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悲しみは蝶のよう(改稿)
夜道を漂白する
月明かりは今日も寂しげだ
こびりついて離れない
靴底にこびりついた日々を
こそぎ取ったレシートの
値も重さも変わらない
うずくまった家の団欒は
みなそれぞれの神話
排水口からはもう清潔な
塩素の匂いしかしないから
いっぱいに貯めた水のなかで
わたしの瞳がゆれている
この悲しみは蝶のよう
今日も青空の息はしろく
梢の先で宙ぶらになる
昨日はどこにあるだろう
濡れていたのはなぜだろう
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