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詩集<独白>  作者: インジュン
詩編(1)
64/95

嘔吐

『生きることは意味を嘔吐することだ』とMRIが唄い出すと、逆立ちする王冠が、白衣を尿道から垂らして壊そうとする。金槌は微睡みたいから錆びる。城が『空へと射精するための装置』だと表現されたある日の夕暮れ、城下で襤褸をきた案山子たちは動かない。脳髄がEである証明は斯くして為ったが、都会のあなたがたは火を信じているから、今日も太陽が赤いなどという妄信が網膜でタップダンスする。鼓膜は海の記憶を懐かしんで、いっしょに法螺貝を吹こうと、血のバトンを奪って走りゆく。まして21グラム程度の鉛以下の肉体と馬車が城壁を食むなんて、目はどこにもないだろう。だがあなたがたは、やはり火が物質であると(あまつさえそれが有機物であると!)信じるから、墓石がたりなくなる。盲目の彫刻師が髭の下で笑う。案山子が疲れて膝を農家に強請る。罌粟を加えて老夫婦が耳掻きする。呑んだくれが吐瀉物の中で窒息する。薪と水面と風の心中が空になったことを紐解いた詩人は、昨日に絞首されて痣を撫でながら烏と戯れる。アルファベットの影に鼠が逃げて、この宵闇のなか息吹くものはなにひとつない。

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