#3 他人の不幸、だ~いすき
前回までのあらすじ
新聞部には入らんよ
千歳「はっはっは!即答とは、面白いな君は」
ヨド「もう帰っていいですか?」
千歳「まぁ待て、淀緑。どうして入りたくないんだ?」
ヨド「いや、逆になんで俺を新聞部に入れようとしてくるんですか?」
千歳「ふっ、良い質問だな。理由は単純明快、君の名前が新聞部にふさわしいからだ」
ヨド「・・・『文吉』がですか?」
千歳「その通り。我々新聞部にとって『文章』とは、命と言っても過言ではない。そして君の名前『文吉』・・・すなわち『文をもって吉をもたらす』ということだ。君のような縁起の良い生徒、新聞部であれば勧誘しない手はないだろう?」
ヨド「なるほど。ではさようなら(立ち去る)」
千歳「待ちたまえ淀緑!(トンファーで制止)」
ヨド「ぐああああ何故おもむろにトンファーを!!?」
千歳「護身用だ。部員からもらった」
ヨド「どこぞやの風紀委員じゃあるまいし・・・」
千歳「まったく君というやつは、先ほどからなぜ露骨に帰りたがるのだ!」
ヨド「それはこっちの台詞ですよ!」
ヨド「ていうか勧誘の理由はそれだけですか?名前が新聞部っぽいだけで、入部しろって言ってるんですか?」
千歳「そうだが?」
ヨド「・・・お言葉ですが、新聞部にとって大事なのは名前の縁起の良さではなく、人に物事を伝える表現力や文章力なんじゃないんですか?」
千歳「む・・・」
ヨド「残念ですが、俺には人を惹きつけるような文才はありません。日頃から新聞もロクに読みもしないし・・・。とてもじゃないですけど、俺は新聞部にふさわしくないと思うんですけ
千歳「文才などどうでもよいわ!!!」
ヨド「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
千歳「先ほどからやれ表現力だ、やれ文章力だ、くだらん御託を並べおって!!」
ヨド「くだらんって・・・たとえ高校規模の新聞だとしても、大事なことでしょ!?」
千歳「そんなものよりもっと大事なことがあるだろう!?」
ヨド「なんですって!?」
ヨド(なんだ・・・新聞を作る上で、文才より大事なことがあるというのか?しかし、新聞部の部長が声を荒げて訴えかけているということは、何かあるのだろう・・・!)
ヨド(文才のない俺が、あろうことか新聞部に勧誘されている・・・これに意味があるはずだ。もしかして、『文吉』という縁起の良さを活かして、この俺に新たなフィールドで成長することの大切さを知って欲しいというのか!?)
ヨド(少々こじつけ気味な話だが、それしか考えられない!この部長は、新聞部を通して俺に成長の大切さを伝えようとしているんだ!!)
ヨド「・・・なるほど。あなたは俺に成長してほしくて」
千歳「他人の不幸を見つけることだ!!!」
ヨド「おぎゃ」
千歳「私は他人の不幸が好きだ。他人の不幸を見ると優越感に浸れるからだ。私は他人の不幸を集めては、新聞にまとめている。後から閲覧することができるようにな!」
ヨド「Now loading...(少年混乱中)」
ヨド「・・・つまりアレですか、部長はメシウマな出来事を集めるために新聞を作っているんですか?」
千歳「そうだ!!!(威風堂々)」
ヨド「・・・」
千歳「メシウマを見つけ、優越感に浸り、それを新聞にまとめる・・・これが私が新聞部に所属する理由だ!!!」
ヨド「レベル高すぎてついていけんわ!!!(千歳を押しのける)」
千歳「ぐはっ!待て淀緑、待ってくれ!」
ヨド「他人の不幸を集める新聞なんて聞いたことねぇよ!!なにが俺の成長だ!俺の感動を返せアホんだら!!!」
千歳「頼む、君が入ってくれれば、より多くのメシウマに出会える気がするんだ!さっき君に入部届を破られ、絶望の表情を浮かべていたあのオタクのような!ああいう表情が見たいんだ、私は!!!」
ヨド「そんなくだらねぇ理由で入部してたまるかバカ!!」
千歳「バカではない!私は1年の頃、学年主席だったからな!!!」
ヨド「そういうことじゃない!ていうか容姿端麗で成績優秀なのに、なんでそんな歪んだ癖してんだよアンタは!?」
千歳「容姿端麗で成績優秀だったら、他人の不幸を喜んではいけないのか!?」
ヨド「倫理的にアウトだよ!!あと自分で容姿端麗って言うな!!」
千歳「わかった。せめて連絡先だけでも教えてくれ!!」
ヨド「やだよ!!!」
千歳「頼むこの通りだ!(仁王立ち)」
ヨド「せめてお辞儀であれ!!」
千歳「この通りだ!(180度お辞儀)」
ヨド「そこまでは求めていない!!」
ヨド「・・・分かった、分かりました。そこまで言うなら教えますよ。頭をあげてください」
千歳「そうか、恩に着る!(仁王立ち)」
ヨド「緩急エグいなアンタ」
ヨド「・・・ただし、さっさと帰りたいので今日はもう勧誘してこないでください。それが番号を教える条件です」
千歳「あぁ、承知した」
17秒後
ヨド「・・・はい、今のが電話番号です。それじゃあさようなら」
千歳「あぁ、ありがとう。気をつけてな!」
ヨド「あい(立ち去る)」
新聞部・部室
千歳「ただいま帰ったぞ」
柚葉「あっ、千歳ちゃんおかえり~♪」
千歳「・・・なんだ柚葉、何を食べているんだ?」
柚葉「ん~、練乳サンドだよ?」
千歳「練乳をバンズで挟んでいるのか・・・カロリーが心配なのだが」
ゆず「ダイジョブダイジョブ!練乳もバンズも白いから、カロリーゼロだよ♪」
千歳「相変わらず暴論だな・・・」
アヤミ「どうしたんですか~部長。なにか良いことでもあったんですか~?」
千歳「む、なぜ分かった?」
アヤミ「え~だって部長、とっても嬉しそうな顔してるじゃないですか~」
千歳「そうか・・・私としたことが顔に出てしまっていたか!」
ゆず「なになに~、何があったの千歳ちゃん!」
千歳「ふっふっふ、聞いて驚け!多くのメシウマを呼び寄せてくれそうな新入部員を見つけたのだ!」
ゆず「おおっ!!」
アヤミ「やりましたね、部長~!」
千歳「しかも、電話番号まで入手したぞ!!!」
アヤミ「まぁ~!」
ゆず「ちょーファインプレーじゃ~ん、早速かけてみなよ~♪」
千歳「そうだな。今日はもう勧誘してくるなと言われたが、電話をかけるくらいなら構わないだろう」
千歳(入手した電話番号にコール)
着信音「プルルル、ガチャ」
千歳「もしもし、私だ」
???「・・・え、誰?」
千歳「おいおい、もう私の声を忘れてしまったのか。私だ、新聞部部長の阿良文だ」
???「いや、知らないでありますが?」
千歳「・・・む、知らないだと?どういうことだ、淀緑」
???「淀緑・・・?いや、拙者は淀緑ではなく、秋場でござるが?」
千歳「・・・え?」
アキバ「秋場 桜太郎、それが拙者の名前でござ
千歳「誰やお前!!(通話終了)」
ゆず「えっ、どうしたの千歳ちゃん?」
千歳「くそっ、やられた・・・」
アヤミ「何をやられたんです~?」
千歳「淀緑め、私に他人の電話番号を教えてくるとは・・・!」
千歳「・・・面白いじゃないか」




