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詩集<独白>  作者: インジュン
詩編(1)
91/95

おびえる



踏みあった影はうねりを繰りかえし

大蛇のようにわたしを睨めている

これが雑踏という生物だ


身を縮めて隠れるほかない

だが一歩たりとも動かぬように


語ることを好まなかった父は

静かなところへと旅立っていった


名があったかさえわからぬ山は

ただ小さく葉の陰を落とすばかり


眩むような夏の暑さのなかで

もはや白百合とは呼べぬ花束を掴み

そっとビニール袋に隠した


ぬるい風が吹いていた

それは黒々とした湿りを舐めつくし

狂女の髪のようにゆれていた


昼に浮かぶ星雲のような声音で

蜉蝣のように、おんなが問う

<空の青さに恥じない人生だった?>


墓標のいくらかは苔生し

太陽は無邪気に首をかしげていた


街へともどる道は急峻で、

地平は鋭利に太陽を反射している

いますぐにクラクションを壊してやろうと思った


街灯は羽虫の悲鳴にかげり

家は貝のように閉ざされている

そこには美しく育まれる肉体がある


そしてアスファルトの黒々とした窪みから

渇ききった命は手を伸ばしている

だがもはや、風が吹くことなどあるまい



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