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転移無双  作者: 天野 空
第五章 麒麟児
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麒麟児~研究所悪魔大戦 水の悪魔編~

自ら場所を変えた、ウォーサン。

相手は水の悪魔。

さぁ、戦いが今始まる。

「まさか本物が現れるなんてね」

悪魔は腕組みをしながら水面に立つ。

その場所は当たり一面海。

この世界のどこかの海の上だった。

悪魔に対峙するのはウォーサン。

この場所に自分と悪魔を移動させた張本人。

「でも、私は今や水の悪魔にもひけをとらない魔力を持っている、ここで貴女を倒して私が本当の水の悪魔になってあげるわ」

悪魔はにこっと笑いながらウォーサンに話しかける。

ウォーサンはそんな悪魔を見ながら微笑を崩さず水の上に腕組みをして立っていた。

「まずは本物の実力見せてもらおうかしら」

悪魔の足元の水面が盛り上がり、そこから水の槍が現れウォーサンに襲いかかる。

ウォーサンはそれを避けようともせず、立ったままだ。

1つ2つとウォーサンの体を貫く水の槍。

確かに、力ある言葉を発せず魔法を使うこの悪魔は他の悪魔より魔力が高い。

しかし、水の槍で貫かれ穴の空いたウォーサンの体は、すぐに塞がり何もなかったように立っている。

水の悪魔ウォーサンには水の魔法は効かなかった。

「ま、そうよね、ならこれならどうかしら?」

悪魔は腰に付けていた杖を構える。

そして、同じように水の槍を生み出し放つ。

それにすぐさま杖の力を解放、水の槍は雷を纏いウォーサンを襲った。

ウォーサンは大きくその槍を回避。

「さすがに雷は避けたわね」

悪魔は笑みを浮かべ、続けて同じ魔法を打ち出した。

「確かに水は雷に弱いけど、この程度ならどうとでもなるのは確かなんですよ」

喋らなかったウォーサンが初めて声を発し、そして右手を前に突き出す。

ウォーサンの前に丸い水の壁が現れた。

悪魔の水の槍は全てその壁に飲み込まれ消える。

「なるほど。では、これならどう?」

悪魔は水面を足で踏む。

ウォーサンの足元の水が鞭のように飛び出し、体を捕らえた。

「だから、水ではどうしようもないですよ」

ウォーサンが水の拘束を外そうと力を入れた時、悪魔は杖をウォーサンに向け力を込める。

杖は青白く光ると、ウォーサンを捕らえていた水の拘束が凍りつき氷の拘束へと変わった。

「貴女自信を凍らせる事は出来なくても、水の拘束は凍らせますからね」

「魔導の杖」

ウォーサンの言葉に悪魔は頷く。

「ええ、そうです。魔力さえあればどんな魔法も使える伝説の武器です」

「それでさっきから勝ち誇った顔をされてるんですね、この程度で」

ウォーサンは拘束から逃れようと力を込めた。

しかし、拘束は強くウォーサンの動きを封じ込める。

「無駄ですよ、その拘束はドレインの魔法もかかっていますから、貴方が力を入れれば入れるほど私に力が送られるのです」

「なるほど」

ウォーサンは諦めたのか力を抜く。

「それでどうします?

先ほどの雷を纏わした水の槍では、私を消滅させるには足りませんよ」

その言葉を聞いて悪魔はにやりと笑う。

「ええ、ええ、そうでしょう。しかし、これならどうです?」

悪魔は胸元から1つのクリスタルを取り出した。

「これは雷の悪魔の力で作られた雷のクリスタル、これを貴女の中で解放したらどうなるでしょうね?」

悪魔の言葉にウォーサンは初めて笑みを消した。

「やはり、笑みが消えましたね」

「まさか、そんな奥の手を持っているなんて思っても見ませんでしたからね」

「それでは、さようなら本物さん、貴女の代わりは私がなってあげますよ」

「ま、待ちなさい」

「今さら何ですか?偉大なるウォーサン」

余裕の笑みの悪魔。

それに比べウォーサンは狼狽した様子で、拘束を解こうと暴れる。

しかし、拘束は外れる事なくウォーサンを締め付ける。

「今さら、慌てても遅いですよ」

悪魔から雷のクリスタルが放たれ、クリスタルはウォーサンに深くめり込んだ。

「ぎゃ~」

「そうそう、その声が聞きたかったんです」

「それではさようなら、本物さん」

悪魔はクリスタルに力を送る。

クリスタルはそれに呼応するようにウォーサンの中で弾け周囲に雷の渦を起こした。

「弱すぎますね、本当に本物だったのかしら」

悪魔は高笑いをしながら雷の嵐を見ていた。
















「さて、勝利に浸れましたか?」

「え?」

悪魔は背後からの声と胸から生えている腕を見た。

「な、なんで」

「私、どんな雑魚でも勝利と言うものを教えて差し上げてます。ただし、代償はその相手の命ですが」

「かはぁ」

悪魔はどうにかその腕を掴み引き抜こうとしたが、体が全く動かなかった。

「ドレインです。貴女の魔力全部吸い付くしてから消滅させてあげますね」

ウォーサンは後ろから悪魔を覗き込む。

その顔は今まで見たこともないような残忍な笑顔だった。

「そうそう、他の人には黙っててくださいね、私がこんな顔をするの、一応、今はいい印象を持たせるように通してますから」

悪魔は言葉にならず、ウォーサンの顔に恐怖した。

「ああ、そうそう、他の人達は知りませんが、きちんと核も潰しておきますね、貴女達は核さえあれば魔力を吸収し復活しますからね」

「や、やめて」

悪魔は声を絞り出す。

「は、はぁ、ダメですよぉ~」

ウォーサンは大きく口を開けて笑うと、腕に掴んでいる何かを悪魔の目の前で握りつぶした。

「ぎ」

悪魔はその瞬間、その存在ごと世界から消えた。

「はぁ、退屈な戦いでした。

やっぱりクロノさんと一度戦って見ようかしらね」

そう言うとウォーサンはその場から一瞬で姿を消した。

1つの戦いが終わり新たな戦いが始まる。

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