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Hello,New myself.
幼い私は
風に攫われたのではなく
無骨な拳を
握った私に 殺された
黄ばんだ歯を
軋らせた私に なった
共に手を繋いでいた古き両親は
笑ってそれに、小さく頷く
時計の短針が、長針が
ほんの僅かな弧を描くまえに
私は死ぬだろう
糧となるだろう
私は嗤うだろう
贄となるだろう
あらたなる 私のために
瞳をつむり休息する両親は
うつらうつらと眠りを漕ぐ
かつての惨劇に情景を恃んで
枯葉が彩る墓地のまえで
私と小さな子供が並んでいる
ともに手を合わせて
くゆる線香の香りに一つ頷き
死神が私たちの首をおとす
ごろん、と大地が赤く揺れ
両親のしゃれこうべが
かたかたと ないて いる