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奪われた骨格
ふと、
君は僕の骸骨を奪う
呼吸のように、唐突に、
接吻するでもなく、
慈しむわけでもなく、
むきだしの白い脳に
指をそっと、つきさし
滑らかにかきまぜて
前頭葉に色と熱が灯る
それは残酷な遊びだ
君の、無色の遊びだ
やがて、
脱力した手が脳を垂らしながら
僕の胸を滑り、指がひっかかって
君は肋骨をはがしていったのに
澄んだ瞳に僕はもういないのだ
白い鋭端が赤く震える臓腑を裂き
去る君には聞き得ぬ悲鳴があふれる
僕を囲ったものはもう、すべてない
だから僕はこの胸の痛みにうめいている
空っぽの眼窪に見られながら
零れた脳漿に慰められながら