右肩関節にダガーを刺しながら左肩関節にブリットバースト。
至近距離から硬くなってないはずの関節に攻撃。
これなら!
半裸の男の左腕は吹っ飛び、右腕から出血が。
男は慌てて両肩の出血を鉄化したが、関節を鉄で固めたらどうなるかな。
案の定、右腕は固定され使い物にならなくなった。
左腕も無くなり、右腕も使い物にならない。
更に男から両手剣を奪い取り『収納』
形勢逆転。
貧血でぶっ倒れそうだがさらに一発追い打ちを。
刀を鞘ごと取り出し、刀の鞘で股間に体重を乗せた一撃。
さすがに戦闘中は海綿体に血が回ってないから鉄化出来ないだろう。
エルフの姉ちゃんとよろしくやっていた罰だ。
少し私情が入ったのはご愛敬。
一撃食らわせた僕は満足して気絶した。
原因は、貧血だ。
後日談。
半裸の男は、かなりの大物でヴァナニール帝国領一帯を占める盗賊団の頭だった。
トップがいなくなったので組織的な活動は無くなりだいぶ治安が良くなったそうだ。
半裸男は、従属の首輪と魔封じの印を施され投獄。
後日公開処刑されるそうだ。
ワルダー=クミは、盗賊団のパトロンやら奴隷売買やら禁止製品の密売など完全にブラック。
公開切腹するそうだ。
切腹の制度が広まってたのね。
エルフのお姫様は無事に助け出されて、バスクール=オダオワリ様の邸宅で丁重に療養中。
帝都に招かれているそうだが、オワリに用事があるらしく居を移す気配はない。
今回の始末については、エルフのお姫様は自分の未熟が招いたことであってヴァナニール帝国には一切の責任はない。責を受ける咎人は処刑されるのだから問題ないとして、帝国の重役も一安心。
そんな僕は3日ほど眠っていたそうだ。
貧血と疲労とダメージと結構な負担だったようだ。
目覚めた僕は、ヴァナニール帝国から報奨金と勲章を頂いた。
エルフの王族と揉め事を事前に防いだというのが理由だ。
この功績で帝国での身分が侍となり一代限りだが貴族となった。
更にバスクール=オダオワリ様からも報奨金を貰い、オワリの街での商売の後ろ盾になってもらえた。
冒険者ギルトからの呼び出しがあったので行ってみると、冒険者ランクがDからCになっていた。
今回の盗賊退治の功績らしい。
称号も盗賊ハンターから盗賊スレイヤーになっていた。
僕自身は、レベルが上がっており、いくつかのスキルもレベルアップしていた。
戦闘後に放置していた武具を『万物創造』で新調し、戦闘で習得した『槍術』『斧術』をハルバードに合成した時にあることに気づいた。
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魔剣 吸血鉄塊 両手剣
吸血の魔力が込められている鉄塊
装備者及び他者の血液を吸収することによって切れ味が増す
戦闘終了後は鉄塊に戻る
【固有魔法】サッキングブラット
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『収納』したまま持ってきちゃったよ。
誰にも何も言われてないから良いか。
この魔剣は血を吸収すると切れ味が良くなる魔剣ぽい。
吸収しないとただの鈍器か。
半裸の男は軽々と振り回していたが結構重い。
この武器を装備している時だけ固有魔法のサッキングブラットが使えるみたいだ。
傷口から血を吸う魔法だが実際に受けた身としては嫌らしい魔法だったなぁ。
傷がついたらアウトだもんな。
しばらく武器の具合を確かめた後、新調して『収納』
中々大変だったけどしばらくのんびりさせてもらいますか。
尚人はベッドに転がりそのまま眠りにつく。
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盗賊スレイヤー
盗賊団を壊滅させた者の称号
職業盗賊に対して特攻倍化となる
職業盗賊に対して恐怖効果がある
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帝国勲章
ヴァナニール帝国の名誉勲章
一代限りの貴族の証
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ハルバード 槍斧
純度の高い鉄と名工の手による鍛錬によって出来た槍斧
斬る・突く・叩く・引っかけるという使い方が出来る
槍術3斧術3
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斧術 3/10(コモン)
斧を扱う技量に補正がかかる
叩きつけ威力が増す
斬撃の速度が上がる
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槍術 3/10(コモン)
槍を扱う技量に補正がかかる
突きの威力が増す
突きの速度が上がる
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刀術 4/10(コモン)
刀を扱う技量に補正がかかる
初手の切れ味が増す
斬撃の速度が上がる
二連撃を使用可
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回避 3/10(コモン)
回避行動の成功率に補正がかかる
回避補正率中上昇
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体術 3/10(コモン)
体を扱う技量に補正がかかる
身体能力が少し上がる
力が少し上がる
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空間認識 2/10(コモン)
周囲の三次元情報を把握認識する
認識範囲が広がる
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状態異常魔法 2/10(コモン)
状態異常を与える魔法を使うことが出来る
動揺させる
麻痺させる
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弱体化魔法 2/10(コモン)
能力を弱体化させる魔法を使うことが出来る
能力全体を極僅か下げる
力を少し下げる
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ゴブリン式格闘術 2/10(コモン)
ゴブリンの英雄「ケンジ」が編み出した格闘技
素手の状態で使用できる投げ打撃中心の技
自分より体格が大きい相手に特攻がある
投げ技小強化
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剣術 2/10(コモン)
剣を扱う技量に補正がかかる
斬撃の威力が増す
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名前 真神尚人 17歳
種族 人間族
職業 勇者
レベル 7
HP 2100/2100
MP 1962/1962
力 400
体 360
俊 360
魔 450
【スキル】
万物創造 共通言語認識 電脳
剣術 刀術 投擲
体術 ゴブリン式格闘術 回避
解体 火魔法 水魔法
風魔法 土魔法 回復魔法
重力魔法 生活魔法 状態異常魔法
弱体化魔法 遠見 警戒
索敵 空間認識 料理
農業 状態異常耐性 並行詠唱
【称号】
異世界人 勇者 閃光のマヨネーズ
盗賊スレイヤー 帝国勲章
【固有魔法】
ブリットショット
ブリットバースト
【装備】
打刀無銘
皮の鎧
お洒落なマント
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