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エピローグ

夕暮れの大聖堂に、聖女の悲鳴が響くことはなかった。

リナ――エリーナが指先で私の喉を優しく撫でるたび、声にならない震えが全身を支配し、吐息さえも彼女に奪われていく。

「そんなに怯えないで。今度は高いビルから飛び降りる必要なんてないの。魔法であなたの体温をずっと一定に保って、私の部屋で、誰にも見られずに、ただ私だけを愛していればいいんだから」

彼女の影が、私の足元を浸食するように伸びていく。

聖女としての神聖な魔力は、彼女が冥府の王から授かったどす黒い執念に塗り潰され、指一本動かすことすら許されない。

大聖堂のステンドグラスから差し込む残照が、絶望に濡れた私の瞳と、慈愛に満ちた、それでいて底の知れない彼女の微笑みを残酷なほど鮮やかに照らし出していた。

「ねえ、嬉しいでしょう? 私たちの愛は、死ですら引き裂けなかったのよ」

震える私の唇に、彼女は前世の最後と同じ、熱烈で冷たいキスを落とした。

長く、深く、地面に溶け合っていく二人の影。

それは救済の光など届かない、永遠に続く「二人だけの檻」の始まりだった。

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