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第304話 ラメ

「で、この粉々の破片が『ラメ』ってものなのか?」

「そうだよ。これをガラスに加えると中でキラキラするでしょう? 綺麗だと思うんだ」

「なるほど? とりあえず特許だな」

「あ、はい」

 ラメの作り方を書類に書いて師匠に渡した。

「よし」

 満足げに頷いて師匠は書類を仕舞った。

「完成したら見せてくれ」

「もちろんだよ!!」

 俺は頷く。


「では、俺もこのラメを作ってみようか」

「できる?」

「ああ」

 師匠は鱗を錬金釜にいれて手をかざす。

「ラメ、加工」

 あ、詠唱を短縮した!!

「さすがに俺があの詠唱を言って大丈夫と思うか?」

 師匠が俺をジト目で見る。

 可愛すぎるかも。

 光が消えると、ラメが出来ていた。

「さすが師匠!!」

 師匠はドヤ顔で頷いた。

「残りの鱗も加工しちゃうね」

 それから師匠と交互にラメを作った。

「これで全部かー」

 ラメを入れた箱を覗き込んだ。

「あんまり作れなかったね」

「そうだな」

 鱗の全量の十分の一くらいにしかならなくて、量を作れなかった。

「しまった。採点の残り」

 はっとして呟いた師匠が慌てて執務室に戻った。

「頑張って!」

 俺は応援して見送った。


 夕食まで時間はそんなにないけれど、俺はラメを入れた箱を持って、炉のある部屋に向かった。

(ガラス作る?)

 ラヴァがふんすと鼻息を強く吐くときらきらした目で俺を見た。

 作業着に着替えてゴーグルをつける。

「そうだね。混ぜてみるか」

 徐冷庫に入れていたまだ温かいガラス棒を手に取ってバーナーで温める。

 赤くなったそれにラメを混ぜた。

 ラメが溶けないように慎重に。

 それから、形を整えて、ラヴァに火を止めてもらう。

 冷えていって、透明になったクリアガラスの中にラメが輝く。

 成功だ!

 徐冷庫に戻して作業着を脱いだ。

(もう、いいの?)

「うん。もう夕食の時間だからね」

 工房を出るともう夕闇だった。

「うわ、暗くなってる! 急ぐよ、ラヴァ」

(うん!)

 俺は慌てて屋敷に戻った。


 夕食に食堂に入ると師匠がぐったりしていた。

「師匠、お疲れ様」

「おう、疲れてるぞ」

「旦那様」

 スピネルが窘めるような口調で師匠を呼ぶ。

「ああ、その、なんだ。ラメを使ったガラスはできたのか?」

「うん! 成功した。ガラスペンにしたら見せるね」

「あ、うん……そうか。楽しみにしている」

「綺麗だからね! 楽しみにしてて」

「そうだな」

 あれ? 師匠、手がお腹に行ってる。

「お腹空きすぎた?」

「うん? 普通だな」

 普通なのか。


 夕食は魚のポワレ。皮がパリッとして中がふんわり。

 ソースはバジルだった。

 美味しい。これにはふんわりしたパンが合う。

「美味しい!」

「美味いな」

 白身魚だ。鯛かな? でもたぶん、魔物だったりするのかな?

 デザートはクレープにバターと蜂蜜をかけたものだった。

 美味しい。

 ううん。今日も満足。

 師匠もにこにこ顔になった。

 夕食が終わり、食後の紅茶を飲む。

 明日はもともとの休日。いつも通りの鍛錬と課題とポーション作りかな。

「ルオ、やることが終わったらガラスを弄ってもいいぞ。気になっているんだろう?」

「いいの!?」

「ああ。だが明後日から学院の研究室の方の論文を本格的に書くように」

「はい! 頑張ります!」

「よろしい」


 そして俺はラメ入りのガラスペンを作った。

 先は細めの12本の溝。

 節が入って捻りを加えて細く先端に伸びる。

 それの先にまた節をつけ、球をつける。

 球はフューミングで宇宙っぽく紺色に黄色の線が螺旋に走っている。

「できたー!」

 徐冷庫に入れて、ゆっくり冷やす。

 これは師匠への誕生日プレゼントにしよう。

 そうしよう! でもとりあえず見せるのを約束したので、見せないとね。


「できたのか?」

 呼んできた師匠の目の下が疲れを表している。おかしいな。カルヴァ効果で若返ってるはずなんだけど。

「うん。どう? 綺麗?」

「ほう、こういう効果を狙ってあんな粉々に作ったのか」

 師匠がガラスペンを日にかざしてみる。キラキラと光をラメが反射してすごく綺麗。

「うん。化粧品にも使えるよ。パウダーにしたらきらきらするよ」

「待て、それは待て」

 師匠が顔を片手で覆う。

「?」

 俺は首を傾げた。何を待つんだろう。

「わかった。その辺は採点が終わったら考えるから、ガラスペンをじっくり見せてくれ」

「はい!」

「これも素晴らしいな。ハンスにも教えてやってくれ」

「はい!」


 後日、リボンをかけてプレゼントしたら、師匠は喜んでくれた。

 よかった!

お読みいただきありがとうございます。


予約ミスってました! すみません。


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