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必殺学生人  作者: 神保知己夫
レポート用紙 3冊目
33/42

最終ステージ: 小倉

 盗聴は昨日の夜に切り上げて帰ってきた。ちなみに盗聴始めたのも昨日だ。なんでそんなに急いで帰ってきたかっていうと三村に訊きたいことがあったからだ。出るときも警官はいたけど学生服の威力は偉大だ。職務質問とかされたけど友達の家に行った帰りだって言ったら別に怪しまれてなかったみたいだ。外に出てすぐ伝言ダイヤルに電話したら、三村が連絡してくれって電話番号を入れてたのでそこに電話して呼び出したら「心配しとった。」とか言ってたけど、「ウソつけ。このハゲ。」とか言ってやった。

 天神で待ち合わせて三村の車でどっかの組事務所みたいなとこに行った。春日あたりの郊外だったんでずいぶん走った。どこの事務所なのかは興味なかったから訊かなかったけど、ヤクザが電話したり走ったりして騒がしいとこでソファに座って話した。

「チンピラみたいなのが話してて、しあさって親父(おやじ)について小倉(こくら)に行くのがどうとか話してたけど、なんかわかんねえか?」

「小倉ってや?」

「親父っつったら組長のことだよな。」

「そがん話はどっからも聞いとらんばってん、小倉なら松田会長に会いに行くとやろう。」

「誰だ? その松田ってのは。」

「小倉の大親分たい。野崎一家のとこのモンが手打ちのために飛び回っとるっていうとは本当やったんやなあ。」

「野崎?」

「北九州の一家たい。これが仲介して山野を松田会長に会わせようとしよるとやろう。」

「松田ってのはそんなにエラいのか?」

「九州で一番の親分たい。たいした人たい。」

「それじゃ、もうすぐ手打ちになっちまうんじゃねえか?」

「いや、そこまで話のいっとるとやったら、それとなく話の伝わってきとるはずたい。これは本当にお(しの)びなんやろう。」

「どこで会うかわかんねえか?」

「手打ち式とかやったら小倉会館使うやろうけど、お忍びやったらもっと小さいとこ使うかもしれん。あの辺やったら筑紫クラブか。」

「そこ知ってるぞ。俺。」

「よう小倉の街のこと知っとるやないや。」

「俺は北九州の()なんだよ。」

「そうやったとや。でも、小倉は小倉やろうばってん、どっちで会うかはわからんぞ。」

「とにかく筑紫クラブに明日から泊まるぞ。そこじゃなかったら小倉のめぼしいホテル調べて探してまわる。お忍びだったら少しは手薄だろうし、こんなチャンスめったにないからな。それに逃げるときだって北九州なら、よく知ってるしな。」

「そうや。」

「そうやじゃねえよ。さっそく筑紫クラブに部屋取ってくれよ。」

「ワシがするとや?」

「殺す前の日にチェックインするんだ。一応調べられるだろう。アンタが父親ってことで、あさっての模試受けるのに福岡から出てくる受験生ってのなら怪しまれないだろう。」

 三村は最初いやがってたけど、いざ電話させたらけっこう役者だった。あと俺以外の盗聴機のこと訊いたら知らないって言ってた。

「そがんことしよるモンがおるっていうとは聞いたことなか。だいたいこっちのモンがそげなもん仕掛けに行きよったら、いっぺんでバレろうもん。そがんやり口ば使うとは警察のしわざやないかいな。」

「そがんやり口」だって使えばいいじゃねえか。どっちにしても、やる方もやられる方も間が抜けてるな。帰りは車で送らせたけど、博多駅で降りた。とにかく信用してないのはこっちも同じだから、箱崎の下宿は教えないに限る。でもよく考えたら朝の四時に地下鉄が走ってるわけないので箱崎まで歩くはめになった。

参考)https://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/81306024009008.jpg

https://api.e-map.ne.jp/jsapi/searchmap.v12/img/40.gif

https://www.recent-hotel.com/img/20170307142639.jpg

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