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メンバー決めって大変


「…………わかった。真剣に考えてみる。」


 私はその場にしゃがむと小石を手にメンバーの名前を書き出した。


「う~~~んと、魔法攻撃が効かない魔物には直接攻撃できるのは大事だし、直接攻撃が効かない魔物には魔法攻撃がいるし、回復や防御も大切、攻撃力も捨て難い。チームバランスも必要…………。こういう緻密に組み合わせ考えたり、計算したりするのって苦手なんだよなぁ。う~~~ん、あ~~~う~~~。」


 ぶちぶち言いながら腕を組んだり顎に手を当てたり、いつになく頑張って思案してみたが、すぐに頭が沸騰する。やっぱダメだ。


「まさか。おまえはパーティーメンバーを戦闘能力で決めるつもりかよ。」

「うん?違うの?」

「違うだろ!!いや、間違っちゃいねぇけど。僕らが求めてるのはそこじゃねえっつうか!!」


 ケインに話しかけられて答えたらなぜか怒られた。すぐにロークがフォローに入る。


「ケインが言いたいのは、アスナが誰と一緒に居たいのかで決めて欲しいということですよ。私たちもそちらを望んでいます。」

「……………誰と一緒に。」

「アスナの恋人候補は誰かってことだよ~。」


 バチンとフィルモントにウインクされる。


 ほう、その基準か………………、はああぁぁぁぁぁ――――!!


「無理無理無理ムリムリムリむりむりむり。そんな私が選ぶなんて恐れ多いことぉぉぉーー!!おかしいよ。みんなイケメンじゃないか。選ぶ立場であって選ばれる立場じゃないでしょ。女なんて掃いて捨てるほど寄ってくるでしょ。王子様なんて身分もあるしっ!言い寄ってくるご令嬢がいっぱいいるでしょ!」

「アスナほど愛してくれる女性はいない。」


 私が王子に話を振ると王子はポッと頬を染めてそう言いきる。キラキラ倍増で背後に花が見える。乙女ですか?!


「あ、愛してないです。誤解です。」

「シャイだからな。大丈夫だ。アスナの愛は充分わかっている。」

「はぁ?愛されてんのは王子様だけじゃねぇぞ。」


 勘違い王子にカウザーが踏ん反り返って食いついてきた。いや、そこじゃないんだけど。


「その基準だと全員愛されているんですから比較になりませんよ。」

「いや、誰も愛して……………。」

「「「「「「愛されている!!」」」」」」


 アルフレッドの言葉を否定しようとしたら、全員から断定される。


 え~っと??私は全員愛しているの?それってビッチって言ってるんですよね?そんな女でいいんですか?皆さん??ってか、私の感情、私がわかんないってこと?……………うっ、否定できない。恋や愛はわからん。

 あ~、もう、こうなったら、闘ってもらって勝った人と………………。いや、それだと強制でそいつのルートに入っちゃう危険があるよな。


 こんなことでRPGが頓挫してしまうのか。ゲームのようにはぱっぱとメンバーチェンジなんて実際はいかないよな。と空を仰ぐ。やっぱり相変わらずなシステム文字が浮かんでいた。


「…………………。ごめんなさい。みんなそれぞれに長所があって、とてもメンバーとして頼もしくって、いい人で。私には取捨選択は…………不可能です。」


 結局いくら考えてもこの結論にしか行き着かない。どの基準だったとしても。


「選択肢がなくなればいいのか?」


 声の主へ振り向けば王子が考えるように顎に手をあてていた。こてんと首を捻れば、王子はフッフッフと笑った。


「この近くに封魔の森がある。そこには古い遺跡があって、魔封じの護符が宝として眠っていると聞いた。行ってみないか?」

「サブイベント?!それで、どうして選択肢がなくなるの?」

「封魔の森は魔法が全く通用しない場所だ。すなわち、ここにいる魔導士3人は使い物にならない。どうだ。名案だろう!!」

「「「どこが!!」」」


 胸を張る王子はローク、ケイン、フィルモントの魔導士3人に睨みつけられたが、空気を読まない王子はどこ吹く風でなぜ怒ってるといった顔だ。


 …………………。この案に乗るの、無理だろ……………。


 はあぁとため息を漏らして駄目ですと断りを入れようとすると、ピピッと電子音がする。見上げるとさっきまでのシステム文字が変わって行く。


       サブイベント  封魔の森の遺跡、魔封じの護符の獲得依頼

           なお、王子がパーティーメンバーの場合、拒否不可


 私は文字を目にして、ヒクッと顔を引き攣らせる。王子がパーティーメンバーだと、勇者は王様の依頼を断れない。そして、王子は………………、変更してないから今はメンバー。さらに、王様は王子が代理中?らしいから……………。王様の命令は絶対!!ならぬ、王子の依頼は絶対!!状態だった。私は空から目を魔導士3人に申し訳ないけどと向ける。


「あ~~~。ローク、ケイン、フィル、ごめん。ゲーム上、この依頼、断れないっぽい。」

「はあっ?!王子この野郎!確信犯か!!」

「いや~。あれ、天然だよ~~。そうじゃないと、あからさま過ぎるよ~。」

「だな~。腹黒いのそっちの騎士さんでしょ~。それにさ、封魔の森に行くのにメンバーに魔導士が居ちゃいけないわけじゃないじゃんか~~!!」

「……………けど、僕は戦闘力がない。その上、魔法まで封じられると、全然、アスナの役には立たない。好きな奴の荷物には成りたくない。」

「私もそこまでして、仲間にしてもらうのは嫌かな~。やっぱさ~、格好良いとこ見てて欲しいし~~。」

「え~、僕は足手まといでも、いい~~。アスナと一時も離れたくない~~!!」


 ケイン、ローク、フィルの3人が口々に話しをする。最終的にはケインとロークはメンバーを辞退、渋るフィルを説得に取り掛かってくれた。暫く3人は話しあった結果、ブスッとしながらもフィルもメンバーから外れることを了承した。


 こうして、これからのメンバー構成は王子・剣士・騎士となったわけだが……………、大丈夫かな?


 一抹の不安を残しつつ、私たちは封魔の森に出発することになった。



 なお、魔導士3人とは王都で落ち合うことになった。そして、暫く離れるということで過度なスキンシップをされた事は………………、まぁ、忘れよう。




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