第335話 【BLACK EDGE 其の335 憧れ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第335話
【BLACK EDGE 其の335 憧れ】
狼のようなモンスターに襲われている時だった。モンスターの中では珍しく群れを成して行動するモンスターは、少年とその家族の乗っていた馬車を襲撃すると、護衛を殺し、家族も食い殺した。
そして残った少年にも、その牙が襲い掛かろうとした時だった。
「た、助け!!」
「ふっ!!」
青髪の男が現れると、そのモンスターを蹴り倒した。モンスターは魔素へと戻り、消滅していく。
数分の出来事。たった数分で男はモンスターの群れを蹴散らしたのだ。
行く当てのなかった少年は、その男に拾われた。男の名前はカミナと言い、少年のようにモンスターの被害に遭い、行く当てのなくなった子供たちを保護していた。
そんなカミナが経営しているのは、巨大な道場。カミナ流と言われる武術を作り、人々に教えていた。
村で最も大きな道場を持ち、弟子を多くいる。だというのに、子供達の生活費で彼の道場はいつも貧乏だった。
カミナに拾われた子供の殆どは道場に通っており、少年も同じようにカミナから多くのことを学んだ。
武術と志を少年は道場で育った。
そんな日々がしばらく続いた後、村に不思議な冒険者がやってきた。
黒髪の男は立派な剣を片手に、たまに剣に向かって話しかけている。
後ろには白髪で褐色肌の少年がついてきており、どうやら冒険者の仲間のようだ。
冒険者たちはあることがきっかけで、カミナと決闘をすることになった。
かなりゴタゴタな戦いではあったが、勝利した冒険者達にカミナはついて行くことになった。
カミナが冒険に出てから道場は彼に拾われた子供達が経営することになった。少年もその一人であり、カミナがいつ戻ってきてもいいように、道場を綺麗にしていた。
ある時、いつものように道場の前を掃除していると、突然目の前が真っ暗になり、気がつくと、見知らぬ土地にいた。
誰に聞いてもどこに行っても、知っている場所はない。何が起こったのか分からない。だが、ここで生活するしか、選択肢はなかった。
カミナ流をアレンジして、同時の流派へと進化させたアサギは、道場を作り、サバトや弟子達を育てることになった。
知らない土地での生活。それが何年も続いた。だが、もう帰ろうという願望はない。
あの道場は他の子供達がどうにかしてくれているはずだ。
俺にできるのは、ここで自身の弟子を育てること。
そしてカミナから教わった武術を後世に伝えること。




