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四畳一間の現実
カーテンで閉められた
時を忘れた部屋
ディスプレイの<青い光>だけが
やたらめったら明るくかった。
顔がぶきみに照っている
自慰に耽る
少年は、未来永劫
ビットで構成された理想を追う。
だれからも救われない
黴びたティッシュと
なにからも掬われない
赤黒く乾燥したバンドエイド。
カッターの先端はあぶらで鈍り
所在なさげに替え刃は散り
ものほしげに膿んだ腕の傷、
闇からしきりに笑いかけている。
画面のなかで女が果てた
ように見えた
凡百な映像をながめる少年の表情は
奥歯をかみしばって堪えていた。
四畳一間にむかしは<龍>を求めて
閉じこもって
レイニー散乱の<青い光>に抗ったが、
いまやそれさえもが現実だ。
三月投稿分。