第九話『お望みどおりにゃん』
第九話『お望みどおりにゃん』
《ホントのホントに差しあげて良かったのにゃん?》
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「——天をあおいで願いましょうか——
大宇宙の愛よ!
どうか! どうか!
私にとこしえの力を!
……はっ!
なにがか飛んできます。
もしや、もしやっ!」
『ミーナ、
アブソリュゥトスクリュー、
ドライブキィィック!』
ぎゅうぅぅん、どがっ!
「あれえぇっ!」
ひゅううぅぅっ。
「やったぁ!」
ぱたぱたぱた。
「——と羽ばたきながら、
吹っ飛んでいった仲間へ、
『いつまでもお元気で』
と別れを惜しみつつも、
けなげに見送る友だち思いのアタシ、
ってとこかな。
いやあ、いいことしたのわん——
眺めれば、はるかな彼方へ、なぁのわん。
——ふふっ。
ホント、
アタシってどうしようもないほど、
親切なのわん——
ミリアん。
お望みどおり、
『とこしえ』かどうかは別として、
アタシの力を差しあげちゃったのわぁん!」
《ミーにゃんにも困ったもんにゃあ》
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「——さてと。
ミリアんへの練習では、
完璧に決まったのわん。
ならば、お次は……よぉし。
いよいよ実戦といっちゃおう。
気をしっかりと引きしめて挑むのわん——
ええと、標的のミアンは……」
きょろきょろ。きょろきょろ。
「あれっ? いないのわん。
おっかしいなぁ。
さっきまで、
その辺をうろうろしていたのに。
木の実でもパクつくつもりで、
果物園に行っちゃったのかなぁ?
それとも、
例によって例のごとく『おトイレ』?
まぁなぁんにせよ、
煙のごとく消えちゃったのわん。
——もっともぉ。
煙のごとくかどうかは、
実際に見ていないから、
議論の余地はあると思うけどね。
んでもそれにしたって——
ふぅぅむ。謎は深まるばかりなのわん」
『ミーにゃあぁん!』
「おや?
この忘れようにも想い出せない、
じゃなくって、
忘れたくても忘れられない、
じゃなくって、
忘れたくないもんで忘れられない、
聞き覚えのある声は」
《『じゃにゃくって』が多いもんで、つづくのにゃん》