ヒャッハーさんたち
スゴいでかい声で顔を見なくてもバリバリのヤンキーだとわかった。深呼吸して、
「失礼します!」
と言って中に入った。立ち上がってこっちに来ようとしてた奴はタンクトップに迷彩ズボンのアーミーファッションでキメていたけど、顔はジャイアンみたいだった。コタツに入ってテレビを見ている奴はジャージを着ててジャイアンよりすこしジジイだった。三十ぐらい。ジャイアンが、
「誰や!!」
「あの、三村さんからお話は・・・」
「やけ、誰や?」
「ここにいる方たちをお手伝いするように言われて来たんですけど。」
「お前がや!!」
こいつはちいさい声で喋れないらしい。ジジイがタルそうにこっちに向いた。
「せからしか(うるさい)ろうが、どうしたとや。」
「こいつガキやないですか。」
「キサンだって似たようなもんやろうが。そいつでいいったい。オカマのごた飯炊き寄こすって、ちゃんと聞いとる。」
「お前オカマや?」
「いえ。」
ジャイアンがニタつく。ジジイはこっちをジロジロ見ている。
「なんか、お前の格好は。チャラチャラして。キサンのごたもんがチャカ持たしてもらわれるとはその性根叩きなおしてからたい。」
「ふざくんな! お前とか一生飯炊きたい。」
二人はコタツに入ってまたテレビを見だした。完全にシカトされていた。
「あの、何をしましょう?」
「なんか言われんとナンもできんとか! やけん根性の出来とらんて言うとたい。この部屋見てなんとも思わんとか。」
「掃除ですか?」
ジジイは応えないでテレビを見ていた。仕方がないので掃除を始めたが、どっから手を付けていいのかコタツの周りにコの字にフトンが三つ敷いてあって、それがカップラーメンやらビールやらジュースの缶で埋まってた。とりあえずそれをカラの段ボールがあったからそれに詰めたけど、ゴミは余った。
「ゴミ捨て場は?」
「さがせ。」
一階の階段の下にゴミが山になってたので段ボールを放って部屋にもどるとジャイアンが、
「おい、ローソンに飯買いに行け。」
「横着すんな。お前が行け。」
「そしたらコイツは、」
「こいつは掃除をするったい。」
いきなりジジイとジャイアンが険悪になった。ジャイアンはふてくされたが、まだテレビを見ていた。
「○○(もうひとりいたヤクザの名前。忘れた)が電話しに行くときについでに頼めばよかった。」
「何の呼び出しやったとかいな。」
ポケットベルで呼び出されたらしい。コタツの上に置いてあった。
「遅かですねぇ。でも意外となんか指令の入ったとかもしれんですよ。」
「早よしてくれんと手打ちになってしまうぞ。」
「そがん話のあるとですか?」
「噂ばってんが、副会長の動きだしたって聞いた。」
「冗談やなかですよ。まだなんも暴れとらんやないですか。」
「やけん、噂って言いよろうが。」
「抗争の時くらいですもんねぇ、生きがいば感じるとは。やっぱチャカもって走り回っとるのが一番楽しかですよ。」
ニュースをやってて長崎で少年が拳銃で遊んでるうちに暴発して死んだって言ってた。抗争と関係があるらしいってことだったが、こいつらはこのニュースを見てげらげら笑っていた。
「こがん馬鹿もおるったい。」
「自分撃ったり、素人撃ったりどがんなっとうとですかね。」
ジジイが笑いながら、
「あれは殺られた方のが悪かとたい。こがんときにヤクザんごとしてウロウロしよるけんたい。」
ジジイがジャイアンをコタツの中で思いっきり蹴って、とつぜん怒りだした。
「アゴた(口数)の多か! 早よ飯買いに行かんか‼」




