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第一話

「見ーつけた。……ねえ、今度はどこに逃げようとしてたの?」

豪奢な大聖堂の裏庭。

転生して十数年、ようやく手に入れた平穏な「聖女」としての日常が、その一言で音を立てて崩れ去った。

振り向いた先にいたのは、前世で私を監禁し、挙句の果てに「無理心中」を図ったはずの幼馴染み――立花リリナだった。


前世の記憶は鮮明だ。リナは美しく、聡明で、そして救いようがないほどに私を愛していた。

彼女の愛は、私のスマートフォンのGPSを常に監視し、交友関係をすべて断絶させ、最終的には「誰もいない場所へ行こう」と、私を道連れにビルから飛び降りるほどに重かった。

「……なんで、あんたがここにいるのよ」

「ひどいな。あんなに熱烈なキスをして一緒に死んだのに、忘れちゃったの?」

今の彼女は、この国の公爵令嬢 エリーナ。

だが、その漆黒の瞳に宿る、ねっとりとした「独占欲」は、現代日本にいた頃の彼女そのものだった

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